YahooとAOLの合併の噂: 一つの石は水に浮かないが二つ一緒なら浮く?そんな!

次の記事

Gmailの優先トレイは効果あり。メールを読む時間が15%短縮

このところ毎月のように、YahooとAOLの合併の是非を云々する噂が流れる(ところでAOLは本誌TechCrunchの親会社だ)。今日(米国時間12/6)はReuters(ロイター通信)が、長い記事で噂を再燃させた。情報源は明かされていないが、どうやらいろんな情報筋が背後にいるようだ。たぶん投資銀行筋やAOLの役員が、ネタの一部を提供したものと思われる。でも、そんな合併を当然阻むであろう深刻な問題を、彼らは理解していないし、彼らの分析の一部は単純に間違っている。

ここで思い出すのは、弁護士時代に手がけた2つのテク企業の大型合併…AOLとNetscape…だ。そのころのNetscapeは、かつての輝きを失っていた。MicrosoftがInternet Explorerで同社の活力を奪い、さらに同社は、有効な新路線を見いだせないまま低迷していた。まさに、何をやってもだめ、という状態だった。合併の案件は、弁護士であるわれわれにとっては大きな商機と言えたが、思い出すのはあるパートナーが言った言葉だ。なぜ両社は合併しようとしているのかという質問に対して彼は、”2つの岩をくっつければ浮く、と彼らは期待してるのさ”、と答えた。

もちろん、岩は水に浮かない(とっても小さなやつ以外は)。でもどういうわけか、そういう性格の吸収合併案件がいつも登場する。そして何が起きようと、話はまっしぐらに進む。ビッグな結婚話は、人びとの心を悪いニュースに対して盲目にしてしまうのだ。

今のAOLやYahooが”岩”だとか、いずれつぶれると言う気はないが、でも両社をくっつければ何かいいことがあるとは、とうてい思えない。どちらも、長期的な夢だけでなく、具体的な財務状況についても考える必要がある。そうすると今から10年後には、合併会社YAOLooは、仮に合併しなかった場合の各社の状態に比べて、決してより強力な企業にはなっていないだろう。

両社ともに、抱えている課題が大きい。いまだにダイアルアップ事業に依存しているAOLは、まるで巨大なATMマシンのようだ。その、運用コストがほとんどゼロのマシンは、毎四半期に何億ドルというあぶく銭…労せずして稼いだ金…を同社にもたらす。彼らは、おっとわれわれは、そのATMマシンが干上がったときに備えた有効な事業を、確保していなければならない。そのための戦略はある。次から次と大量のオリジナルコンテンツを作り、それらをいずれも単独のブランドとして打ち出し、そのコンテンツへの広告を売る。そして、それまでの、ホームページ/ポータル的なものやその関連サービスからさらに上流〔オリジナルコンテンツの制作〕へと泳ぎ続ける…若い人たちほど、今ではFacebookやGoogleでなんでもすませてしまうことを、十分に知りながら。この戦略は、うまく行くだろうか? ぜったいに、うまくいってほしいけどね。

Yahooは違う。彼らは今なお、完全にポータル/ホームページ世界の住人だ。ソーシャルという言葉を口にはするが、ここ数年で数億ドルを投じたにもかかわらず、目に見える結果は何一つ生まれていない。今のYahooは、すでに敗北している。ソーシャル製品に関わっていたプロダクト関連/エンジニアリング関連の人たちは、次のレイオフでいなくなるだろう、Yahooに近い筋がそう言っている。今Yahooが熱心にやっているのは、大幅なコスト削減と、今なお最先端のテク企業であるというふりをし続けることだ。

AOLは、金を使い、実験をしている。Yahooは節約し、事業を縮小している。どちらが良い戦略か? それは分からないけど、一社が両方やることは不可能だ。これまた、合併が良いアイデアではないことの理由。

それから、YahooにはYahoo JapanとAlibabaの株がある。それは巨額だから、売れば大量の税金を取られる。それらの資産はYahooに対してポイズンピルのように作用し、プライベートエクイティ企業が敵対的買収をほとんど構想できない原因になっている。Yahooが自ら進んでそれを処分しないかぎり、合併はあり得ない。しかもそれはYahooが独立の公開企業であり続けるための原資の一つだから、CEOの座を失いたくないCarol Bartzが処分をするはずがない。このポイズンピルがなければ、Yahooはとっくに空中分解している。

Yahooの人たちにも聞いてみたが、現時点でAOLからの買収オファーを歓迎したい、という声は一つもない。また、AOLの人たちは、軽い関心を持っている程度だ。この話に積極的なのは、投資銀行だ。公開企業同士の大型合併は、手数料も大きいから。

というわけで、実態は以上のとおりだ。投資銀行が話を煽り、一部のマスコミが踊らされている。YahooがCarol Bartzの死の呪縛から解き放たれることはとても嬉しいが、しかしそれでも、この合併は絶対にあり得ないだろう。

[原文へ]
[jpTechCrunch最新記事サムネイル集]
[米TechCrunch最新記事サムネイル集]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))