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Mac用アプリストアが、マイクロアプリという新ジャンルを生む

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Googleより人間に聞きたい時もある

この週末、Ryan BlockがgdgtにMacアプリストアには十分な商品があるのか?という興味深い記事を載せた。彼は、なぜAppleが現在のApp Storeの成功を新しいデスクトップストアで再現できないか、についていくつか鋭い理由を挙げている。しかし私は、このストアが新しい種類のアプリを生みだすのではないかと考えている。デスクトップ用マイクロアプリのようなものだ。

Blockは次のような点を挙げている。a) Photoshopのようなハイエンド製品はこのストアに載らない。AdobeはAppleに売上の30%を渡したくないから。b) 有償デスクトップソフトウェアの大半が、とって代るウェブ上の無料ソフトのために、すでに死んでいるか死につつある。c) Appleの厳しい規則によって、新ストアをテストやデモソフトのために使うことができない。私はいずれの理由にも賛成だ。そしてそれが、このストアが新しい種類のアプリ環境の生みだすのではないかと私が思う理由だ。

先週のイベントでの短いデモやウェブサイトのティーザー広告を見ると、AppleはこのMac App Storeを使って、Pages、iPhoto、iMovieなどフルバージョンのMacアプリを配信する意向であると思われるが、私はこの新ストアの人気のアプリは、むしろMacのダッシュボード・ウィジェットと似たものになるのではないかと思っている。

私の考えはこうだ。iPhone App Storeがスタートして以来最も人気のあるアプリのひとつがPandoraだ。もちろんPandoraはウェブブラウザー経由でも使えるが、多くのユーザーが、デスクトップのどこかに置いてバックグラウンドで走る小さなアプリを使っている。なぜわかるのかって? Pandoraがすでにそのようなアプリを作っているからだ ― ただし、AIR上で動作し、使うにはPandora Oneのプレミアムアカウントが必要だ。では、もしPandoraが無料の広告収入型Pandora Macを作ったらどうなるだろうか。あるいは、追加機能のある有償バージョン($5または$10程度)はどうだろう。多くの人たちがそんなアプリを欲しがるのではないだろうか。

Mac用デスクトップTwitterクライアントはどうだろう。人気アプリの多くが、AIR(TweetDeck)やSilverlight(Seesmic)の上でも動く。Tweetie for Macのように、絶対的人気のネイティブMacアプリも存在するが、Twitterはこのアプリを買収して以来、継続開発を宣言していない(ただし片手間にはやっているらしいと言われている)。こうした優れたアプリに対しても、ユーザーは少額を払う意志はあるだろう。

しかし、スモールアプリにとって考えられる本当のチャンスは、人気ウェブアプリをただ真似るのではなく、それを拡張することにある。例えば、すばらしい写真アップロードと閲覧機能のあるFacebookアプリを想像してみてほしい。これは、当初Appleがデスクトップウィジェットで考えていたアイディアのようだが、じっさいには実現しなかった。ひとつの理由はまちがいなく、流通経路がなかったこと、そしてデベロッパーが稼ぐ手段がなかったからだ。Mac App Storeはどちらの問題も解決する。

このストアは、さもなくばウェブアプリの海に沈んでいた ― あるいは存在すらしなかった ― かもしれないスモールアプリという全く新しい群を生み出すかもしれない。もちろん、Instagramのように、iPhone App Storeなしでは存在しえなかったすばらしい新サービスだって可能だ。おそらくMac App Storeは、デベロッパーたちを新しい体験と新しいアプリ群へと導いていくと思われる。

そしてもちろんゲームがある。従来のゲームメーカーは、当然70/30の利益分配より100%の利益の方が良いので、Mac App Storeゲームには手を出さないかもしれない。しかし、Mac App Storeの配信力を活用する多くのマイクロゲームメーカーが現れるだろう。Angry Birds、Cut The Rope、等々。これからどの名前も見ることになるだろう。そして巨大になっていく。

Mac App Storeに弾みをつける理由のひとつに、光学ドライブの廃止があることも私は言っておきたい。これでAppleは最新MacBook Airのような機種をもっと作れるようになる。MacApp Store経由で購入したアプリは、ウェブを通じて直接ダウンロードしてインストールされる。しかも新しいマシンにアップグレードした時には、もう一度インストールできる。CDもDVDも必要ない。

もちろん、ユーザーのアプリケーション購入体験をシンプルにするためでもある。現在でもインターネット経由で購入、ダウンロードできるソフトウェアはたくさんあるが、手順はまちまちであり概してやりにくい。Mac App Storeがこれを変えるだろう。多くのユーザーとデベロッパーもこれを観迎するはずだ。

当然こうした統一化の試みは、Appleがいずれこのストア以外からMacにアプリをインストールできなくするのではないかという恐れを、人々に強く抱かせるだろう。しかしそれが起きることはない ― Appleもそこまで大胆ではない。仮にそんなことをすれば、Macユーザーによる大混乱と反発は膨大なものになるだろう。Appleもいろいろだが、バカではない。従来の方法でアプリをインスールする道は残るだろう。

たしかにiPhoneには、App Store以外からアプリをインストールできない、しかし元々そうだった。Mac黎明期にはそんなルールがなかった。もしそうしたいと思っても、Appleが変えるには遅すぎる ― 少なくとも直接やるには。

むしろ、この新しい配布モデルを持つiPhoneやiPadのようなコンピューターの方が、いずれMacを数で上回るだろう ― 最近の販売台数に基づけばすでにそうなっているかもしれない。

Appleは、このMac App Storeの最初のバージョンを90日以内に公開したいと言っている。スタート時に、さまざまな分野のサードパーティーデベロッパーが顔を揃えることは間違いない。しかし、この新流通モデルの使われ方が明確に見え始めるのは、少したってからだろう。そして最終的には、数多い$5のマイクロアプリやスモールゲームがこのストアの主力になるだろうと、私は考えている。

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(翻訳:Nob Takahashi)