ブラウザ革命の予感―GoogleがChromeをソーシャル・プラットフォームにしたら? Facebookがブラウザを作ったら?

次の記事

革命はツイートされるのか


Microsoftの「死の抱擁」から逃れてオープン化されたことでウェブブラウザは新時代を迎えた。IE以後に登場したFirefox、Chrome、Safari、Operaなどはみなオープンソースであるか活気あるデベロッパー・コミュニティーに支えられて繁栄している。一方ユーザー側から見れば、使うブラウザを変えるのは簡単だ。しかしこの状況は根本的に変わるかもしれない。

内部事情については何も知らないことを断っておかねばならないが、最近のトレンドを見ているうちにそういうことを考えるようになってきた。たとえば、もし Googleがユーザーにシームレスなソーシャル体験を提供するために、新たなサービスを開発するのではなく、ユーザー体験の究極のレイヤーであるブラウザの利用に踏み切ったらどうなるだろう?

もちろんChromeブラウザを提供しているGoogleなら実行可能だ。ブラウザを開くときに一度ログインすれば、あらゆるソーシャルサービスへの接続がすべて済んでしまうところを考えていただきたい。そのブラウザさえ使っていれば、すべてのソーシャルサービスが―といってもGoogleが提供するサービスだが―自由に利用できる。いちいちそのために別々のウェブサイトを開く必要なしに、Chromeを使っている限りアラート、インスタント・メッセージ、ステータス投稿、すべてが自動的に表示される。

少々気味悪く感じる読者もいるかもしれない。しかしブラウザにこのレベルの個人別カスタマイズが導入されるのはさほど遠い将来のことではあるまい。たとえばChromeのオムニボックス(URL表示と検索入力の双方が行えるボックス)はすでにGoogleの支配地区だ。もちろん検索エンジンの既定値を変更することはできる。しかしそんなことをするユーザーがどれほど存在するだろう? 最近Google Instant機能が追加されたのでますます便利になっている。

しかも、Chromeはアプリを販売する独自のウェブストア近々オープンする。 こうしたアプリ(特に有料アプリ)はChromeブラウザ上でし作動しないだろうし、支払いもDRMもChromeを通じて行われることになる。

どのような仕組みになるのだろう? おそらくはブラウザを開くときにGoogleアカウントにログインすることが必要になるだろう。Googleはこれを一部実行に移している。Chromeでブックマークの同期機能を利用するにはGoogleアカウントにログインする必要がある。最新のChromiumのビルドでは、Googleサービスを利用するために、ウェブサイトにログインするのではなく、ブラウザそのものにログインすることが明らかとなっている。

それからもちろん例のChrome OSというものがある。こちらもローンチが間近といわれている。この場合も、ユーザーは使っている間ずっとGoogleアカウントにログインすることになるはずだ。聞いたところでは、本質的にはChromeOSとChromeブラウザはまったく同じものだという。一方は他のOS(Windows, OS X, or Linux)中で作動するOSであり、一方はその余分なレイヤーがない、というだけの違いだという。しかし機能は双方まったく同一だというのだ。

もちろんソーシャル化に特化したブラウザはFlockを始め、他にも存在する。しかしChromeは賢明にもユーザー毎のパーソナル化を慎重にゆっくりと進めている。しかもキラー機能が2つある。Googleのさまざまなサービスが使えることと最速のブラウザであることだ。今やChromeのユーザーは1億に近づいている。GoogleがChromeにソーシャル機能を全面展開する日が近づいているのではないか?

これには一部のユーザーから反発が起きるのは間違いない。しかしGoogleは現在Chromium(Chromeのベースになっているオープンソース・プロジェクト)版が示している方向へ人々を引っ張っていこうとしている。実際のところ現在のChromiumはChromeの実験場程度の意味しか持っていない。しかしもしChromiumがGoogle独自のブラウザをしのぐ有力なオープンソース製品に発展したらどうなるだろう? これも決してあり得ない想定ではない。

われわれはユーザーがもっとGoogleにログインしてくれるよう望んでいる」と先週CEOのEric Schmidtは述べた。言うまでもなく、ユーザーが常にGoogleアカウントにログインした状態のブラウザはこの目的に理想的だ。Googleはユーザーのウェブ上での行動を逐一モニタすることができる。「これこれのすばらしいサービスやコンテンツが利用できるようになる」と言ってこの状態にオプトインするよう巧みにユーザーを勧誘するはずだ。

それどころかさらに過激なモデルが現に作動中だ。AndroidとiPhoneを見ればよい。どちらのプラットフォームでもユーザーはブラウザ・レベルどころかOSレベルでログインすることを求められる。これももちろん「使いやすさ」を口実にしている―というか、それも事実には違いないが、同時にGoogleとAppleに膨大なユーザーデータへのアクセスを可能にしている。

しかもウェブ全体がその方向に動いていることに気づかないとしたらどうかしている。もしGoogleが究極のソーシャルウェブブラウザを作らなくてもFacebookが作るかもしれない。

今のところFacebookがブラウザ開発に興味を示している兆候はまったくない。しかしそれをいうならGoogleのChromeの発表も出し抜けだった。FacebookのCEO、MarkZuckerbergは最近、 一度ログインするだけであとはFacebookのエコシステム内の全てのサービスが利用出来る洗練されたシステムが必要だと繰り返し発言している。Facebook Connectも部分的にはこの機能を果たしている。しかし十分ではないことはZuckerberg自信がよく知っているだろう。

だからFacebook携帯というアイディアもそれほど突飛ではないのだ。Facebook携帯やFacebookブラウザの開発は何年もかかる大
仕事になるだろうが、GoogleやAppleにしても同じことだった。Facebookブラウザができれば、Facebookの抱えている問題のいくつかは即座に解決する。Facebookブラウザというのは短期的なソリューションとしては最適かもしれない。

Facebook専用ブラウザなどといえば笑い出す読者もいるだろうが、それならどれほどのユーザーがFacebookを使っているか思い出して欲しい。おそらく非常に多くのユーザーがそのブラウザを使うだろう。Facebookのチャット、アラート、もちろんニュースフィードが組み込まれたブラウザは大ヒットになるだろう。ユーザーはもちろん外部ののサイトも自由に訪問できる。しかしそうしている間も常にFacebookにログインした状態だから、ワンクリックですべてのFacebookの機能が利用できる。ショッピングも意のままだ。しかもほとんどの場所であらためてログインせずに〔Facebookの身元認証を利用して〕コメントの投稿ができる。

さまざまな情報の共有にも適している。ユーザー数は膨大だろう。

このアイディアについて考えれば考えるほど、Facebookがそれをやらない手はないと思えてきた。いずれにしてもGoogleはやる。GoogleとAppleはAndroidとiPhoneによってユーザーデータの利用レースですでに大きなリードを得て走り出している。これほd巨大なユーザーデータを保有しているFacebookがレースに加わらない法はない。

繰り返すが、私はこれらの企業の内部事情はまったく知らない。しかし私にはウェブ利用法が近く大き変貌しそうだという強い予感がする。こうした変化はユーザーにとっては良い点、悪い点双方あるだろう。しかし現在のウェブの中核をなす大企業にとって計り知れないメリットがある。だからこそ、そういう変化が起こるのは確実なのだと私は指摘したい。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦/namekawa01