Scott Jones
ChaCha

ネット中立性をモバイルプラットホームにも拡張すべき理由

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Facebookが秘かに電話機を作っている

編集部注:このゲスト寄稿は、ChaChaのファウンダー兼CEOであるScott Jonesによる、最近の「T-Mobile テキスト税」が今なぜネット中立性問題なのかに関するオープンレターである。

連邦通信委員会(FCC)が ネット中立性問題と、その延長線上でモバイルブロードバンド規制をもてあそんでいる間に、火の手は上がり始めている。今のところまだ火は小さいが、やがて燃え広がって手のつけられない大火事になる恐れがある。なぜお気に入りのウェブサイトやモバイルアプリを使えないのか、という疑問を消費者に残したまま。

ネット中立性の概念はきわめて単純だ。消費者がFCCに期待するのは、インターネットプロバイダーが、特定のコンテンツやアプリケーションを差別するのを防ぎつつ、適度なネットワーク管理を許し、その全てに透明性を保たせることだ。今日、プロバイダーたちはBitTorrentのような帯域食らいを好きではないようだ。明日には、YouTubeや音楽サイトを、帯域をたくさん使うからという理由で嫌いになるかもしれない。何らかの歯止めがなければ、プロバイダーは政治サイトであれ宗教サイトであれ、企業として合わない意見を持つサイトに対して、ユーザーのアクセスを制限したり(ページの読み込みを遅くする)、完全にアクセスできなくすることもできる。消費者が見たり聞いたりするのに何が適切であるかを、プロバイダーが決めるのである。ある日突然、世界最大の情報図書館のあちこちに「立入禁止」や「不許可」の立て札が立つ。消費者や擁護団体は、ネット中立性法案が、この種の「企業検閲」を防ぐと言っている。

ネット中立性支持者たちは、この概念をワイヤレスサービスとその事業者にも適用することが不可欠であると言っている。なぜなら、そう遠くない将来に殆どの人たちがインターネットをワイヤレス機器経由でアクセスするようになるからだ。

「もし消費者にとって、ブロードバンドサービス事業者に幅広い選択肢があれば、オープンなインターネットを保持することは、そこまで重要な問題ではないかもしれない」と、Googleのインターネットエバンジェリスト、Vint Cerfが最近ブログに書いている。「残念ながら、アメリカ人の殆どがブロバイダーの選択肢を(あったとしても)殆ど持っていない。その結果、これらのプロバイダーは、消費者や生産者がインターネットへの入り口を使うか否か、またどう使うかに影響を与える立場にある ― そしてわれわれは、オープン性を損う差別的行動や脅威の例を、すでにいくつも見てきている。」

例えばSkypeは、インターネットを通じて無料あるいは低価格の通話を可能にし、Google Voiceは、使っている電話の種類にかかわらず単一の電話番号で受けられるサービスだが、いずれも一部のキャリアーにはブロックされている。

T-Mobileは、テキストメッセージ・マーケティングの会社から、医療用マリファナに関する情報を提供したクライアントのために、T-Mobileへのアクセスをブロックされたとして、訴訟されている。企業が多人数に向けて携帯メールでマーケティングを行うためのサービスを提供するEz Texingは、9月17日金曜日に訴状を提出した。同社では、特定の番号宛に特定の単語をテキスト送信すると商品の追加情報が得られるという、裏方インフラストラクチャーを提供している。「このケースは、互いにコミュニケーションの取りたい消費者と企業の間で交わされるテキストメッセージが、キャリアーの全くの独断によってブロックされるという新たな例です。FCCは、私たちが3年前から要請している裁定を下して、このブロック行為を早急に中止させるべきです。」と、公益団体Public Knowledge代表のGigi Sohnは語っている。

同じようにT-Mobileは、ChaChaのメッセージ・アグリゲーターがChaChaに代ってT-Mobileユーザーに送信するテキストメッセージに対して、突然課金を始める計画をしている。ちなみにT-Mobileはすでに、顧客からテキスト料金プランや、テキスト従量制などで料金を徴収してかなりの収益を上げており、アグリゲーターや、ChaChaを含めコンテンツプロバイダーからも適正な料金を徴収して利益を上げている。モバイル通信の世界的権威であるTomi Ahonenは以前、キャリアーにとってテキストメッセージは「人類の経済史上最も利益性の高いマスマーケットサービスであり、その利益率は98%を越える」と書いている。なんと。ともあれ2010年第2四半期のT-Mobile USAのサービス収益は$4.70B(47億ドル)と報告されており、第1四半期の$4.63B(46億3000万ドル)から増加している。

T-Mobileは、課金することによって「未承認」の広告メールを減らす効果があると信じ込ませようとしているが、ChaChaは質問するモバイルユーザーから事前に連絡をもらっている(T-Mobileユーザーだけで年間6000万回以上)。弊社は正確な答えをタイムリーに提供する無料サービスだ。1日200万件以上の質問に答えており、質問は主としてテキストメールで送られてきて、回答もテキストメールで返している。同じサービスはwww.chacha.comやモハイルウェブ、モバイルアプリ、Twitter等でも提供されているのだが。弊社は各ユーザーの回答ごとに1~2本のテキスト広告も付けているという意味においてのみ「営利目的」である(未承認メールは送らない)。これが、あのリアルタイム質問に答える5万人以上の人たちへの支払いに役立っている。

興味深いことに、T-MobileはTwitterとFacebook(両社合わせてChaChaの約15倍のメッセージをT-Mobileユーザーに対して送っている)について、他社と異なり税の対象でないとして新しい課金を免除している。さらに不思議なのは、仮にT-Mobileでテキストメール増加による混雑が起きているとして、コンテンツプロバイダーから来るテキスト量爆発の最大部分を占めているのはTwitterとFacebookであり、なぜ他のパブリッシャーたちがTwitterとFacebookに代って勘定を持たなければならないのか。この課金は最終的にChaChaに回ってきて10月1日から600%相当の値上になるため、弊社としてはT-MobileユーザーをSMSサービスから外さざるを得ない。何かが変わらない限り。

T-Mobileの後ろ向きな新手法に関して言うと、もしTwitterがこの税金を全キャリアーにわたって受け入れなければならないとすれば、ニールセンによる同社の2010年Q2のテキストトラフィックに基づくと、年間$50M(5000万ドル)かかることになる。仮に「テキスト税」が数年前から存在していたなら、Twitterには成長も繁栄もあり得なかっただろう。

これが何を意味するかといえば、世界最大の質問箱にアクセスすることは「不適当」であると、T-Mobileが自らの顧客に代って決定したということだ。ChaChaのユーザーでない方々も、もしT-Mobileのテキスト税が、Zynga、ESPN、NFL、NBA、Fox、Foursquare、USA Today、Weather Channel、Yahoo、AOL、Googleなど、自分の使っているサービスのいずれかに影響を与えたらどうなるか、考えてみてほしい。

ChaChaにとって、これはビジネス上の問題である。この「税」を軽減するための回避方法もある。しかしT-Mobileは、自社利用者に対して、AT&T、T-Sprint、Verizonなどの他キャリアーへ移る理由、あるいは他社から移ってくるのをやめる理由を与えていることになる。また、「テキスト税」という発想は、この分野では完全に後ろ向きの手法であり、T-Mobile顧客をさらに傷つけるものだ。またこれは、ワイヤレスサービスとその運用者に適用されることなので、明らかにネット中立性の問題である。T-Mobileは、かなりの価値があると弊社が考える無料サービスを利用する権利を、相談もなくユーザーから奪う価格体系を構築しようとしているのである。

次は、みなさんのお気に入りのサイトやサービスかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi)