Christopher Pinney
center for corporate citizenship
boston college

Appleにとって重要なのは環境よりも秘密の保持か?

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Pew Internetの最近の調査によると、成人のアメリカ人の82%がBlackberry、iPhoneなどなどの携帯電話を保有し、その65%が寝るときは携帯電話をベッドのすぐそばに置いている。

しかし消費者は、それらのデバイスが何でできているかを知らない。したがって、その環境や健康に及ぼす影響についても知らない。携帯電話のメーカーは、情報の公開を義務づけられてはいないが、中には自発的に公表している企業もある。

ただし、その中にAppleは含まれていない。たとえばイギリスのO2 EcoRatingsという取り組みは、携帯電話各機種を環境への負荷の大小で格付けしているが、Appleはこれに対しても、例によってデータをいっさい提供していない

Nokia、HTC、Samsung、LG、Palm、Sony Ericssonの各社はO2 EcoRatingsに参加している。RIMは、来年の参加を約束している。先週発表されたその格付けは、もっともエコフレンドリな携帯電話としてSony EricssonのElmを挙げている。

たしかに、環境に関する調査報告や、企業/製品等に対する評価、試験結果のお墨付きなどは、いろんなところから頻繁に出ている。平均して、月2回はあるだろう。だから、AppleがiPhoneに関する外部機関による環境関連の調査を無視しても、べつにいいんじゃない、と言えるだろうか?

最近、合衆国環境省は自動車の燃費の新たな格付け方式を提唱し、これに応じた民間提携事業ULE-880が、自動車メーカーを格付けするための調査研究を開始した。

しかし、こういった調査研究は数が多く、また個々の報告書もその多くが膨大な量なので、企業や消費者は、PR目的ではない公正で科学的な調査結果を選ぶのに苦労する。

しかし、ワシントンD.C.に近いStrategic Sustainability Consultingのファウンダで社長のJennifer Woofterは、O2 EcoRatingsは信頼性が高いと見なしている。同社は、企業が製品や操業方式を設計し、環境に関する報告書を作る際の、さまざまな基準に関するコンサルティングを行っている。対象企業には、Wal-Martのような大型小売業も含まれる。

Woofterによれば、Appleは信頼できる外部機関による環境調査を拒否することによって、業界のリーダーとしての責任を放棄している。また、フィードバックを無視する企業という、悪い企業イメージを負いかねない。Apple自身による環境監査にはまだ一貫性が乏しく、監査の基準や法律への配慮も不明確である、と彼女は考えている。

環境に関する研究者たちは、Appleが次のような疑問に公に答えることを求めている: デバイスの原料は紛争や労働者搾取のない鉱山から得られているか? iPhoneやその充電装置等に、どのような毒物が含まれているか? OEM企業の操業の環境基準や社会的責任の遵守等について、適切かつ定期的に監視しているか? 廃棄物の削減のためにどのような取り組みをしているか?

Appleの社風をよく知っている者にとっては、同社の一貫した秘密主義も意外なものではない。今年の初めに同社は、株主に対する報告書類のより厳密化を求める二人の株主の要請を拒絶した

Appleは企業買収をそれほど頻繁には行わず、イノベーションを自社内部に依存する傾向が強いので、外部者(相手企業の弁護士、経理担当者、顧問など)が情報を目にする機会も少ない。

O2 EcoRatingsの開発に加わったTelefónica O2 UKは、Appleにとって赤の他人ではなく、ヨーロッパでiPhoneを売っている大手モバイルキャリアの一つだ。また、もうひとつの開発参加者Forum For the Futureは、各種の産業の人間と地球環境に対する影響を研究し、”維持可能な開発”を唱道する独立のNPOだ。

O2 EcoRatingsの開発企業/団体ととくに利害関係のないWoofterは、彼らの格付け基準が明確で私企業性のないことを賞賛している。まず、電話機の製造に使われるエネルギーと原料の量を計測する。さらに、それらの原料の産出場所と、その後のサプライチェーンも含めての労働条件を調べる。”維持可能性には、地球環境のそれと、人間のそれの両方がある”、と彼女は言う。

過去にAppleは、同社のパソコンやノート機を合衆国の環境調査NPO、Green Electronics Councilにゆだねたことがある。同NPOは、のちに大きな影響力を持つことになった環境評価基準、Electronic Product Environmental Assessment Tool(略称EPEAT)を策定した団体である。そのEPEATに照らして当時のApple製品は、全製品が”Gold”という非常に高い評価を獲得した。

コンピュータを、環境調査に対して完全に公開したことによってAppleは、Greenpeaceのようなうるさい団体を黙らせ、尊敬すら獲得した。ところがそのGreenpeaceは、2007年にAppleを批判する一大キャンペーンを開始した。iPhoneをO2 EcoRatingsのような格付け調査に参加させ、他機種と比較してもらえば、再びGreenpeaceを黙らせることができるのではないか。なのになぜ、Appleは拒否を貫くのだろう?

Boston CollegeのCenter for Corporate Citizenshipの研究部長Chris Pinneyは、Appleには、データを公表しなくてもよいと考える理由がある、と言っている。”Appleには広範囲でかつ細かい、供給業者規約とその監査計画がある。同社は、いわゆる環境の問題も、それで十分にカバーされていると信じている。また、自分自身が支配者である市場で、外部の環境調査格付け事業に参加しても、得るものは何一つないと認識している”。

Pinneyは、政府、大手キャリア、あるいはWal-Martのような大手商業者が、消費者からの圧力を理由に環境面での評価を要求したら、Appleも折れるのではないか、と見ている。

今のところ。Appleの広報はO2 EcoRatingsに対してノーコメントである。広報の担当者は、AppleのWebサイトの”環境”のページを見てくれと言い、毒物の管理はヨーロッパのRoHS Directiveよりも厳格に行っていると述べた。RoHS Directiveは、電子製品における有害物質の制限規格として、もっとも先進的と見なされている。

広報担当者は、顧客はiPhoneとiPod(shuffleを除く)をAppleの小売店に持参してリサイクルできる、と言う。iPodを持参した場合は、新しいiPodを10%引きで買える。ただし、iPad、iPhone、電池、充電装置、ノートパソコンに関しては同様の割引制はない。

Appleの小売店の店員には、廃棄物の責任ある処理や、割引き付きのリサイクル制度について顧客に説明する義務なない…説明しなくてもよい。

環境に対する責任は、Appleの派手なイベントにも欠如しているテーマだ。たとえば先週メディアデバイスの新製品を発表したときも、重役たちの誰一人として、その環境対応機能や廃棄物リサイクル事業について語る者はなかった。

むしろAppleは、偶然かつ公然と環境に配慮していることで、賞賛されている。iPodとiTunesストアは、何トンものCD廃棄物をこの世から減らした。また、製品を年々小型化することによって、毒物やエネルギーの使用量を減らしている。同社が申請している特許には、携帯型製品のための太陽電池がある。また、iPhoneアプリケーションの多くが、消費者の環境配慮型生活に貢献している。

しかしそれでも、iPhoneに、内乱の原因になったり、労働者が悲惨な状態で働かされている鉱山から得られる金属が大量に使われていると分かったら、それでもなお持ち続けるだろうか? 発がん物質が使われていると分かったら、それを枕元に置いて寝るだろうか?

TOP SECRETの写真は: Malakh Kelevraより。
電子廃棄物のリサイクルの写真は: U.S. Army Environmental Commandより。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))