[jp]フィードパスのガジェットに見るGoogle Apps Marketplaceビジネスの可能性

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アプリケーションのマーケットプレイスは何もiPhoneやAndroidだけではない(最近ではiアプリも開始される予定だが)。企業向けの世界でもたとえばSalesforce.comのAppExchangeなどが提供されているが、ご存知の通りGoogleもこの3月にGoogle Apps Marketplaceをローンチしている。

海外からはいち早くいろいろなプロダクトが出てきているGoogle Apps Marketplaceだが、日本語向けのものはまだ数多くは提供されていない。そんな中、昨日、フィードパスがGoogle Appsのカレンダー機能を拡張するガジェット、feedpath GadgetをGoogle Apps Marketplace向けにリリースした。

フィードパスはそもそもはサイボウズの子会社としてスタートし(現在は連結から外れている)、現在はクラウド型の独自のメールサービス(米YahooのZimbraをベースにしている)や独自のカレンダーサービスを提供しているが、そういったノウハウを持ちながらGoogle Apps向けにカレンダー機能の拡張を提供したわけだ。

feedpath Gadgetについての詳しい説明はプレスリリースや他のメディアにゆずるとして(簡単に説明するとGoogleカレンダーをグループで使いやすくするために見た目をサイボウズ風のグループ表示にしたり、共通のミーティングを設定する際にメールアドレスではなく名前から選べるようにするというもの)、興味深かったのはGoogle Appsの統合アプリケーション(integrated apps)として提供されていることだ。

Google Appsのアカウントでログインできるシングルサインオンや、Google Appsと同じナビゲーションバーで表示されるユニバーサルナビゲーションなど、Google Appsに統合された形で提供されるアプリケーションは、Google Apps Marketplaceから選ぶことで、簡単にインストールできる。

これは何を意味するかといえば、インターフェイスさえ用意すればGoogle Appsユーザーに,独自のアプリケーションを瞬時に届けられることを意味している(もちろん実際にインストールするにはGoogle Appsの管理者でなければならないが)。

しかしながら、現在のところすぐにインストールできる日本語の統合アプリケーションは数が少ない。feedpath Gadgetに似たカレンダーの拡張機能で日本語で提供されているものは、Google Apps Marketplaceからいくつか探し出せるが、すぐにインストールできるものはfeedpath Gadgetぐらいしかない(ほかの機能のものはある)。どうしてこうなっているかといえば、もともとはGoogle Appsのサードパーティの問い合わせ先としてGoogle Apps Marketplaceの前進がスタートしているからだという。

さて、ここでGoogle Apps Marketplaceでのビジネスを考えてみたい。

Google Apps Marketplaceで提供されるプロダクトは、1アカウントあたり月額で数百円から数千円が相場だと思われる。Google Apps自体がPremier Editionで月額500円程度(Standard Editionは無償)なので、特殊なものをのぞけばそれを大きく上回るものは提供しづらいということもあるだろう。実際、今回フィードパスが提供するものは無料で、今後いくつかは100円から150円程度の有償のものを出していくというが、1つのプロダクトで1万ユーザーを獲得したとしても月額150万円程度しかならない。しかもレベニューシェアとしてこのうちGoogleが20パーセントを取る。

フィードパスでは2011年6月末の目標を、有償サービスを使うグループを500、累計売上(有償サービスのリリースをこの年末としているのでおよそ半年間)を1,000万円としている。もちろんそれ以降の伸びも期待しているのだろうが、実際にはここからの収益で利益を出すのには時間がかかるだろう。

そういう意味では、より大きなビジネスを獲得するための(たとえば、社内システムとGoogle Appsとのインテグレーションのコンサルティングや他の自社製品を使ってもらうための)プロモーションとして位置づけることに、Google Apps Marketplaceの意味があるのかもしれない。

一方で、海外の市場を狙ってより大きなユーザー数を目指すという戦略もあるだろう。当然、競合の数も増えるがグローバルな市場で戦うということは常にそのような問題を抱えるわけで、それが大きな問題にはならないだろう。Google Appsは最新のデータではおよそ250万程度の事業者が利用しているという(ユーザー数は明かされていないが、3月の時点では2500万人と言われていた)。

これは言い換えれば、国内向けに特定の業務アプリケーションを提供していたような企業向けのソフトウェア企業が、大きなマーケット相手にビジネスの機会が簡単に得られることを意味している。エンタープライズソフトウェアのiPhone版を想像してみるといい。もちろんiPhoneにしても大成功している企業がないので、これもなかなか難しいことなのかもしれないが――。

Google Apps Marketplace自体、まだ日本語化されていないので、国内ではメジャーなものにはなっていない。だが今後、日本から独自のサービスを提供するだけでなく、海外の優れたサービスをローカライズすることも含めて、エンタープライズの世界でも、より簡単に新しいアプリケーションが手に入れられる動きが始まるのは間違いないだろう。