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Googleさん, そろそろ不正行為をやめなさい

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2月半ばにバルセロナで行われたMobile World CongressでGoogleの常勤会長Eric Schmidtは、社員Wael Ghonimの、独裁的なムバラク政権に抗議してエジプトに公明な政治をもたらそうとした勇敢な闘争を誇りに思う、と述べた。”Waelとそのグループがエジプトで達成できたことを、われわれはとても誇らしく思う”、バルセロナでSchmidtはそう言ったが、しかし今Schmidtがやるべきことは、政治的公明性をめぐるGhonimの視点を、Googleの検索事業そのものに向けることだ。

全世界のオンライン検索市場の70%を支配するGoogleは、そのことによって、オンラインビジネスの命運を左右するほどの強力な力を有している。だから当然のようにWebサイトのオーナーたちは、Googleに対し公明性を求め、独裁的なGoogleがときどき、もしくは頻繁に、自分たちのビジネスにペナルティを課す理由を知りたいと思う。しかし、ニュースナビゲータOneNewsPageが先週発表した調査報告は、回答者の88%が、検索広告に支払われる金が検索の公明性を損なっていると感じ、24%が、検索エンジン中のステータス(==ランク)の変化によってサイトのトラフィックが大きな不可解な下落をこうむった、と述べるなど、検索にはまぎれもなく公明性の欠如がある、と結論している。

さらにまた当然ながら、American Antitrust Institute(全米反トラスト協会)は1週間前に発行した報告書の中で、国の規制当局が、Googleによる旅行ソフトウェアプロバイダITAの買収案件を綿密に調査するよう求めている。報告書によれば、この買収案件には、支配的な検索エンジンがオンラインの旅行市場を支配するおそれがあり、また、技術を独占する者がコンテンツの配布も独占するという、オンラインの’政教分離の原則への違反’の可能性もある。

検索の公明性は、デジタル経済におけるイノベーションと公正さの維持のための、必須の条件である。先週Googleは、アルゴリズムに対する自己満足的な手直しにより、コンテンツファームを標的とする検索エンジンの改良を行った。しかしそれは、表面を取り繕う変更にすぎない。真に重要な問題は、スパムの存在ではなくて、検索の公正さである。検索における現在のGoogleの大きな支配力が、われわれの社会の現状であるのなら、同社には、検索結果のランク付けを行うアルゴリズムを全面開示する責任がある。それにより社会の全員が、なぜこのリンクがほかのリンクより上位にあるのか、その理由を理解できなければならない。

Googleには、その開示を、スパムやだましに悪用されない方法で行うという課題がある。それが、JC Pennyのような企業に、利用されてはならない。しかし今のGoogleには、博士号取得者がたくさんいる。人間運転者の要らない自動運転自動車を発明できる企業なら、Demand Mediaのようなコンテンツファームのカモにならないような、今よりもずっと公明なランク付けアルゴリズムを作ることだってできるだろう。

政府が、明確なルールに基づいて行動しなければならないのと同様に、検索もまさにそうである。だからこそ1週間前に、下院司法委員会の議長John Conyers(民主党)が、司法省の反トラスト担当副長官に宛てた書簡で、司法省がGoogle/ITAの案件を慎重に検討し、”オンラインの旅行業界における競争と公明性が確実に保護されるよう”図ることを求めたのだ。

先週、EJustice.frなどの、垂直市場向け検索エンジンを開発しているフランスのデベロッパ1plusVが、欧州連合(EU)に提出した訴状で、Googleが”垂直検索エンジンに対する市場からの排除を画策し”、そのためにGoogleの検索エンジンにAdSenseを不法に結びつけている、と非難している。1plusVのファウンダBruno GuillardはBloomberg Newsで、自分たちの垂直検索エンジンがAdSenseを使うことは技術的に不可能なので、それをもとにしたビジネスモデルの構築はできない、と語った。

Googleの検索が知識経済において中心的な役割を担っている以上、その公明性は重要である。われわれは、その、人工的なアルゴリズムが一体どうなっているのか、なぜ、どんな理由で、特定の情報やリンクが優先されるのか、詳しく知る必要がある。ヴァージニア大学のメディア学者Siva Vaidhyanathanは、その重要な近著The Googlization of Everything (and why we should worry)の中で、Googleによるインターネットの支配はBC48年のローマにおけるジュリアス・シーザーの支配に似ている、と述べている。現在のGoogleの強力な支配力は、Vaidhyanathanによれば、“全知全能かつ遍在的”であり、したがって今日の知識経済において機会均等を確保するためには、規制が必要である。

しかしながら、以上は問題の半分にすぎない。今日の検索エンジン市場におけるGoogleの支配が全知全能遍在的であるだけでなく、このMountain Viewに居を構える巨大権力は、自らが支配するシステムを濫用しているらしいのだ。欧州委員会(European Commission, EUの執行機関)が疑っているのもまさにこの点であり、同機関は昨年の11月に、Googleが検索におけるそのすでに支配的な地位を”濫用”して、競合するサービスを”不利に”扱い、逆にYouTube、Google Maps、Bloggerなど自己のサービスを”厚遇”しているという申し立てを取り上げ、欧州連合(EU)の名において反トラスト調査を立ち上げた。

欧州委員会や全米反トラスト協会のこれらの行動がわれわれの心に呼び覚ますのは、公明性を当面の最大の問題にせよ、ということだ。単純に言うとGoogleは、オンラインのコンテンツと商業的利害との境界がすでに有害なほど曖昧になっているにもかかわらず、その曖昧性をさらに一層混濁させたのである。たとえば自分の名前をGoogleで入力すると、最初に出てくるビデオのリンクは2007年6月にGoogle本社で行ったスピーチのYouTubeのビデオだ。もっと新しい、もっと専門的な内容の、そして評判も良い、ぼくのスピーチのビデオがいくらでもあるのに。

