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「RSSは死んだ」論は死んだ。今日からは「RSSは死んでない」論

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テク業界の終りのない議論の中で、私のお気入りの一つが「RSSは死んだ」論だ。もっともこれはSteve Gilmoreが2009年5月の TechCrunchITで言い出した話なので、今更何をと思うかもしれないが、今でもこれにまつわる議論は見ていて興味深い。そして最近一番面白いのが、RSSは死んだと騒ぐ人ひとりにつき、それに反論する記事を書く人が10人は出てくることだ。

もしRSSに問題がないのなら、放っておいてもわかることではないのか。なぜそんなに多くの記事が、RSSは死んでいないことを強調する必要があるのだろうか。

今日(米国時間9/12)だけでも、GigaOMとDave Winer、さらにはGoogleまでもが、RSSは大丈夫、ということを指摘している。Winerのように、再起動が必要なだけと言う人もいる。一方GigaOMのMathew Ingramは、今のような使い方なら、RSSを死に追いやる筈のTwitterとFacebookのようなサービスを、今後も補完し続けるだろうと言う。

では、実際のところ何が起きているのか。

現実はといえば、RSSは未だにユーザーにとってフレンドリーな技術ではない、ということがある。私が母に向かって「RSS」と言ったとしても、何の話だか見当もつかないだろう。「Twitter」や「Facebook」なら、それが何であるか知っている ― それどころか使っている。それでもRSSは、母が知っているそれらのサービスの基盤の少なくとも一部を供給することも多い。たとえば、母が読むTwitterとFacebookに、TechCrunchのコンテンツを自動的に配信しているのはRSSである。

しかし、RSSに頼ってそういうサービスにコンテンツを送り込むことは、時間とともに減り続けていくだろう。代わりに、ボタン(ツイートボタンやFacebookのいいね!ボタン等)を使って、もっと積極的に共有するようになってきている。

また、モバイル機器の使用が伸びるにつれて、情報の消費や共有の新しい方法が次々と出てくる。そんなサービスの一例が、iPadのFlipboardだ。面白いことに、これがRSSを使っているようにみえて、実は使っていないのだ。

iPhoneとiPadで私が気に入っているアプリに、Reederがある。これは、Google ReaderをベースにしたRSSクライアントで速くて簡単 ― モバイルに最適なアプリだ。しかし問題は、Google Readerでフィードを設定しないと使えないことだ。それをやる人はほとんどいない。このため、Googleの今日のグラフ(不思議なことに実際の数値が入っていない)をよそに、ほとんどの人はやることがないと思われる。

実は、私は今後何年も、毎日Google Reader(とReeder)も使い続けるつもりだ。しかし、主な理由は仕事のために必要だからだ。これはマス消費ツールであって、マスのための消費ツールではない。毎日千本もの記事を読んだり追いかけたりする必要がなければ(あるはしたくなければ)、私がRSSリーダーを使うことは考えられない。これを使うと、まるでコンテンツを読むことが退屈な雑用のような気がしてくる。全くビジュアルではないし、便利な共有ツールもないので、孤立させられたように感じる。要するにこれは、極力多くの情報を小さなウィンドウの中に押し込む道具なのだ。嗚呼。

だから、Venture Chroniclesは、RSSが1999年から2010年まで生きた、と書いているが、これは正しくないと思う。私に言わせれば、RSSが本当に生きていたことはない。何百万人かのギークやプロは、BloglinesなどのRSSリーダーを使っていたかもしれないが、Facebookの5億人やTwitterの1億人という数 ― ずっと短い期間に獲得している ― と比べてみてほしい。

それに、何年も前からおよそどの主要ブラウザーにもRSSが組み込まれていることを考えると、哀れでさえある。しかも、ホームページをカスタマイズするためにと、Googleなどの会社が強く推進してきたのに。

こういう考え方もある。ある技術を使う人が何百万人いたとしても、ほとんどの人が使っている意識がなければ、なくなっても困らないだろう。私の勘では、RSSがぴったりこれに当てはまると思う。TwitterやFacebookがRSSの息の根を止めることはないだろう。それは、多かれ少なかれ利用しているからだが、それも減り続けていくだろうし、モバイルも同様だ。

デスクトップのRSSが提供するユーザー体験もひどいが、モバイルを見てほしい。モバイル版Google Readerをインストールして、URLを入力して、RSS経由で購読する人などいるだろうか。コピー&ペーストさえするだろうか。しない。なぜならほとんどの人が知らないから。

Winerの言う、RSSを「再起動」するという発想には面白いところもあるが、標準化団体やスタートアップはこれまで何年それを考えてきたのか。少なくとも10年。その間に誰ひとりとして、有力なアイディアを出した人はいない。

ともあれ、今回はこのあたりにして、続きは半年後にこの不可避な議論が出てきた時に。

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(翻訳:Nob Takahashi)