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Google eBook:それってこれだけ?

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Google「+1」の目玉は「大規模ビデオ会議」

2週間前、Google eBookstoreがついにスタートし、世界中が一瞬だけ驚いた。公開前までGoogle Editionsと呼ばれていたこのサービスは、出版業界におけるDuke Nukem Forever[*] だった。数え方にもよるが7年間「ヴェイパーウェア」のままだ。実際に登場するとそれはユニコーンの誕生のようだった。泣きじゃくる不格好で未熟のユニコーン。
[*訳注:いつまでたっても発売されないシューティングゲーム。]

背景情報:「2004年、Googleは米国の主要図書館数ヵ所の全蔵書をデジタル化し、大量のデータをGoogle Book検索プロジェクトの一環として抜粋形式でオンライン公開した。同社は著作権者の承認を得ることなくこれを実施した」。これは2009年4月に私の代理人から送られてきたメールの引用だ(私にはテクノスリラーを中心に5~6冊の著作がある)。この結果起きた法的ジハードは未だに解決しておらず、世界中の図書館の蔵書をスキャンしてインデックスしてリンクして販売するというGoogleの夢は、ブック検索ライブラリープロジェクトブックスパートナープログラムへと分散し、今eBookstoreが加わってごちゃ混ぜ状態になった。まだ混乱しないだろうか?

多くの希望と夢はGoogle Editionsというヴェイパーウェアに託された。それは有史以降出版されたすべての単語のインデックスを作り、個人の蔵書を検索し、奥深く個々の章や節や段落にリンクするはずだった。それは、なんとかして独力で書店業界を復興させるはずだった。ようやく霧が晴れた時、そこに見えたのはただのKindleライトだった。

そう、やるべきことはキチンと出来ている。Googleから本を買い、Androidやiナントカやe-readerやウェブで読むことができる。著作家や出版社は自分で本をアップロードできて、DRMは付けても付けなくてもよい。どのツールもプロフェッショナルに作られている。しかし、Kindle本がウェブで読めるようになった今、Googleの新しいeBookstoreは、AmazonのKindleエコシステムのコピー以上のものではない ― DRM付きのGoogle電子本をKindle(世界一普及している電子本リーダー)で(今は)読めないことと、Google本はメールでプレゼントできないことを除いて。

良い機能もいくつかある。一番は、著作権切れの本が無料で手に入ること、ただしクリエイティブ・コモンズに乗り遅れたようで、私が無料公開している本はどちらもGoogleのカタログには載っていない。本の特定の版数にリンクすることができる。PDFを持っていない著者や出版社は紙の本を送ってスキャンしてもらえる。出版社はブックストアのウェブページで何がしかの広告収益を得ることができる。さらには世界一のエラーページもある。気が利いているが、いずれも重要とはいえない。

ブックストアのある革新的特徴に関して、異常ともいえる騒動が起きている。Googleは独立系書店が自社サイトでGoogle eBookを販売することを許している。インディー書店たちの話が、日頃冷静なアナリストたちの目と心をどう曇らせるのか、私にはわからないが、これで形勢が一変すると思う人はどうかしている。「中間業者の仕事は自らを必要悪にすることである」と言ったのはウィリアム・ギブソンだが、好むと好まざるとによらず、電子書籍に対する書店の立場は、オンライントラベルに対する旅行代理店の立場なのである。必要もなく意味もない。脱線はさておき、Amazonの電子書籍エコシステムをGoogleと比べてみれば、後者が珍しく粗悪な模倣業者の立場にあることがわかる。

これは全面的にGoogleが悪いわけではない。殆どの出版社は恐怖に脅えた恐竜だし、本に関する権利は、今後Google Booksの勢いを衰えさせる法律の泥沼だ、悲しくも。(彼らが最近発表した ― これは本当に凄い ― Ngramコーパス検索は、Googleがやろうとしているアイディアの一部を提供するものだ)。Googleが6年前、寛容を求める代わりに許可を願い出てさえいれば・・・。誇大宣伝のeBookstoreのスタートは期待外れに終ったが、誰を責めることもできない。

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(翻訳:Nob Takahashi)