Friendster

ソーシャルネットワークの歴史 Part 2:Web2.0からFacebook、TwitterとFoursquare

次の記事

Chrome OS初体験記–パソコンがクラウドにあるという状態は慣れが必要だ

編集部注:本稿はGRP Partnaersでベンチャーキャピタリストとして活躍しているMark Susterによる「ソーシャルネットワーク」三部作の第二部となるもの。記事は過去、現在、そして将来のソーシャルネットワークを考えるものとなっている。もしまだお読みになっていない方がいらしたらPart Iからお読みいただきたい。本稿に続いてはPart IIIがある。著者のMark Susterは@msusterのアカウントでツイッターも利用している。ちなみに本稿の元となったのは、MITとカリフォルニア工科大学で行われたEnterprise Forumでの「ソーシャルネットワークの未来」(the futhre of social networking)いう名前の講演だ。ビデオも公開されており、また記事末には使用されたPowerpoint資料も掲載している。ちなみにこの資料はDocStocにも登録されている。

Web 2.0時代のソーシャルネットワーク:PlaxoとLinkedInの登場

前回の記事で、オンラインソーシャルネットワークの歴史を振り返ってみた。CompuServe、Prodigy、the Wellなどにはじまり、そしてAOL、Geocities、およびYahoo Groupsがそれを引き継いでいった。そしてこれに続いたのは「スパム風」のネットワークで、この流れをリードしたのがPlaxoだった(2002年に設立)。共同創立者のひとりはSean Parker(Facebook初期にはMark Zuckerbergと一緒に仕事してもいた)だった。電子メールのアドレス帳に登録している人々全員にメールを送り合い、Plaxo上で情報を管理しようというアイデアだった。こうしておけば登録情報が変更された際にも、直ちにPC上の情報も修正できる。いつの間にか連絡先がわからなくなってしまうようなことを防ぐことのできるサービスだった。

Plaxoの考え方には反発もあったが、バイラルネットワークというものを広めるきっかけともなった。Plaxoに続くソーシャルネットワークが登場する度、「また友人がスパム宣伝を送ってくるサービスが登場したな」と思いつつ、この流れは徐々に広まっていくこととなった。

この後にやってきた大物と言えばLinkedInだ。Plaxoは、人びとをオンラインで繋いだあとにどうするのかを明確に意識してはいなかった。この点をしっかりと認識していたのがLinkedInだ。LinkedInはネットワーカーのネットワークをつくろうとしたわけだ。誰と繋がっているのかということだけでなく、繋がっている人が誰を知っていて、その人とどうやれば繋がれるのかということがみえてくるようになった。これにより、突如としてオンラインソーシャルネットワークに新たな次元が持ち込まれることになった。つまりビジネス用途としても利用できるようになったのだ。LinkedInはこうした用途をより有効に機能させるため、できる限り多くのデータを登録するようにと促していた。

そしてもちろん、この時代にWeb 2.0が生まれ、ウェブが「参加型」になってきたというのもある。ただWeb 2.0が台頭することになった背景には、同時期のハードウェア進化があったことは見逃されがちだ。進化したハードウェアによって、より多くのコンテンツを簡単に用意できるようになったのだ。とくに写真とビデオ関連ハードウェアの果たした役割が大きい。これらなくしてはWeb 2.0を巡る様相も大きく変化していたことだろう。確かにBlogger.com、Typepad、およびWordpressなどのブログは突如として大流行しはじめた。多くの人が自分の写真をブログに掲載するようにもなった。

しかし多くの人がブログで「記事」を書きたかったわけではない。自分や友人の写真を掲載し、それらを共有し、そしてそれらを通じてコミュニケーションを生み出して繋がりを求め、種々の経験を共有したいと考えていたのだ。もちろんデート相手を探そうとした人もいるだろう。前の記事にも書いたが、こうした流行は1980年代にもあったことだ。まだソーシャルネットワークはその黎明期にあったと言って良いと思う。

