アメリカの公立学校の惨状ドキュメンタリー映画–シリコンバレーの賛助や出資で完成

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映画”Waiting for Superman“のことが報道されるのは、私のこの記事と今日(米国時間9/20)のOprahの番組が初めてだと思うが、それが最後でないことは確かだ。怒れる親たちやチャーター・スクール、教育改革論者、それに豊富な資金を抱えるお金持ちたちも、必ずこの映画について語り始めるだろう。

でも、アメリカの公教育の現状を記録したこの映画が今後話題になるもう一つの理由は、それが非常に優れたドキュメンタリー映画だからだ。

世界でもっとも豊かな国…どの大統領も教育を”良くする(fix)”と約束し、国の教育費支出が毎年右上がりの国…の公立学校が、こんなに、手が着けられないほどひどいとは、私も知らなかった。問題は、気の利いた議論など寄せ付けないほど大きく、肥大化し、複雑で、混乱を極めているようだ。解決の、糸口も見えてこない。幸運にも今の私は親ではないから、事態が絶望的で、それを直す(fix)という政治家がみな嘘つきなら、将来の自分の子どもたちを私立学校に入れるための貯金を今から始めよう。

しかし”Waiting for Superman”が良くできているのは、教育の問題をたった一つの単純な問題へと還元しているところだ。それは、悪い教師を解雇できず、優秀な教師の待遇を…昇進や昇給によって…良くできないことだ。問題のこの二つの側面を示すショッキングなシーンがある。ひとつは、〔粗暴行動防止用の〕”ゴム室”で懲戒審問を待っている教師たち…中には生徒に性的暴行を働いた者もいる…が、何も仕事はしないのに今後8か月、給与を全額もらうこと。もう一つは、ワシントンD.C.の教育長Michelle Rheeの話で、彼女は、教師の給与をこれまでの地位給から能力給に変えれば、教師の収入を倍にすることが可能だと主張した。ただしこれは、労働組合が大反対して、投票に持ち込むことすらできなかった。もう一つショッキングなのが、”レモンダンス”だ〔英語でlemonは、”粗悪品”を意味する、ここでは無能教師〕。これは、一つの教区の公立学校が、”ややましなレモン”を求めて、ほかの教区と教師を交換することだ。粗悪な教師を解雇できないための、苦肉の策である。

これは、シリコンバレーや、アメリカの民間部門一般と比べても、あまりにも対照的だ。シリコンバレーの大物たちの多くがこの映画を支持しているのも、そのためである。iLikeのAli PartoviはSundanceでこれを見てただちに、これまでに見た中で最高のドキュメンタリーだとツイートした。映画祭の終了後のパーティーで彼はプロデューサに会い、各地で上映会をしたいと申し出た。FacebookのSheryl Sandberg、ベンチャーキャピタリストのJohn DoerrとBill Gurley、サンフランシスコの市長選候補Joanna Reesらも上映会に賛助し、映画の宣伝を買って出た。映画の中でインタビューされているMicrosoftのBill Gatesは、いくつかの、有名人たちの集まる上映会に出席した。そして、元eBayのJeff Skollは、プロデューサの一人だ。映画のメッセージは、映画の中でGatesも述べているが、アメリカの経済が”知識経済”に脱皮するためには、労働力全体の知的高度化が必要である、というものだ。移民に猛烈反対して”今の”仕事を死守しようとするアメリカ人ではだめだ、と。そして映画が示しているより大きな問題は、能力や成果にまったく基づいていない、仕事の粗悪な者の解雇すらできない、文化的に古いシステムと、今のアメリカ人アメリカ社会との断絶だ。

シリコンバレーのエリートたちは不況後の”救済国家”状態に恐怖を感じたが、当時の、自己保全に汲々たる銀行マンや大手自動車会社の連中は、単純に国の金を無駄遣いし、株主たちを幻滅させただけだ。しかし、学校における説明責任の欠如は、子どもたちを傷つける、とくに都心部(=低所得者地帯)の子どもたちを。映画の中で子どもたちは、良い学校に転校できるための籤(くじ)に当たろうと、必死で頑張る。もちろん、ほとんどの子どもは籤に外れる。貧困からの脱出を目指す子どもたちのあがきと、それを不可能にしている壊れたシステムを現状のまま維持しようとする、利己的な大人たちの対照が、この映画に見る最大の悲劇だろう。

映画は今週から、いくつかの都市で上映が始まり、その後ほかの都市にも広まっていく。ぜひご覧になることを、おすすめしたい。ご覧になれば、怒り狂うこと、そして、なんとかせねば!というお気持ちになることは確実だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))