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モバイルアプリの時代、これは1996年の再来だ

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編集部注:本稿の執筆者Ben Keighranは、モバイルアプリ検索エンジン、Chompの共同ファウンダー、CEOである。

1996年はウェブの歴史上すばらしい年だった。2年前にNetscapeが公開され、Excite@homeが信じれないほど高速のメガビット接続を家庭に張り巡らせ、Webvanが新鮮な産直野菜や果物をどこへでも(送料無料で)届け、Floozが財布(およびその中の現金)を時代遅れにした。画期的革新的な発想に関して、1996年は実にすばらしい年だった。

当時私は小学生で、いつかそんな世界に関われる日が来るのを楽しみにしていた。私は常に、革新的な技術で世界を変えることを夢見てきたが、1996年は、世界史上有数の革新的アイディアが、大きく生活を変える形で一般の人々の目に触れた時だったと私は思う。

ドットコムバブルとその崩壊について話す時、殆どの人たちかがその過程で得た金、失った金について話す。あまり語られることがないのは、世界を変える全く新しい技術を生み出した革新についてだ。私に言わせれば、お金の話も面白いが、本来議論されるべきなのは、新しい技術が普及する速さ、即ち新しい技術や企業が、前の世代で最も人気のあった製品に取って変わる速度である。

われわれが持つべき大きな疑問はこうだと思う。「モバイルアプリケーションとそれを支える技術は、人々のコミュニケーションや情報入手やビジネスのやり方を、1996年以降のウェブがやったほどに変えられるのか」。個人的な答えはイエスだ。ドットコムブームは顕著ではあるが歴史上唯一無二の出来事ではない ― テクノロジーの歴史からわれわれが学ぶことがあるとすれば、未来には必ずもっと大きな何かが起きるということだ。

今日、人々はテクノロジーバブルがまた来るのではないかと疑問を抱き始めている。たしかにその可能性はあるが、もしわれわれが今バブルの中にいるのなら、そのバブルは拡張段階にあり、今われわれが目撃しているのは1990年代終りのそれだ。スーパーボウルのCMにいたるまで。しかし、重要な違いがある。90年代はすべてがウェブサイトだった。今はアプリとモバイルウェブだ。

私は、アプリ発見という問題の解決に特化したテクノロジー企業であるChompの共同ファウンダーでCEOという、非常に特殊なレンズを通して世界を見ている。そのため、自分の見込みが正しいということに関して、文字通りの投資をしている。それでもデータを見れば、仮に私の見解に全面的に賛成しないとしても、数字を認めないわけにはいかないだろう。モバイル利用量や、モバイルアプリが開発されダウンロードされる速度の伸びは、明らかに1996年の数字をはるかにしのいでいる。

今のデータを1996~2000年当時と比べてみると、私は非常に楽観的になる。そしてそこから、今われわれは私が「ウェブのアプリ化」呼ぶ現象を目近で見ていると考えている。理由はこうだ。

このスライドは、Mary Meekerが昨年のWeb 2.0サミットで行ったプレゼンテーションから引用したものだ。その時彼女は、たった今モバイルインターネットは、Netscapeブラウザーが公開された1994年の固定インターネットと比べて、8倍の速さで成長していると語った。

モバイルアプリに関するデータはさらに衝撃的だ。2009年末までに、約30億本のモバイルアプリがiTunesだけでダウンロードされた。すごい数に聞こえるだろうが、最も楽観的なアナリストの予測さえも、2010年(わずか1年後!)の82億ダウンロードという驚くべき数字によって吹き飛ばされた。

Appleが2008年にApp Storeを開業して以来、100億本のモバイルアプリがそこからダウンロードされた。2010年末、Pew Internetが「アプリ文化の到来」という報告書を発表した。その中で特に私の目を引いたのは、米国成人の35%が、携帯電話のアプリを持っているという数字だった。

世界アプリ市場の規模を測るという別の報告書にも、同じく注目すべきデータがあった。アプリストアの数が、2008年には5店に満たなかったものが、2010年2月には50近くへと急増している。AppBistroの最近の発表 ― 誰でもカスタム版アプリストアを作れるホワイトレーベルのアプリストア ― によって、近い将来この数字はさらに早く伸びていくに違いない。

さらに先を見ると、数字は楽観的(the Yankee Groupの予測によると、2013年までに米国内でのスマートフォンアプリは、ダウンロード数約70億回で、収益$4.2B(42億ドル)に達する)というより狂気じみてくる(Gartnerは2011年にモバイルアプリは177億回ダウンロードされ、前年の82億回から117%増加すると予測している)。しかもGartnerの報告によると、モバイルアプリの収益は昨年$5.2B(52億ドル)を記録し、2011年には190%増の$15.1B(151億ドル)と推定されている。おそらくさらにすごいのがこれで、Kleiner Perkinsの、Mary MeekerとMatt Murphyの二人がつい最近発表したモバイルのトレンドに関するスライドの中で、全世界のモバイルトラフィックは今後5年間に26倍に増えるという。

新たな撹乱要素

90年代にウェブ技術が業界全体を破壊しようかという脅威を与えた時 ― 成功したことも多かった ― と同じように、今モバイルアプリケーションで起きていることは、次の大会社候補のリスと作りである。

  • Instagram(つい最近200万ダウンロード突破)、PicPlz、およびPathは次世代のflickrになりそうだ。
  • FoursquareおよびGowallaは全く新しいタイプのソーシャルネットワークを、モバイルユーザーのことを考えてゼロから作り上げた。
  • Squareは誰にでもクレジットカード取引きを可能にし、PayPalが90年代にやったのと同じように、人々のパーソナルコマースのやり方を変えた。
  • Shazamは、新しい音楽を発見する方法を根本から変え、そのプロセスを自然で機動的なものにした ― そしてレコード会社と実店舗の中抜きを加速した。
  • Rovioは、次の巨大ゲーム会社になろうと狙っている。
  • androidifyからdoggy squeak toys(本当に)まで何千という珍アプリが、10年前に流行したダンシングベイビーや空飛ぶトースターに取って代わった。

いずれの会社もアプリケーションも、それぞれのニッチの中で既存のビジネスパラダイムを破壊する脅威を与えてきた。ドットコムバブル中のウェブサイトやウェブコンテンツ急増を引き起こし、現在の技術や価値を成長させる力となったのが、この同じ破壊的革新のサイクルだ。ただし今回中心となっているのはモバイルである。

では、この次なるテクノロジーの大波に乗るためにはどうすればよいか。前回の勝ち組と同じだ。人々が欲しがるものを見極め、新しいバージョンのインターネット ― アプリを通じて配信される ― を使ってそれをユーザーに届ける。前よりも優れ、速く、ユーザーにあったモバイル体験を提供できれば、破壊者の一人になれるだろう。変化を早く起こすことが、価値を生み出す。これに最も長けた者が勝つ。結局は、誰かが次のFacebookを作り、誰かが次のGoogleを作ることになるだろう。破壊の気配は漂っている、そして私には、すべてが1996年の再来のように思える。

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(翻訳:Nob Takahashi)