GoogleはこうしてMicrosoftを奇襲し話題を変えた

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最近私は、ウェブを巨大なゴミ捨て場と化しているスパム業者およびコンテンツファーム対、利益かユーザー満足度かの選択を迫られている検索業者との間で激化しつある壮大な戦いについて、いくつか記事書いた。これは深刻な問題だ。コンテンツファームは、その殆どが低レベルの記事を、毎日大量にたれ流してウェブの「知的レベルを下げ」、Googleはそれらの記事で儲けていると言う。どの登場人物もわれわれのサイフから何十億ドルという金をかき集めている。

今週私は、GoogleとMicrosoftそしてBlekkoによるパネルディスカッションを進行する機会を得た。私が司会を務めたそのイベントは「Farsight 2011:Beyond the Search Box」といい、BigThinkとMicrosoftが主催した。私は冗談で、Googleが「邪悪」な独占者、Microsoftが「善良」なライバルを演じ、Blekkoがそれをこっそり観察しているのを見るのは何とも奇妙なものだと言った。

元々私は、GoogleのSEO開発責任者、Amit SnghalとMicrosoftの研究開発部門長、Ashok Chandraを呼んでいた。しかし、AshokはBingの事業担当VP、Harry Shumに席を譲り、Amitはウェブスパムチームの責任者のMatt Cuttsに代わった。これには大いにがっかりした。Mattは、「テディーベア」呼ばれる実にいい人という評判だったからだ。Harryは、けんか好きで知られている。私は、HarryとRich Skrenta(BlekkoのCEO)がMattを取って食うではないかと心配した。まるで、私がGoogleに対して奇襲を仕組んだかのように思われた。

Googleこそが奇襲を仕込んでいたことなど、私は知る由もなかった。Mattはテディーベアというより虎だった。

カンファレンスで私は、検索についてのビジョンを熱弁した。テキストボックスにキーワードを入力して、リンク先 ― その多くがスパマーの餌食になっている ― を見て回るのではなく、コンピューターには、私が何を知りたいかを教えてほしいと。私はMattに、Googleがスパムに関して取り組んでいることをみんなに話すようしむけた。しかしMattは代わりに、BingがGoogleの情報を盗んでいると、けんか腰で訴えた。Mattは彼のチームがやらざるを得なかったおとり捜査のことを暴露し、Microsoftの倫理感に対して憤慨した。Harry Shumは反撃してBingを擁護し、Googleの言うことはまやかしだと責めた。

これについてはメディア山ほど取りあげられている。MicrosoftのHarry ShumYusuf Mehdiの二人がそれぞれ、Googleの主張に対する反論記事をブログに書いている。だから私が同じ領地に入る必要はない。みなさんはイベントのビデオを見て、自分の意見を持てばいい。40分の間にマスコミが報じたよりもずっと多くのことが議論されたので、見る価値がある。

どちらにも確固たる見解があり、私はどちらも正しいと信じている。議論の始めに私は、教授として私はいかなる盗用もズルも容認できないと言った ― そして、MicrosoftによるGoogleデータの利用方法は、要するにそういうことのように思えた。しかし、テクノロジーの世界では、こうした情報交換は当たり前だ。誰もがズルをしていて、イノベーションのためにはそれが良いことなのかもしれない。だから、これは黒白を決めるものではない。どちらの側も正しくまた間違っているのである。

一つはっきりしているのは、Googleが膨大な広報戦略に成功したことだ。Googleは話題を変えてしまった。メディアの対象はもはや、スパムでもGoogleがそれで儲けていることでもなくなった。誰もが、いかにGoogleの検索結果に価値があるかを論じている。

われわれが本来議論すべき課題を挙げておく。

  1. GoogleとBingが取っ組み合いを演じているそのデータの本当の所有者は誰なのか? ウェブ中からデータをコピーして「ズル」している検索業者 のものなのか。それとも、彼らに「盗まれ」ているコンテンツ作者 ― われわれ ― なのか。なぜGoogleとMicrosoftは、われわれの情報を所有していると信じてるのか? そしてなぜ、彼らはそれを使うこと対して〈われわれ〉に金を払わないのか?
  2. FacebookはウェブのトラフィックでGoogleと競っていて、いずれはるか先へ行くだろう。そしてGoogleはFacebookの塀の中を見ることができない。このことは長期的に、それが(一定範囲内で)可能なBingにとって、大きな優位性になるのではないか?
  3. Blekkoは、コンテンツファーム ― eHow、Answerbagなどのサイト ― を検索結果から除外するという英断を発表した。果たしてGoogleやMicrosoftも同じ方向に進むのだろうか。収益を犠牲にすることが彼らにできるのか? われわれが直面する大量のスパムをアルゴリズムによって遮断することできるのか、それとも[Blekkoのような]選別検索という解決が必要なのか?
  4. ウェブ品質の測定基準が必要である。Googleは、ウェブの質低下は一切認識していないと言っている。しかし、多くの専門家がここ2~3年著しく低下しているという意見で一致している。なぜGoogleは、市場のリーダーとして、ライバルたちと協力して誰もが使えるオープンな測定基準を作らないのか? Googleに、彼らが他のどこよりも優れていることを証明させようではないか。
  5. なぜウェブユーザーに、どのサイトがスパムであるかを名指しさせ、この情報を公開しないのか? Googleではユーザー毎に検索結果をフィルターできるが、なぜそのデータを全員に公開しないのか? 不当にレッテルを貼られたと信じるサイトは不服を申し立てればいい。なぜ秘密にするのか?

話題を戻そう。Harry ShumとMatt Cuttsは、どこかの酒場で殴り合いをすればいい。私が彼らに望むのは、ウェブをきれいにして、最高の検索結果を提供してくれることだ。

編集部注:Vivek Wadhwaは起業家から学界に転身した。カリフオルニア大学バークレー校客員研究員、ハーバード法科大学院上級研究員、デューク大学で起業および研究商用化センター理事、およびエモリー大学のThe Halle Institute for Global Learningの「特別客員研究員」。Twitterアカウントは@vwadhwa。研究成果はwww.wadhwa.comで見ることができる。

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(翻訳:Nob Takahashi)