[jp]日本のシードアクセラレーターはいまどうなっているのか

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米国でのY combinatorTechStarsの成功をもとに、日本でもいくつかのシードアクセラレーター(短期育成型のインキュベーション)としてのインキュベーション/投資プログラムがスタートしているのをTechCrunch Japanでいくつか記事にしているので目にした人もいるかもしれない。ただ、その結果について語られる場面は少ないので紹介しておこう。

たとえば、そのさきがけとなったGMOが実施したソーシャルゲームに特化した「アプリやろうぜ」プロジェクトは、その支援プログラムに550を超えるエントリーがあり、27チームが採択されている。そこから噂では月商1000万円クラスを売り上げるアプリが数本生まれているし、中には月商4000万円を超える「ガドラン★マスター! by GMO」も生まれている。すでに、このゲームを開発したスーパーアプリはGMOの持分法適用会社となっているようだし、ほかにも投資案件があるようで、決算発表でも来期への利益貢献について言及されていることを考えると、GMOとしてはこのプログラムに対して手応えを感じているようだ。

一方で、デジタルガレージ、カカクコム、ネットプライスの3社がこの7月にスタートさせたOpen Network Lab(以下、ONL)もすでに1期を終えて、現在2期目を募集中だ(応募締め切りが間近)。伊藤穣一氏やLinkedInファウンダーのReid Hoffman氏、NapsterファウンダーのShawn Fanning氏、オライリーメディアのTim O’Reilly氏など錚々たるメンターが参加するONLの1期生には41社が応募があって7チームが採択され、9月にプログラムが終了している。

7チームの中にはデジタルガレージ主催のThe New Context ConferenceでファイナリストとなったGifteeやONL後サムライインキュベートが出資したSassor(サービス名はEnergy Literacy Platform)などがある。ただ、前出のGMOのようにソーシャルアプリではないので、すぐに収益を生むようなサービスを提供するチームはないが、Open Network Labも1期を終えてある一定の成果を得たとデジタルガレージのインキュベーション事業企業、DGインキュベーション代表取締役社長の南一哉氏は語ってくれた。実際に現在、投資を検討しているところもあるようだ。

ONLのサポート期間の3カ月の間に何が行われたかといえば、メンターがやってきていろいろとチームにアドバイスを与えてくれたということだという。「このチームは」というところに張り付いてアドバイスをしていたメンターもいたそうだ。ただ、実際にReid Hoffman氏やShawn Fanning氏、Tim O’reilly氏がやってきてアドバイスをしてくれることはなかったようだが、Beautylish創業者のNils Johnson氏は日本にやってきて熱心にアドバイスをしてくれたと、このプログラムの参加者の一人、Qlippyの白形洋一氏は証言してくれた。

Open Network Labの採択メンバーが自由に使えるオフィスの様子

重要なのは同じ意識を持った人たちが集まることで、切磋琢磨したり、志を共有することなのだろう。Y combinatorが同じ期間にプログラムに参加した創業者同士の交流が重要な意味を持っていることはすでに書いた。ONLには決まった週一のディナーがあったわけではなかったようがだ、ONLのオフィスで肩を並べて仕事をするうちに、のちのちには採択チーム者同士の食事会や自発的な勉強会なども生まれている。

運営側としても問題がなかったわけではない。活動資金は提供するがY combinatorのように最初に株式を取得するわけではないので、プログラム終了前に採択チームの知名度が上がってしまったらバリュエーションが高くなって優先権利があったとしても投資しずらくなるということもあったようだ(2期目からは契約条項を変えたので、積極的に広報活動をしていくという)。

アプリやろうぜ、ONL以外にもシードアクセラレーターとしてのプログラムはある。サイバーエージェントベンチャーズが主催するStartups 2010は12月1日にその採択チームが発表される、また、DeNAがファンドに出資したインキュベイトファンドが主催する創業支援プログラムのインキュベイトキャンプの第一回も近日中に開催される。これらの結果もまたTechCrunch Japanで紹介したいと考えている。

ただ、創業支援も大事なのだが、本来はその出口に目をむけるべきだろう。Y combinatorもTechStarsも創業支援した会社が買収されるケースがいくつもあったことが重要だ。もちろん、IPOを目指して大きく成長させていくことも大事だろうが、IPOが激減している現在、買収というケースがなければこういた動きもいずれ萎んでしまう。日本でもメディア業界やインターネット業界、通信業界などの大手企業がこういった若い会社を買収するサイクルを生み出していく必要があるだろう。