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Appleのデジタルニューススタンドが出版業界を崩壊させた

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有料購読ユーザーを獲得すべく必死にデジタル戦略を探り続ける出版社に対して、Appleの持つ価格決定力とは、果たしていかほどのものか。とてつもなく大きい ― というのが、少なくともAppleが新アプリ購読サービス賭けた理由だ。Appleはデジタル購読による全収益の30%を徴収する。ちょっと、これについて考えてみよう。

これまでもAppleは、アプリであれ音楽であれ、iTunesでの販売について30%の手数料を取ってきた。だから少なくとも消費者にとって、30%という数字に違和感はない。欲しいデジタル商品が手頃な値段で手に入る限り、誰がどうお金を分けようが知ったことではない。しかし、定期購読をビジネスとする出版社やメディア会社(咳、Netflix、咳)にとっては大問題だ。Appleが言っているのはこういうことだ。われわれが有償顧客にサービスする時は、われわれのデバイス上でユーザーがあなたのメディアを消費する限り、購読料の30%を恒久的にいただく。

iTunesは新しいデジタルニューススタンド[新聞や雑誌を売る露店]なのだから、手数料を取る資格はあると言う意見はあるだろう。そう、確かに何らかの資格はあるが、ではAppleが欲しがっているものを、本物のニューススタンドが手にしているものと比べてみよう。通常、雑誌社の取り分は小売価格のなんと95%最大75%(英文記事に修正が入りました。ご指摘いただいた方々、ありがとうございました)であり、この関係において誰が価格決定力を持つかがよくわかる。ニューススタンドは、雑誌や新聞を試し読みして有料購読者へと変わる一部の顧客を見つけるための、リードジェネレーター[潜在顧客発見機]なのだ。ニューススタンドは、新しい定期購読者を生むのを手助けすることに関して、歩合はもちろん一時金すらもらわない。もちろん、出版社に定期購読者を紹介するサービスというものも存在するが、彼らでさえ継続的に購読料の歩合を得ることはなく、顧客紹介料型の契約だ。

今Appleはメディア会社に向かって、何十年も続けてきたビジネスのやり方を捨てろと言っている。デジタルニューススタンドには新しいルールがあると。そして、大手出版社の中には、一歩も譲らないか、Androidに行くかなどと考えているところもあるが、最終的に消費者がデジタルマガシンをiPadで読みたいと決めたなら、Steve Jobsの言う通りにするほかはない。

それは彼らのビジネスを死に致らしめるかもしれない。定期購読収益の大部分をAppleに手渡すだけでなく、顧客に関するデータという見返りも事実上ない。彼らが消費者向けマーティングを行い、また広告主に読者を売るために使っていたのは、あのクレジットカード情報だったのだ。もちろん、Appleの購読システムに対しては大きな抵抗が出てくるだろう。すでに反トラスト法ナイフが抜かれているのも当然だ。最後には、古参たちが力の続く限り戦い続けるであろうその一方で、失うもののない新参者たちがiPadで読者を獲得していくだろう。デジタルマガジンを始めるのに、おそらくこれ以上の好機はない。

記事訂正:記事登録時には雑誌出版社がニューススタンドの売上のうち95%をとっていると記していた。この情報は雑誌出版社から得たものではあった。しかしコメントにてこの割合につき疑問を呈す方があり、情報元に再度確認を行った。再確認の際に情報提供者は95%というのが誤りであったことを認め、大手出版社の場合で70%から75%程度とするのが適当だろうと述べた。コメントを書いてくれた人の中には、出版社の取り分は50%程度だとする人もいた。この辺りは出版社の規模にもよるものらしい。ただ、いずれにせよこの歩合は単体売りの場合に発生するものだ。App Storeで、単体のアプリケーションが売れた場合に支払われる手数料と同じようなものだ。定期購読の際に、発行号ごとに手数料をニューススタンドに支払うというビジネスはこれまで存在したことはないのだ(以上、訂正箇所部分、翻訳はMaeda. H)。

写真提供:Susan NYC

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)