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[jp] 福岡から世界へーーリアルタイムに図を共同制作できるCacooが正式版をリリース

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ブラウザで図を作成できるフラッシュベースのウェブアプリケーション、Cacoo(カクー)がいよいよ正式版をリリースする。正式な発表は9月30日(本稿を公開している時点でまだアップデートはされていない)で、同時に開始される有料バージョンではいくつかの機能が追加されることになる。2009年11月にスタートしたベータ版のユーザー数は62000人、なかでも海外からの評価が高く6割は海外からのアクセスで、120カ国から利用されている。以前取り上げた際の記事はここにある。

Cacooを運営するヌーラボの縣俊貴氏によると有料版の価格は日本円で月額480円、年払いだと4800円。海外向けにはUSドルで月額4.95ドル、年間だと49ドルで提供される。これまでの無料版も継続して利用は可能。また、今後は法人でまとめてアカウントが購入できるチーム向けのプランなども用意する予定だそうだ。

Cacooの特徴はやはりリアルタイムなコラボレーションにあるだろう。サイトのワイヤフレームやUML、ネットワーク図など、いわゆるドローイングを必要とする場面では従来、Visioやオムニグラフ、イラストレーターなどのマシンにインストールするローカルアプリケーションを使うのが一般的だった。

しかしこのような作業は往々にしてチームでの作業が多い。Cacooはこの共同作業をオンラインで同時に進行できるところが特徴だ。同様の競合サービスであるCreatelyはCacooよりも先行しているサービスだが、リアルタイムでの共同作業はまだ実現していない。

一方で機能やパフォーマンスという点ではローカルアプリケーションに劣るところがあるのも事実だ。どちらを使うか、というよりは使うタイミングやシーンが違うと考えたほうがよいだろう。この使い分けをより便利にしてくれる機能が今回の有料バージョンで追加される。それがベクター形式SVGフォーマットのサポートだ。

SVG形式は従来サポートされていたPNG形式と違って、拡大時の劣化がない。つまり、オンライン上でチームが制作したなんらかのドローイング素材をそのままダウンロードして次の段階、例えばアドビのイラストレーター等でブラッシュアップすること、などという作業の連携が可能になる。

このような仕様段階の作業はデザイナーがおこなうことが多い。図上で確定させたテキストなどをそのままデータ移行できることで作業自体が二度手間にならないことは、このツールをビジネスで活用する上で強力な後押しになるだろう。同時にPDFでの書き出しもサポートされる。

またもうひとつ、有料版では共有フォルダも追加された。無料版では「図」に対して共有するユーザーの登録ができたのに対し、共有フォルダではフォルダ単位で共有ユーザーを設定することができる。このフォルダ内に入った図は自動的に共有される仕組みだ。特に大量の図を作成するケース、例えばサイトのワイヤーフレームやパーツリストなど、いちいち図に対して共有設定したくない場合は有効だろう。

Cacooが教えてくれることはツールのよさだけではない。運営するヌーラボは福岡を拠点に活動するシステム開発会社だ。とかく首都圏に集中しがちな開発環境について、福岡で開発することの利点、不利点を聞いてみたが「首都圏にくらべて家賃が安かったり通勤が便利とか仕事しやすい環境は確かにある。しかし世界向けのサービスを作っているという視点では、将来的に海外ユーザーが9割程になることが想定されるので、東京とか福岡とかは小さなことになると思う」と語ってくれた。彼らのような展開は様々な地域で世界を目指して開発を続ける事業者にとっても参考になるのではないだろうか。

今後に関しては「ユーザー数を2011年9月までに40万人まで引き上げるのが目標」だそうで、そのために大きくはアプリの多言語対応とfacebookやGoogle Apps Marketplaceなどへ対応させることを検討しているそうだ。なかでも多言語対応については20〜50カ国を目標に、独自の翻訳システムをCacoo内部に構築し、ユーザーの協力を得ながら様々な国で各国のローカライズ作業を進めているという。