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Duke University
Berkeley

ハイテク業界のマネージャーには、管理者教育が必要だ

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かつて私がプログラマーからプロジェクトマネージャーになろうとしていた頃、勤め先のXerox Corporationは、私をバージニア州リースバーグにある巨大な教育訓練センターに送り込んだ。そこでは2週間に渡って、私の新しい任務で必要とされるスキルを教えられた。プロジェクト管理、動機付け、雇用規則の遵守、進捗レポートやプレゼン資料の書き方などだ。さらに会社は、ニューヨーク大学の夜間に通ってMBAを取得するよう勧めた。しかもたくさんの休暇をくれ、学費も払ってくれた。

インターネット時代のハイテク企業は、さまざまな特典を従業員に与えている。しかし、FacebookやGroupon、Zyngaなどの会社が、若手の専門職対して何か本格的な管理者教育をしているとお思いだろうか。皆無だ。ハイテク企業が成長する過程や、遭遇する人事問題を考えれば、管理者教育やキャリア開発は、これまで以上に重要であるはずだ。しかし、殆どの企業には時間がない ― 生き残るだけで精一杯なのだ。

デューク大学の企業内教育グループのRobert FulmerとByron Hansonが、一流ハイテク企業23社における管理行動を調査した。会社幹部の89%という圧倒的多数が、自社におけるリーダーシップ育成が日増しに重要になってきていると答えた。また、58%がこれを企業の高優先度事項と位置づけている。しかし、インタビューした管理職のうち、自身を磨く方法について明確なビジョンを持っていたのは1/4に満たず、半数は社内で誰が管理職研修を担当しているかすら知らなかった。調査の結果は予想通りだった。多くのハイテク企業はまだ若く、リーダーを育成するためのシステムや手順は、十分に開発されているわけでも、制度として定着しているわけでもない。

おそらく、多くのハイテク企業が社員の士気、期日遅延、顧客対応トラブル、高離職率などに悩まされている理由はこれであろう。そしてこれが、自らの展望を売り込み何百万ドルもの資金を調達することに成功した多くの技術系スタートアップが、まるで線香花火のように終る理由の一つであろう。

FulmerとHansonの研究の興味深い発見の一つが、インタビューしたハイテク企業幹部の70%以上が、技術先行型企業でのリーダーシップ育成は他の業界とは異なる、と答えたことだ。2人の研究者も私も、これらの幹部は完全に間違っていると確信している。Proctor & GambleやGeneral Electricのようなトップ企業が管理者育成や教育について学んだ教訓は、少なくとも同等かそれ以上、ハイテク企業にもあてはまるはずだ。

これはつまり、もしあなたが新進気鋭のハイテクスタートアップに入ろうという新卒だったなら、上司が教えてくれたり仕込んでくれたりすることも、MBAを取得するために会社が休暇をくれることも、期待してはいけないという意味だ。自分のことは自分でやるしかない。もしIBMやHPのような老舗 ― 完璧な管理者教育制度がある ― で働いているのであれ、それを全面的に利用しよう。学べることは全部やらなくてはいけない。

多くの人たちが、生まれながらに先を見通す力を持っている。彼らはたやすく新しいテクノロジーを理解して使いこなす。コミュニケーションや人にひらめきを与えるのが得意な人もいる。しかし、プロジェクトを計画し、雇用均等委員会のガイドラインを遵守し、予算を組み、財務を管理し、ビジネスや知財権の複雑な法律を知るために必要なスキルを持って生まれてくる人はいない。すべては学ぶしかない。中には実地で身に付けられるスキルもあるが、大ていは試行錯誤を経て体得するものだ。

通常私は、管理職やCEOになりたいという技術系の学生には、1年余分に教育を受けるよう薦めている。一年間のエンジニアリング管理プログラムで、マーケティング、財務、知材権、ビジネス法、経営などを学ぶ。これはMBAプログラムの基礎コースに近い。さらには、イノベーション管理、運用管理、起業家精神などの、技術寄りの科目もある。(数ある中の)一つとして、Duke大学のMasters of Engineering Management program(エンジアリング管理修士コース)があり、私はそこで教えている。

シリコンバレーのベテラン技術者向けには、バークレースタンフォードのいずれにも優れた上級MBAコースがある。先月バークレー・ハース校のRich Lyons学生部長がディナーの席で、同校を初のシリコンバレー幹部のための教育基盤にする計画を話してくれた。ボストンのバブソンカレッジも、サンフランシスコでコースを開設する予定だ。

しかし、誰もがMBAに2年間費やす必要はない。UCバークレーの工学部では、シリコンバレーのリーダー候補技術者向けに、ずっと短いコースを用意している。Fung Instituteの主任研究員兼UCバークレーの起業・テクノロジーセンター長であるIkhlaq Sidhuによる支援の下、同校はエンジニアリング・リーダーシップの専門コースを開発中だ。そこては、週一回、6ヵ月間の講座で製品管理、起業家的思考、リーダーシップ、財務などの教科を教える。他に、チーム作り、経営管理、動機付けなども教える。

ただし、バークレーの新プログラムは非常に敷居が高い。2011年の募集はわずか25名で、シリコンバレーの上級幹部の推薦が必要だ。Sidhuによると、彼は「リーダーシップなきエンジニアリングの症状」に取り組むつもりだという。その症状には、組織における新製品新サービスに関する優柔不断、製品管理とエンジニアリングとの間の未解決の衝突、浅薄なテクノロジー戦略などが含まれる。バークレーでは、今後このプログラムを大きく拡大し、他にもたくさん加える予定だ。要するに大きな需要があるということだ。

編集部より:ゲストライターのVivek Wadhwaは起業家出身の学者である。現在UCバークレー客員教授、ハーバード法科大学院上級研究員、およびデューク大学起業・研究商用化センター研究担当ディレクターを務める。Twitterでは@vwadhwaでフォローできる。また、同氏の研究成果はwww.wadhwa.comで見られる。】

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(翻訳:Nob Takahashi)