[jp]あけましておめでとうございます――2011年、スタートアップはどこにいくべきかを考える

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ブログの「飲酒更新」には気をつけて。それはともかく明けましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。TechCrunch Japan編集長の西田です。

年があけて何か書かなければと思いつつ、今年は日本のスタートアップにとってどんなことにフォーカスすべきかという話題を、2010年の年の瀬ぐらいからする機会を多く得ていたので、屠蘇気分ではあるけれど(実際には飲酒投稿はしてないのでご安心を)、それについて少し書いてみたい。といっても何か特別に新しいことがあるわけではないのだけれど、結論としては多くが異口同音に「スマートフォン」につきるということだった。

2010年はソーシャルゲームとソーシャルコマース(グルーポン類似のサービス)にスタートアップの話題がほとんど集中した。ソーシャルゲームは成功すれば非常に早いスピードでキャッシュを生むことを証明した。それによって1つの市場が生まれた。これもmixiやモバゲータウン、GREEといったサービスのおかげだろう。一方でグルーポンビジネスは米国グルーポンの成功から、一見すると参入障壁が低そうなこと(模倣しやすい)もあって多くの企業が参入した。

これらに大きな投資機会が生まれて、停滞していたスタートアップの状況が多少なりとも好転したのは間違いない(一部はバブル化しているとの指摘もある)。Zyngaによるウノウの買収GrouponのQpod(現グルーポン・ジャパン)への資本参加など海外のM&Aがあったことも記憶に新しい。

ただ、スマートフォンへの期待感はずっと続いていても2010年のソーシャルゲームなどのように、すぐにマネタイズできるというわけではない。すでにそのビジネスに参入している人達も多いがキャッシュを生んでいるという話はあまり聞かない。その状況を耐えながら新しいビジネスにチャレンジできるかが必要になってくる。

こんな意見もある。インキュベーション事業を手がけるある人物は「スマートフォンでもう一度インターネットのビジネスが変わる。それはちょうどインターネットのビジネスが台頭してきた2000年前のときのように捉えている。自分はそのときに本格的に参戦できていなかったのだけれど、そういった機会がやってきて非常にエキサイティングだ」といった趣旨のことを僕に語ってくれた。

たしかにプラットフォームが変わることを考えれば、ビジネスが大きく変わるだろう。ただ、PCのインターネットの延長上にあるように思えるスマートフォンだけれども、実際にはiモードが登場したときのような意味を持つのではないかと思う。

ここでまで「スマートフォン」とひとことで済ませてきたが、iPhoneも含まれるだろうが、多くの人が指摘するようにその実際はAndroidだ。わざわざ語ることではないかもしれないが、各キャリアの動向を見れば一目瞭然だし、すでに、各キャリアはAndroidに独自のマーケットプレイスを用意したり、独自に課金できるようにしたりし始めている。もちろんそれだけでは不十分だが、かつてのキャリア垂直統合モデルとしてのAndroidのコンテンツ/サービスのビジネスの可能性はありえるだろう。

先日記事にしたが、夏野剛氏が現在のスマートフォン熱を「から騒ぎ」と指摘したが、早急に各キャリアがAndroidを市場に投入したために、端末も課金インフラも現在のケータイのビジネスをうまく踏襲はできていないために、ビジネスになってないことを語っている。したがって、ケータイ電話のコンテンツビジネスと同じエコシステム(たとえば課金システムやナビゲーションなどバックエンドから端末まで)をAndroidの自由度を持ってうまく創り上げることが必要なのだろう。

そうなれば、かつてiモードが作ったゲームや音楽、電子書籍といったコンテンツのビジネスも数年後に再度成り立つのかもしれない。一方で、Instagramのように写真共有の意味をスマートフォンで再度構築するサービスもさらに出てくるだろう。インターフェイスやインタラクションがPCとは違うために、PCと同じサービス分野であってもスマートフォン上でそのサービスを再定義するだけでも成功する可能性は秘めているのはケータイのビジネスを見てきた僕らからは理解しやすい。グーグルがNexus Sで発表したNFC(Near Field Communication:近距離無線通信)もおサイフケータイだと捉えればその使い道もいろいろと想像できる。

こういった上物のビジネスだけでなく、広告の配信プラットフォームやコンテンツ管理システムや課金管理などインフラに近いビジネスもそうだろう。すでにそういったサービスも出てきているが、ビジネス基板がまだ整備されていないないために、誰が主導権をとるのかもまだ決まっていない。なので、上物についてのビジネスが語られることも多いが、インフラに近いビジネスであっても、スタートアップの参入の余地があるのかもしれない。

現在、PCやケータイの世界で大きなビジネスを手がける企業もスマートフォンには未着手だったり存在感を示せていないところも多い(ほとんどの企業がそうだろう)。したがってこの分野での買収や資本提携などの意欲もあることを何人もの当事者たちが語ってくれたので、2011年にはスマートフォン分野に関するM&Aもあり得るのだろう。

そう考えると出口の少ないスタートアップにとってはチャレンジしがいのあることだろう。

いまもっとも国内で成長しているGREEも12月にスマートフォンプラットフォームを解放したばかりで、モバゲータウンも同時期にこの市場にやっと参入したところである。彼らですら、スマートフォンではまだ存在感を示せていない(もちろん、DeNAはngmocoを買収しplus+をmobageブランドで統一したので一応の存在感はあるのかもしれないが)。「5年後には自分たちのいまのビジネスがゼロになっていることを前提にスマートフォンへのビジネスを始めた」とはグリーの田中良和氏の弁だが、それぐらいの変化があるということだ。

ビジネスの着地点をどうするかについては、試行錯誤も必要かもしれないが、デバイスや環境の変化であるがゆえに、真剣にスマートフォンについて(ソーシャルなんちゃらも含めて)考えるときがきたということだろう(いやいまから考えていたらもう出遅れているのかもしれないが)。

もちろん、スマートフォンだけなくほかにも考えるべきことはあるだろうけれど、まずは大前提を考えつつ、今年最初の投稿とさせていただきます。今年もTechCrunch Japanをどうぞよろしくお願いいたします。