スチームパンクな腕時計職人、末吉晴男さんにインタビュー

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独創的でスチームパンク的なスタイルの時計を生み出すことで有名な末吉晴男さん。1つ1つ手作りする末吉さんの技巧はすべて独学で、なんとフリーマーケットへ出品することからキャリアをスタートしたという。今月初めにゲスト・ライターの山田夏紀がCrunchGearのために行ったインタビューを紹介する。

――アンティークでありながら、未来的な外見・デザインは、どこから生まれるんですか?
何からインスピレーションを得ているのでしょう?

腕時計を作る時って、実はデザインからは入りません。どんな「遊び」を時計で実現できるか、っていうことを先に考えるんですよね。つまり、どうやったら面白い仕掛けや、笑える見ため、変わった着け方ができるだろう、って考えるんです。なので、インスピレーションは、自分が見て面白いと思ったものすべてから得ています。最新作は、たまたま蝉の幼虫がかえる様子を見たので、蝉の幼虫をモチーフにしてみました。

――日本のアニメや、歴史上のもの、あるいはスチームパンクには影響を受けていないという
ことでしょうか?

実は「スチームパンク」なんて言葉も、自分が雑誌で取り上げられる以前は知らなかったくらいなんですよ。今でこそ、真ちゅうや革がスチームパンクにとって重要な素材らしいってことを知っていますが、僕はただ単に、扱いやすい素材だから使っているだけなんです。特に真ちゅうは、腕時計づくりにはとても適しています。溶けやすく粘り気もあり、形作りが楽です。子供の頃は松本零士さんの「銀河鉄道999」という漫画が好きだったので、何かしらの影響は受けているかもしれませんが、作品にどう出せているのか、自分ではわかりかねます。それ以外は、SFアニメは全く見ませんでしたし、プラモデル作りなんかも好きだったことはなかったですね。

――時計はすべてのパーツが手作りですか?

ムーブメント以外はすべて手作りです。ムーブメントだけは買ったものを使っていますが、あとはゼロからすべて作っていますね。バーナーで真ちゅうを溶かし、フレームや文字盤などの形を作っていきます。一番大変なのは文字盤に字を削る作業ですね。分度器を使った自家製の台の上に文字盤を載せて、文字を削っていきます。こうすることで正確な文字盤を作ることができるのですが、時間と集中力をものすごく消費します。

――腕時計は何のために、そして誰のために作るのですか?

昔から物を作ることが好きで、色んなものを作ってきました。今でも、腕時計以外にも色んな物を作りますが、腕時計との出会いは、昔おもちゃ問屋で働いていいた時ですね。よく通っていた取引先に時計屋があったのですが、作っている様子がとても興味深く、見ながら作り方を覚えました。それから、ほかのおもちゃと同じように、ただ単に自分が作りたいという理由で腕時計作りを始めました。自分のイマジネーションとしてるものを、形にしていくという作業ですね。幸運なことに、こんな自分の作品を好きだと言ってくれる人がたくさん現れたので、今はそういう皆さんのためにも作っています。

――今後の「末吉晴男時計」の計画や目標はありますか?

計画しないことが僕の計画ですね。直感的に生きているので、腕時計を作る時は作りたいとう気持ちが大切というか、15年以上これでやってきてここまで来れましたから、いまさら変える必要もないかなぁと思っています。

――海外では売らないのですか?

売りたいですけど、どうやっていいものか、わからないんですよね(笑)。

――どの時代でも好きな時代に住めると言われたら、いつを選びますか?

おそらく1960年代でしょうか。戦後の高度成長期を経験してみたいですね。あんなに短い期間で恐ろしく多くのことが変わるって、すごいだろうなと思います。物作りに関しても、もっと多くの可能性やエネルギー、インスピレーションがあったんじゃないかって思うんです。そこに自分がいて好きな物を作れたら、楽しいだろうなぁ!

※このインタビューは、東京で編集・ライターとして活動する山田夏紀が担当しました。また、彼女が東京のオンラインマガジン「10.マガジン」に書いた末吉晴男さんの記事も同時掲載中です。撮影はフォトグラファー兼アクセサリー・アーティストの持田育美が担当(同じく「10.マガジン」の撮影も担当しています)。

追記:
「末吉晴男時計」は、代々木上原の「地球栽培」、下北沢の「タバサ」「リトル・タバサ」で販売中です。