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[jp] 「やることがなくなって海外ではなく、最初から視野にいれることが重要」ーーWISH2010で語られた世界を目指す起業とは

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去年に引き続きWISHの季節がやってきた。次世代のウェブサービスを発見しようというこのイベントに集まった参加者は550人。熱気につつまれた会場ではまずアジャイルメディアネットワークの徳力基彦氏をモデレーターにグリーの田中良和氏、ミクシィの原田明典氏、デジタルガレージの枝洋樹氏で「日本のウェブはいかにして世界を目指すべきか」というテーマのセッションがおこなわれた。

日本から世界ーーこの話題がしばしば取り上げられる背景として、世界的にヒットしている国産ウェブサービスがまだ限られていることに起因するところは大きい。海外と日本とでは何が違い、今後そのようなサービスは出てくるのかーー。

枝氏が「実はアーリーアダプターなど目新しいウェブサービスに飛びつく日本人の割合は多い」と話すように、キャッチアップする力が弱いわけではない。確かにTwitterが最初に日本で盛り上がった時期は2007年頃、日本展開などしていない時だ。タイムマシーン経営と呼ばれる方法で輸入されたサービスが国内向けに最適化され、定着している例は数多い。

では同様の方法で国外に出て行く場合、何が障害になるのか。原田氏は「端末、回線の速さなどが違う。常時接続がないと成立しないサービスがある」と、海外と日本では外部環境の違いに注目すべきと語る。「各市場にあった環境にあわせてタイミングをあわせないとだめ」スマートフォンが流行っていると思ってチャレンジしたらフラッシュが使えなかったり。そういう落とし穴には注意しなければいけない。

また「プロダクトをつくるコアメンバーがどこのカルチャーを知っているかというのが大きな問題。地域のコアバリューを知らずにいきなりそれを輸出すれば失敗する確立が高い」。シリコンバレーでは何十倍もサービスがでているが、日本からデビューした例はほとんどないのでは?と疑問を投げかけ、もし海外を目指すのであれば「スコープの中に最初から海外を入れておくことが重要。やることがなくなって海外にいこうか、というのがマズい」と指摘した。

田中氏は「マーケットは10倍だけど敵も10倍いる。海外の方がチャンスも多いといわれるが、日本でも成功しないサービスが海外でも成功するかといわれると必ずしもそうとは思わない」と、マーケットの大小ではなく、サービスの根本的な内容をおさえるべきと語る。

最初から世界を目指すべきかどうかについては、枝氏がオープンネットワークラボを引き合いに「海外のベンチャーキャピタリストに直接プレゼンテーションすると、非常に驚いて感動されるような場合がある」と、戦略の違いはあっても、どこからでもいけるのではないかと話す。

また、海外との違いでよくクローズアップされるのが投資環境の違いだ。「最初に面白いものができるタイミングとお金が回るところに時差がある。ここをどうやって乗り切るか」(徳力氏)。Twitterのように最初からビジネスモデルがあるわけではない場合、サービスが本当に受け入れられてビジネスとして成立するまで、投資金の存在は必要不可欠だ。さらに「日本だけか、世界を目指すかで対象ユーザーの数がちがうと投資金の額も違ってくる」と田中氏。

うまくいくかどうかわからない時点でのリスクをどう乗り切るかについては「会社を作るタイミングではすでにミクシィに抜かれていた(笑)。うまくいくからやろうではだめ。本当にやりたいかどうか」が重要であり、この業界で生き残ってくためにはつづけないとという思いで事業を続けたと語る。

一方で原田氏は仕組み自体の必要性を語る。「先進国はイノベーションクラスタをつくりだすために、そもそも大企業にはいれるような人材が起業できるシステムがある。イグジットもありだし、経営者が取るべきリスクのバランスがいい。日本は中小企業の自殺者が多いが倒産率は低い」。このような腹をくくるという「サムライの思想では無理」で、スーパースターしかチャレンジできないと社会として新しいものが出にくい状態になってしまう。

同時に原田氏は成功した人のお金が還元される仕組みも必要と語る。日本に少ないエンジェルの存在を引き合いに「田中さんと笠原がそういうことをやるべきだ。お金つかってないんですよ(笑)」と会場の笑いを誘った。また今の時代だからこそ何かモノを作った人は「資金調達してみればいい。これで3年つなげるとわかったら没頭できる」とも。

楽天のように着実に世界進出を進めているウェブ企業もある一方で、やはりfacebook、Twitterのようなスピード感のあるスタートアップもいつか日本から出てきてほしい。WISHの後半ではそんな可能性のあるウェブ系企業がプレゼンテーションをおこなった。その模様については別の記事でお知らせしたい。