銀行もクレジットカードも介在しないシンプルな電子財布を目指すMinno

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ペイウォール(paywall)/マイクロトランザクション(microtransactions)(有料化/小額支払い)がこのところまた、新しい試行の段階に入ったようだが、実際に出てきたものはあまり変わり映えがしない。前にも書いたことがあるが、支払いの方法が抜本的に改良されないかぎり、強気の空振りばかりが続く。それでも懲りずに、The New York Timesがまた有料化をやり始めるし、The Dailというまったく新しい手口も出現した。しかし、どのような有料化方式も、何よりもまず必要なのが、シンプルで使いやすい、みんなが納得する、支払いシステム、すなわちe-wallet(イーワレット, 電子財布)だ。

Minnoも、このことを痛感しているようで、シンプルだけど現金そのもののように強力、と言える支払いツールの研究開発に努力している。しかも彼らが目指すそのツールは、NFCやクレジットカードなどと違って、法律などの規制にもかからず、銀行との面倒な関わりもない、というものでなければならない。そのMinnoが今提供しているツールは、たしかにシンプルだが、でも十分に強力だろうか?

彼らの基本的な考え方は、ユーザ(買い手)と売り手とのあいだの障害物をできるかぎりなくすことだ。そこで、Facebook Connectを利用し、カードや銀行の口座がなくてもアカウントを取れる、しかもサイトのHTMLコード中にたった1行のJavaScriptを書けばよい、という「支払い用ウィジェット」を作った。NFCのような現場支払い用ではないし、またFlattr やBitcoinのような”風変わりな”性格もない。代替通貨でもなく、特殊なコミュニティを作るものでもない。名前は淡水魚の名前なのでちょっとそぐわないが、その点を除けば、良くできていると思う。

作ったのは元Google社員二人で、オンラインの会費や、記事、メディア、書籍などの作者からの直接購入(例: Project 7 Alpha)、Webのアプリサービス(例: Torrent Traveler)などには、このような支払いシステムが必要とされている、と彼らは考えた。つまりこれらは、NFCやクレジットカード、デビットカードなどを使わない、また支払いのために大げさなインフラを要さない/合わない…ただしセキュリティは重要…マーケットだ。

このプラグインとシステムはなかなか良いようだし、Web上には確かにこのような、ポイントツーポイント(point-to-point)な送金の機会が増えつつある。健全な収益化計画があればさらにベターだが、Minnoは賢明にも、厳しい最低料金や30%のピンハネなどをしない。しかしタイミングと具体的な売出し方が重要だから、Minnosがこういうリアルなマーケティングの面でも有能か、それが問題だ。

かなり先の話としては、インターネット上の2つのユニークなID間の送金は、そのプロトコルが標準化されるだろう。それまでは、Minnoに限らず、特定のサービスが今のFacebookやPayPalのような大物になることはないだろう。お金を他人に渡すことには(どんなに小額でも)、政府など大きなところが介入しがちで、規制も必ず生まれる。またMinnoのようなサービスのマーケットとビジネスモデルは、どちらもまだ確立していない。お金とWebの対話的な関係は、数年後には根本的に変わるのではないか。

大企業は、Minnoのように数か月でサービス製品を完成させるほどの身軽さを欠いているが、でも彼らがこの市場に入ってきたときには、それほど優れた製品でなくても手強いだろう。銀行、VISA、Apple、Google、PayPalなどの大物たちが、15〜20年も前からあるオンライン支払いシステムの改良に巨額をつぎ込んでいるのには、それなりのねらいがあるのだ。これはダビデとゴリアテ的な状況であり、しかもダビデに勝ち目はないと思う。

ただしMinnoのシステムは、現状ですでに立派な完動品である。足りないのはパートナーだ(まだ世間が信用していない)。また、大きなブログネットワークやメディアコングロマリットなどの大口ユーザが飛びつくための、スケーラビリティ、特別サービス、カスタム化、などの条件整備も、これからの課題だ。

小額支払いはビッグビジネスになりそうな分野なので、話題も多いし、早い者勝ちを狙うスタートアップも少なくない。でも戦いはいずれ巨人たちに移行し、Minnoなどは、少なくとも今のままでは、大きな池の中の小魚で終わるだろう。

〔訳注: ユーザ(買い手)はMinnoを自分の財布と考え、そこにお金を置いておく。そして有料コンテンツサイトなどでMinnoの小さなウィジェットをクリックすると、その’財布’からお金が支払われる。簡単な紹介記事。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))