モバイル広告ネットワークの断片化する未来

次の記事

Sprout Social、ビジネス用途のソーシャルメディアCRMツールを公式リリース

Google、Apple、さらにはRIMでさえも$1B(10億ドル)の成長市場であるモバイル広告の一角に食い込みたいと思っていることは衆知の事実である。広告宣伝費シェアを巡るこの戦いには、反競争的行動を招く可能性すらある。6月に実施されたAppleのデベロッパーライセンス契約の改訂は、基本的にGoogleのAdMobがiPhoneとiPadに広告を配信する権利を阻止し、「独立」広告配信会社のみがこれらのデバイスに広告を流せると言っている。しかし7月、AdMobのファウンダー、Omar Hamouiは、Appleが未だにこのポリシーを執行しておらず、Googleは引き続きAppleデバイスに広告を配信できていると語った。おそらく最近FTCがAppleの広告ポリシーに目を向けていることが、同社の阻止行動の遅延に繋がったのだろうが、AppleがGoogleの広告配信を完全に中止させるのは時間の問題であることは目に見えている、と複数の業界筋が言っている。仮にそうなった時、モバイル広告分野には決定的な変革が訪れるだろう。

もしAppleがAdMobのスイッチを切れば、モバイル広告業界にドミノ効果を起こすきわめて深刻な危険があることは明らかである。よくと考えてみてほしい。仮にAppleがGoogleの広告ネットワークをiPhoneとiPadから締め出したとする。Millennialの最新データ(55%)によると、両機はOS広告リクエストで膨大なシェアを占めており、GoogleはAndroid市場に焦点を絞ることを余儀なくされるだろう。もちろんAndorid機は急成長中であり、RIMの広告リクエストのシェアさえ上回っているというデータもある。広告主がAndroidユーザーをターゲットに広告費を使おうとすることは間違いない。そしてGoogleは、Androidプラットホームを開発し提供している立場として、AdMobのモバイル広告ネットワークがAppleエコシステムで失ったものを取り戻すべく、Android経由でさらな収益を生まなくてはならない。

もちろん、GoogleがAppleのように自社のエコシステムを閉鎖的にするのは愚策だが、もしAndroidプラットホームの成長から経済的利益を得たいのであれば、自身の広告ネットワークを他よりも優遇することは理にかなっているともいえる。

自前の広告ネットワークを持ちたがっているのはAppleとAndroidだけではない。報道によると、RIMもまた広告ネットワークを買収し、ワイヤレス広告業界に打って出ようと考えているようだ。BlackBerryの製造元である同社が、来年IPOの意向を表明しているMillennial Mediaの周辺を嗅ぎ回っているとの報道もある。

というわけで来年には、3大スマートフォンデバイス製造元が、揃って自前のモバイル広告ネットワークを持つことになるかもしれない。そして、RIMの広告ネットワークも、AppleのポリシーによってiPhoneに広告を配信できない可能性がある。以上のことから導かれる結果は、デバイス中心の、断片化したモバイル広告市場である。すでにSteve Jobsは、AppleのiAdを、iPhoneとiPadに最適化した革新的広告フォーマットであると宣伝している。RIMとGoogleも、デバイス中心型の広告フォーマットを作って売り込まざるを得なくなるかもしれない。

そうなると広告主は、最高のクリックスルー率を約束する広告フォーマットを求めて、各デバイスに対応することが促される。しかし、広告主や代理店にとって、異なるネットワーク間に広告費を分散して使わなければならないことは悪夢である。広告主は断片化を嫌う。彼らはスケールを好む。一度買って、どこにでも貼り付けることを。

現在広告主は、MillennialやAdMob、Jumptapなどのモバイル広告ネットワークを使ってBlackberry、iPhone、Androidの各ユーザーをターゲットすることができる。デベロッパーはもちろん、金のあるところへ行く。これは、他の独立系広告ネットワークにとっては悲惨である。彼らはまだ、iPhone上に広告を出すことができるものの、世界最大級のテクノロジー企業相手にマインドシェアと広告枠在庫を争う世界に直面することになるのである。

デバイス中心型モバイル広告の世界は、今日のウェブ広告ネットワークのあり方を根本的に逸脱するものになる。まるで、DellとApple、HPなどのノートパソコンメーカーがそれぞれ広告ネットワークを買って、自社コンピューターユーザーにリーチするために使われる広告費を制御しているようなものだ。あるいは、ブラウザーのデベロッパーであるMicrosoftやFirefox、Chromeらが、自社の広告ネットワーク経由でしかバブリッシャーに広告を出させないと決めたようなものだ。全くばかげている。

しかし、それが今起ころうとしていることなのだ。Appleに思い止どまらせる方法は2つしかない。FTCと広告主たちの怒りである。前者は大した抑止力にならないが、後者はAppleを立ち止まらせるはずだ。広告主を困らせることは、よい関係を作るためにはあり得ない。

写真提供:Flickr/AussieGal

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)