モダン・ソーシャルネットワーク:Friendster、MySpaceおよびFacebook

こうしたなかで登場してきたのがFriendsterだ。LinkedInと同様の形式で個人のページを作成しそこから繋がりを生み出していくことができた。ただLinkedInとの違いはビジネス色を払拭したことにある。インタラクティブな繋がりを生み出したソーシャルネットワークサービスとして、Friendsterがその嚆矢といえるだろう(LinkedInでも「friend」関係は築かれていたが、その関係に基づいて何か新たな動きが生じるということはほとんどなかった)。ただ、Friendsterはシステム的に利用者の増大に対応することができなくなってしまった(相互のつながりやプライバシー、利用者の承認システムなどが複雑になりすぎたためだという話だ)。変わって登場して急速に市場シェアを拡大していったのがMySpaceだ。Friendsterは登場後間もなくにして、表舞台から姿を消していった。。

時を同じくしてデジタルカメラは安価になり、カメラ付きスマートフォンも広まり始め、また簡単にビデオ撮影をすることのできるFlipのようなビデオカメラも登場してきた。自身で簡単にビデオ撮影ができるようになってきたのだ。

但し、MySpace自体には画像やビデオを取り扱うための便利な機能などはなかった。この隙間を埋めたのがPhotobucketやImageShackだ。写真をPhotobucketに掲載し、ビデオはYouTubeに投稿する。そしてMySpace上で友人と共有するという使い方が一般的になっていったのだ。

そしてFoxが$580M(5億8000万ドル)でMySpaceを買収する。すぐにGoogleと広告提供契約を結び、買収費用を回収することとなった。この一瞬間においてのみ、ルパート・マードックは、インターネット上で最も成功を収めた人物とみなされることとなった。Googleの方は$1.65B(16億5000万ドル)でYouTubeを買収した。当時は高すぎる買い物と批判されたが、今では大成功例として語られる。YouTubeはインターネット上でも最も価値のある資産と目されるまでになっているのだ。MySpaceも当時YouTubeの買収に食指を動かしていたが、MySpaceの株式の示す企業価値は、Googleと競ってYouTubeを手に入れるまでには達していなかった。

後にMySpaceはPhotobucketを$250M(2億5000万ドル)プラス$50M(5000万ドル)のアーンアウトで買収した。ただこの買収はYouTubeのように大成功を収めるということにならず、2年後に比較的無名なOntelaというシアトル企業に売却することとなった。売却金額は$60M(6000万ドル)だと言われている。

このようにマードックおよびMySpaceのおかげで、いくつかのスタートアップが多額の現金を得ることとなった。MySpaceのネットワーク基盤を自由に使えたおかげで、YouTubeやPhotobucketは大きく成長することとなった。ここでMySpaceは、勝手にプラットフォームを利用して何百ドルもの利益をあげ、しかるのちにむざむざとGoogleに買収されてしまうような企業を再び作らないようにしようと決意した。

そこでFoxはSlingshot Labsという自前のイノベーションセンターのようなものを作ったわけだ。MySpaceとは独立してイノベーションを生み出させ、パフォーマンス毎に予め決められていた額により、そのプロダクトを買収しようとするものだった。これはがちがちの管理体制からイノベーションを生み出そうという発想で、うまくいくものではない。最初にこの話を聞いたときにはつい鼻をならしてしまったものだった。若いアントレプレナーを金で釣ろうという、いかにもイノベーションというものを理解していない大企業風のやり方だった。

このような状況下でFacebookが登場して急成長を遂げることとなる。2004年から2007年にかけて一気に利用者を獲得して1億ユーザーを達成した。同時点でのMySpaceまであと一歩というところまでに到達したのだ。Facebookはさまざまな面でMySpaceの逆を行こうとするものだった。サービスの品質は高く、独自のサービスを展開し、都会的でエリートの雰囲気を持ち、広告もなくて外見もスマートなものだった。当初は利用者層に制限も設けられていた。一方のMySpaceの方はデザイン面はあまり顧みられることなく、ティーンエイジャーが多く、中産階級よりの雰囲気があり、広告満載で見栄え的にもカオスになっていた。