YouTubeが先頭…それはたまたまか? とてもそうは思えない。真相は、Googleがその人工的な検索アルゴリズムを秘かに、そして意図的に、本気で操作していることだ。Googleは、検索ビジネスにおける非力なライバルたちをおそれているわけでも、私が自分をGoogleした結果にたまたま客観的な実証性がないわけでもない。昨年11月に欧州委員会が調査を立ち上げたとき、Harvard Business School(ハーバード大学経営学科大学院)の教授Benjamin Edelmanが、“Hard-Coding Bias in Google Algorithmic Search Results” と題する研究論文を発表したが、その論文は、Googleは”検索結果の上位に自己のリンクが登場するようアルゴリズムを書き換えている”ことを実証している。

Edelmanの研究は、Googleがむかつく真の理由を明かしている。GoogleのHealth Topicsのインデクスページから2642項目を取り上げたこのハーバードの学究は、その2642の全項目で、検索結果のトップにGoogle Healthのリンクが登場することを発見した。Edelmanは、Googleの株価変動検索でも同様の不自然なバイアスが生じることを発見した。株価変動検索では、“大文字だけの表示シンボルや、大型価格チャート、左端の詳細リンク”がつねに、Google Financeを指していた。Googleの社内金融サービスは、とうてい、金融業界のマーケットリーダーではないのに。

Googleのバイアスは、金融や保健医療だけではない。Edelmanによれば、2011年1月の論文“Measuring Bias in Organic Web Search”(オーガニック検索におけるバイアスを計測する)でHarvard Business Schoolの博士候補Benjamin Lockwoodは、ユーザが”地図(maps)”で検索すると必ずGoogleの地図が結果の上位に出ることを発見した。したがって、Google上で行われる地図検索の86%でユーザはGoogle Mapsをクリックすることになる、とEdelmanとLockwoodが発見したのも、意外ではない。

というわけで、今日の知識経済の世界をナビゲートしていくためのデジタルの司書である、とわれわれが無邪気にも信じていたGoogleの検索に、実は中立性はない。

今月初めにイギリスの新聞The Daily TelegraphインタビューでGoogleの元CEOで現常勤会長Eric Schmidtが、欧州委員会が偏りのある検索に対する“一連の対策を編み出す”ことを期待する、Googleはそれらの実装を”検討する”ことを約束する、と語った。SchmidtがThe Telegraphに語ったところでは、Googleは“検索におけるアルゴリズムの方法論の一部を自ら進んで変えてもよい”、それが委員会による取り調べの早期終結に資するものならば、ということだ。

しかしGoogleが検索によって知識経済を操作していることへの対策〜改善策は、欧州等のナントカ委員会があろうとなかろうと、Google自身が編み出せるはずだ。そのためには、Schmidtがほめそやした自社社員Wael Ghonimに倣って、今度はムバラク政権ではなく、Google社内における公明性の欠如を直視すればよいのである。

Schmidt氏とGoogleに伝えたいメッセージはとても簡単だ: 不正行為やめなさい。御社の検索アルゴリズムを、御社の企業としての利害に奉仕するうしろ暗いアルゴリズムから、消費者と、知識社会の全企業の利益に奉仕する、公明で中立的な指針に変えなさい。

Googleが検索において公明性を確立し、ルールを守ってプレーすることは、今日の社会とGoogle自身にとって緊急のニーズである。なぜなら今のGoogleは、Siva Vaidhyanathanが言うほど全知全能でも遍在的でもない。むしろ、ここ10年で初めてGoogleは、インターネット上の自らのシーザー的特権を脅かす真の敵と出会った。その、オンラインの新興巨大勢力とは、Facebookのことである。会員6億を擁し、評価額が500億を超えるFacebookは、WebをGoogle中心のデータネットワークから、人びとのつながりから成るソーシャルなネットワークに変えつつある。

ソーシャルコマースビジネスGrouponを60億ドルで買収しようとして失敗したことや、ソーシャルネットワーキングビジネスにおけるFacebookの第一のライバルTwitterを買収すると噂されていること。これらは、GoogleがソーシャルWebの今後の威力を十分認識していることの表れだ。Googleはソーシャルメディアに弱い、と多方面で言われているが、しかしそれが、Facebookだけが一方的に有利に使いこなせる武器にならないためには、多国籍企業としてのGoogleがその検索エンジンを正直にすることが、とりわけ重要である。

“ネットワークの中立性”という言葉の発明者で、コロンビア大学の法学部教授Tim Wuは、近著The Master Switchで、現代のメディアとコミュニケーション産業は独占になりがちである、と言っている。しかし、Webを安心してナビゲートするための安全な乗り物として、公正で透明な検索に依存するあなたや私、そして20億のインターネットユーザにとって、独占よりもさらに悪いものはただ一つ、いんちきをする独占だ。Googleはその人工的アルゴリズムを大掃除し、検索の中立性を保証する必要がある。それをしなければ、Googleの検索エンジンの自己利益のためのバイアスを調査するのは、欧州委員会だけではなくなるだろう。

写真クレジット: Flickr/Dicemanic

〔訳注: この記事で公明性と訳した元の語は、transparencyですが、ここでは通常の訳語である透明性よりは、やや道徳的(+政治的)含意のある公明性のほうが合ってる、と判断しました。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))