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私がクラウド依存を考え直す理由

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物事をクラウドに保存することに関して、私は常に強力な擁護派である。メールやファイルばかりでなく、私の生活全体。以前にも書いたが、私はホテルに永住しており、私の全生活は機内持ち込みバッグに納まる。これはつまり、私が「所有」あるいは少なくとも使用するものの大部分が、バーチャル空間にあることを意味している。ロンドンとニューヨークとサンフランシスコでは[カーシェアリングの]Zipcarに乗っている。テレビはHulu(英国ではiPlayer) 、映画はNetflix(英国ではLOVEFiLM)で見る。私の聞く音楽はPandoraかLast.fmか・・・そう、Spotifyにある。

個人情報も、大部分がクラウド上にある。銀行はオンライン、税金は電子納税で、郵便で送る必要のあるものはすべてロンドンのメンバーズクラブにあるバーチャル住所を使う。メール、音声通話、SMSにはGoogle Voiceを使い、世界中どこにいても、その時使っているSIMカード宛に転送される。

しかし最近私は、この「クラウドの叡智」を考え直し始めている。

一つにはデータ妄想症の問題である。1月1日をもって私はGoogleカレンダーから紙の手帳に切り替えた。Blackberryと確実にスケジュールを同期させることにイライラが募るようになったからだ。重要なやりとりはメールに頼らないように気を付けているが、メールを使う場合でもGmailを長期的ストレージとして信頼してようかどうかわからない。まだ始めたばかりだが、手帳に予定を書き込むのもなんとなくよいものだ。

しかし、もっと深刻なのは、この種の話が益々心配になってきたことだ。米国政府はTwitter(および報道によるとGmailとFacebook)に対してWikiLeaksを支持するユーザーに関する情報開示を求めている。対外国人を含めたこうした安易な召換状の使用はきわめて憂慮すべきことである ― New York Timesによると、毎年5万通以上の「国家機密文書」が発行されている ― しかし、さらに問題なのは、これらの召換状が機密扱いであり企業が該当ユーザーに通知することを許していないことだ。

かつて、米国政府が私の所有する文書や手紙を入手するためには、直接私を召換する必要があった。外国人である私は、あらゆる手段をもってその要求と戦うことができた ― そして少なくとも応じるかどうかは私の選択だった。米国在住者の一人として、私には合衆国憲法修正第4条に基づく重要な権利もある。さて、すべてがクラウド上にある今、私の個人情報を手渡すかどうかに関する決定権は、ほぼ私の手にはない。そして、Twitterがそうしたように、私のデータを保管している会社が私に代って開示に抵抗しない限り、開示要求があったことさえ、手遅れになるまで私に知らされない可能性もある。これは、フリーな社会のあるべき姿ではない。

もちろん、私が近いうちに召換の対象になることは統計的にありそうもない。私はおよそこの国家の敵ではない。しかし、多くのWikileaks支持者たちも最近までそうではなかった。今日私が支持している無害な団体が、明日突然、大きな議論の的とならないと誰が言えようか。

こうした理由から、私は自分のコミュニケーションをクラウドから取り戻すことを真剣に考え始めている。昔ながらのメールクライアントに切り替え、文書は暗号化されたハードディスクに保存する。たぶんテキストメッセージへの依存度を少し下げ、伝統的音声通話を増やすだろう。時にはペンと紙を使って手紙を書くことだってあるかもしれない。

たしかに、定期的にバックアップを取らなくてはならなくなるし、どこにいても自分の文書にアクセスできる利便性が恋しくもなるだろう。しかし、誰が私の生活を詮索しようとしているのかを確実に知るためには、小さな代償だと感じはじめている。

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(翻訳:Nob Takahashi)