ただより重要な違いがある。MySpaceの方は外部サービスがMySpaceを利用したイノベーションを行ったり、あるいはそこから利益をあげるようなことがないよう強く制限を行っていた。Facebookはこれとは正反対のアプローチをとっていたのだ。オープンなAPIを用意し、どのようなアプリケーションも作成して公開できるプラットフォームの提供も行った。またFacebookは、そうした仕組みを利用して収益をあげるサービスに課金するようなことも一切考えていなかった(その時点での話)。SlideやRockYou、およびZyngaなどはさまざまなソーシャルネットワークでアプリケーションを提供しようと考えていたが、開発者たちの希望を聞き入れてくれたのはMark ZuckerbergのFacebookだけということになった。

この時がまさに、22歳のMark Zuckerbergが75歳のルパート・マードックを凌駕した瞬間だった。続く12ヵ月でFacebookは利用者を倍加させ2億人規模となり、一方のMySpaceは1億人にとどまったままだった。古くからのシリコンバレーの教えがここでも有効だったわけだ。すなわちサードパーティーのイノベーションを促すようなエコシステムを構築して、その全体を管理するようなシステムにした方がビジネスはうまく回る。システムを利用するサードパーティーに対して課金するような方法をとることもできるからだ。マイクロソフトもAutodeskも、あるいはSalesforce.comも同様のアプローチを採っている。教えが有効であることを示す実例は全米に溢れている。

その後もFacebookは成長を続け、サイト滞在時間で見るとGoogleやYahoo!をすら上回ることとなった。Slingshot Labsの方は短期間の閉鎖されることとなり、構築した試算は売り払われるか、ただ消え去ることとなった。それもむべなることだ。

リアルタイムソーシャルネットワークの誕生:Twitter

Facebookは、個々人の情報はプライベートなもので、情報の共有は友人間で行われるものだという前提をもっていた(しばらく後にこの前提は覆されることとなった)。この前提に対し、共有される情報はオープンなもので誰もが閲覧できるものだという観点で誕生してきたのがTwitterだ。考え方として革命的な転換だったと言える。そして利用者もこの点を認識し流行することとなった。つまりTwitterというのは、家族と子どもの写真を共有するような目的で生み出されたものではないということだ。

もうひとつTwitterが革命的だったのはその「非対称性」という概念だ。すなわち情報のやりとりに双方向のフォローが必要になるのではなく、とにかくフォローすれば相手の情報が閲覧できるという仕組みになっている。つまり面白いと思った人を好きなだけ集めて自分の情報フィードを管理することができるというわけだ。Twitterでの発言自体は140文字に制限されている。そこでしばしばリンクを共有することになるわけだが、これもTwitterの特徴のひとつだ。好きな人をフォローすることができ、そこでリンク情報が共有されるというのは、これまでRSSリーダーを使っていた人にとってある種理想の環境をもたらすこととなった。すなわち興味のある人が集めた情報が自分向けに流れてくるという状況を生み出したのだ。

もちろんTwitterはRSSの代替となるだけではない。Twitterについては記事にまとめたこともある。簡単にまとめればRSSリーダーとしても利用でき、チャットルームのような使い方もすることができ、インスタントメッセージの代わりにもなる。またマーケティングやカスタマーサービスのツールとしての使い方もあるし、データマイニングツールとして利用することもできる。

さらにTwitterの人気を支えているのは、そのリアルタイム性にも理由がある。今やたいていの重要ニュースはまずTwitterに流れるようになりつつある。Twitterでの話題がニュースで取り上げられるというようなことも起こっている。

ただTwitterはプラットフォーム関連の仕組みについてはまだ十分な解を提出できていない。すなわち多くのサードパーティー開発者たちに魅力的なアドオンを制作してもらう仕組みがまだ構築されていないのだ。どうやらTwitter側にはサードパーティーアプリケーションに対するアレルギーがあるのかもしれない(逆かもしれないが)。18ヵ月前には、流れてくるツイートの25%がTwitter APIを使ったプロダクト実装についての話題だった。最近はこの手の話が入ってこない。実際のところ一件も入ってきていない。今ではFacebookプラットフォームを以下に使うかという話が増えているように思われる。

