NFCが重要な理由(日本の地下鉄に乗ったことがあれば分かる)

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そのあたりの普通の相手に「NFCをどう思うか?」尋ねれば「ナショナル・プロフットボール・カンファレンスがどうしたのか?」と怪訝そうに答えるに違いない。しかしGoogleとAppleの現在の動きを観察すれば、近距離無線通信(Near Field Communication)が近く普及することになるのは間違いないと分かる。われわれは早ければ2年後には、さまざまな場面でNFCデバイスを使うようになっているはずだ。

しかしまず最初にこのNFCとはどんなものなのかおさらいしておこう。これは小電力の近距離無線データ通信装置の規格だ。有効距離は10センチ程度で、動作にはいくつかのモードがあるが、もっとも重要なのは受動モードだ。この場合、デバイスはプログラマブルなスマートカードのように振舞う。たとえばNFC通信デバイスはいくつでもRFID(Radio Frequency IDentification = 電波による個体識別)情報を保持し、セキュリティーシステムや支払い端末と情報を瞬間的にやりとりできる。NFCを組み込んだデバイスは個人識別用のIDカードと財布の役割を果たす。

NFCを携帯電話に組み込むと、どんないいことがあるのか? まず最初にNFCの大規模な利用が考えられるのは公共交通機関の効率改善だ(たとえばワシントンDCが検討しているし、バンクーバーもそうだ)。日本で地下鉄に乗ったことがある読者なら、ペンギンのロゴをあしらったSuicaカードがいかに普遍的に利用されているか覚えているに違いない。

ところがアメリカ人の多くは公共交通機関というものに根深い敵意を抱いている。オハイオ州ではコロンバスとクリーブランドを結ぶ鉄道の建設への連邦補助金を拒否したほどだ。AppleもGoogleもこの面には高い優先順位を与えないだろう。しかしiPhone 5その他のNFCを装備したスマートフォンはアジアやヨーロッパでは大いに活用されることだろう。またアメリカでもワシントンDCやニューヨーク、サンフランシスコのように地下鉄の発達した大都市で改札にNFCが導入されれば通勤者には大いに喜ばれるだろう。こうした地区のユーザーだけでも相当の規模になる。しかし、これだけだはまだモバイルデバイスの全エコシステムを変えるほどのインパクとはなりにくい。

TechCrunchのMGが書いているように、NFCはモバイルデバイス同士で簡単に情報を交換するのにも使える。が、ここでもNFCよりも便利なデータ通信手段は数多く存在し、わざわざそれに新しい規格を付け加えるほどのメリットは見出しがたい。

しかし一般的な支払い手段としてはどうか? これは本格的に検討する価値のある分野だ。たとえば、こうだ。

「一般商品とサービスの購入にアメリカは年間$6.2T(6.2兆ドル)を費やしている。Appleの最終的な目標はこの分野でのシェアを確立することだ」とCroneは述べた。現在、AppleはユーザーがiTunesで何かを購入するごとにクレジットカード会社に決済手数料を支払っている。もし消費者によりコストの低い支払手段を利用させることに成功するなら(たとえばPayPalですでに利用されているような銀行口座からのオンライン直接引き落とし)、AppleやApple製品を販売している小売業者は大きな利益を得る。

すでにQualcommはこの動きで先頭を走っている。やがて消費者の主要な支払い手段はクレジットカードからPaypal的なNFCデバイスによる銀行口座から直接決済に移行するだろう。技術的には準備は整っている。ではなぜまだ実現していないのか? 最大のボトルネックは、店舗に据え付けられているクレジットカード端末の数が膨大なことだ。全米のクレジットカード・ネットワークをNFCに一斉にアップデートするとなれば巨額の費用がかかる。しかし、現在でも、CitibankのBlinkデビットカードをサポートするシステムは将来NFCもサポートできる仕様となっているとされる。これは注目すべき動きだ。

だから最後に、読者にはこれに注目しておくことを強くお勧めする。NFCは一般に考えてられているより早く普及すると私は考えている。来年にはNFCは一般に取り上げられる話題となり。2015年までにはアメリカで広く利用されるようになると思う。ただのプラスチックのクレジットカードは歴史のゴミ捨て場行きだ。その嬉しい転換の日が来るのに備えて、AppleとGoogleはそこから利益を上げる準備を着々と整えている。

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01