私自身はTwitterを愛用している。しかしながらTwitterには、MySpaceとFacebookについて記した上の内容を十分吟味して欲しいと思う。まずはプラットフォームを広く開放してサードパーティーの成長を促すことこそが大事だと理解してもらえるだろう(少なくとも私はそのつもりで書いた)。サードパーティー自らの資金(ないしVCマネー)でのイノベーションを促し、最善のサービスと提携してやっていくのが効率的だ。外部からの参入を妨げ、マネタイズの方法も制限していては、すべてを内部で行わねばならなくなり、もちろん資金も自前で用意しなければならなくなる。何をなすべきかは明らかなように思える。私が何かを見逃しているということなら、ぜひ教えて欲しいものだ。

モバイル対応が進み始めたソーシャルネットワーク:FoursquareとSkout

現在、ソーシャルネットワークはモバイル環境に適応しつつあり、利用方法もそれにともなって変化しつつある。もっとも大きな変化は、ソーシャルネットワークに「位置情報」が持ち込まれつつある点だろう。この分野でもっとも広まっているのはFoursquareだ。Foursquareについては技術トレンドの先端だと評価する人もいれば単なる一時的流行だと切り捨ている人もいる。ただ少なくとも現時点において多くの技術エリートの関心を集めているのは確かだ。少なくともイノベーションをリードしたという評価はできるだろう。多くの企業がFoursquareと類似の機能を提供するようになっている。

このようにソーシャルネットワークがオープンになり、そして位置情報も取り込むことになり、将来的な適用範囲はますます拡大しつつあると言って良いだろう。まずデートサイトSNSのSkoutなどは、これを利用する手立てを考えてくるに違いない。たとえば若い独り者がバーやクラブにでかけていったとする。そこで誰か「付き合う」相手を探そうとするわけだ。うまくいけば魅力的で相性の良い相手を見つけられるかもしれない。しかし相手を外見のみで判断せねばならず、ちょっと声をかけて多少なりとも知り合うためには、アルコールの力を借りなければならない。

デートSNSサービスが位置情報を扱うようになれば、こうした不便も減少する。周囲にいる人との相性を予め判断することができるようになるわけだ。Match.comやeHarmonyの隆盛をみるにつけ、デートの相手を探すサービスが多くの人に求められていることは間違いないだろう。こうした状況を見ても、こうしたサービスがモバイル版ソーシャルネットワークとして進化していくことは間違いないことと思われる。どのくらいでそうした動きが現実化するのかはわからない。しかし10年以内には「あたりまえ」になっていることだろう。

またFoursquareは他にも種々、面白そうなビジネス機会を提供している。ここ数年の間、「モバイルクーポンサービス」を提供するサービスが数多く立ち上がってきている。当初はこれがさほど流行するとは思えなかった。普通の人がモバイル機器を持ち歩いて、行く先々で端末を取り出して近所のクーポン情報を検索するなどとは思えなかったのだ。ただ、ゲームなどのように他にも利用者の気持ちを盛りたてる手段があるのなら、その付加物としてクーポンサービスも起動に乗ることがあるかもしれないと考えていた。この「盛りたてる手段」となったのがFoursquareだった。

Foursquareの「チェックインすればバッジをあげますよ」というだけのサービスが利用者の興味を維持し続けることができるとは思わない。しかし現在のところは人気を集めている。以前から言っていることだが、「次の一歩」を踏み出すことで、Foursquareはさらなる発展を遂げることになるだろう。将来的に「チェックイン」という行為はシームレスに扱われることになるだろう。サービスの目的ではなく、バックグラウンドで動作するインフラストラクチャのように扱われることになると思うのだ。そこで将来的にはFoursquareから新たなゲーム要素が出てくることを期待している。まあり話題にはならないが、Forusquareには知人の居場所をリアルタイムで地図上に表示する機能もある。これは多くの類似サービスに差をつけるキラー機能なのではないかと感じている。ちなみに個人的には妻や友人と外出する際、他の人に居場所を知られずにゆっくり過ごしたいと考えている。たぶんこういう考えは古いものになりつつあるのだろう。

次回の記事では、ソーシャルネットワークの未来における方向性に付いて書いてみようと思っている。個人的には「Facebook独裁」ということにはならないと思っている。次の記事を楽しみにお待ちいただきたい。もし待てないということであれば、以下にパワーポイントによるプレゼンテーション資料を掲載しているので、そちらをご覧頂きたい。

// Social Networks: Past, Present & Future

原文へ

(翻訳:Maeda, H)