AmazonのCloud Playerでレコード会社がどこまでを容認するかが分かる

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各種サーバ内蔵ハードディスクで自家製クラウドを動かそう

Amazonは(今年中にやるとみんなが思っている)GoogleやAppleに先がけて、デジタル音楽のロッカーサービスCloud Playerを立ち上げた、とはいっても、その前途は多難だ。同社がCloud Playerのご案内とおさそいをWebサイトに乗せるとたちまち、大手レコード会社の一つであるSonyが警告を発した: “Amazonが提案しているロッカーサービスがSony Musicのライセンスを得ていないことは残念である”。Amazonはこれから、音楽業界と全面対決する気か? もしもその気なら、それは消費者の利益になるのか?

Amazon Cloud Playerはユーザに、自分の音楽コレクションを、インターネットに接続できるところならどこからでも聴ける能力を与える。すべてのメジャーなWebブラウザに対応しているWebアプリケーションからでもよいし、Androidアプリからでもよい(iPhoneのようなiOS製品は未対応だがMobile Safariを使えば一部の機能は使えるという報告もある)。ユーザは自分の音楽を、MP3かACC形式で自分のアカウント(自分の”ロッカー”)にアップロードする。そしてそれらのファイルに、Cloud Playerでアクセスする。どこから聴こうと、それはあくまでもそのユーザの音楽だ。AmazonはAmazonのアカウントを持っている人に–今どきAmazonのアカウントを持ってない人はまずいないだろうが–5GBの無料ストレージを与え、それ以上のストレージは有料となる(ハードディスクのスペースは今は安いから、Gmailのユーザになるとインボックス(受信トレイ)用に7GBをもらえる–Gmailの画面のいちばん下に、「現在7567MB中xxMB(x%)使用しています」というメッセージがある)。

音楽のストリーミングは、かなり前からある。ヨーロッパのSpotifyや合衆国のRdioなどは、すでに長年、デスクトップやモバイルのアプリを使って音楽をストリーミングできる能力をユーザに与えている。しかしこれらのサービスとAmazon Cloud Playerの重要な違いは、Amazonではユーザが自分の音楽をアップロードして、それに自由にアクセスできること。ローリングストーンズの古いCDを持ってて、その曲のファイルをSpotifyのクラウドにアップロードすることはできないが、Amazonならできる。Napsterのころから、音楽のデジタル化を目の仇(かたき)にしているレコード会社は、Amazonがそういう能力をユーザに提供するためには正しいライセンス合意が必要だ、と言い張るのだ。

今のところ、Sony Musicがいちばん声高な敵対者だ。同社がReuters(ロイター通信)に語ったところによると、Amazonとの現在のライセンス合意(MP3有料ダウンロード)は、音楽のストリーミングを許容していないという(曲を一度だけダウンロードするのはよいが、その–正規に購入した–曲を自由にいつでも聴くのは不可、という理屈だ)。iTunesで音楽を買ったら、それに対する権利はユーザにあるんじゃないの? ファイルを一度ダウンロードする権利しかないのなら、デジタル音楽に対する消費者の権利なんて完全なフィクションだ。Amazonにとってさらに不吉なのは、Sonyが”法的手段も辞さない”と言っていることだ。でも、そうなると、Amazonが抱える問題とは一体何なのか?

Electronic Frontier Foundation(EFF)の専属弁護士Julie Samuelsによると、Amazonは、Cablevisionが同社のリモートストレージによるデジタルビデオレコーダーRS-DVRに関して勝訴した2008年の判例を、弁護のモデルにできるだろう、という〔参考記事〕。それは、機能はふつうのDVRと完全に同じで、コンテンツの保存だけがCablevisionのサーバ上に行われる、というものだ。そのときCablevision側は、DVRのハードディスクがたまたまユーザの自宅以外の場所にあっても、機能そのものはふつうのDVRとまったく同じだ、と主張した。Amazonも同様に、ユーザのハードディスクが自分の部屋のデスクではないほかの場所にあるだけだ、と主張できるだろう。

しかし、こういう面倒にいっさい関わりたくない気らしいAmazonは今、レコード会社を“激しく”説得しているようだ。法廷で云々よりも、それ以前にこのサービスは、サービス提供者を法廷に呼び出すような問題を、まったく持っていないのだ、と。

Amazon以外にも、たとえばMP3Tunes.comなどもデジタルロッカーを提供し、デスクトップやモバイルのアプリケーションでサービスにアクセスさせている。しかし、四大レコード会社の一つであるEMI(RIAAの創設メンバーでもある)は2007年以来、MP3Tunes.comを訴えている

でもAmazonが、たまたまほかの場所にあるハードディスクへのアクセスを、ユーザに与えているだけだ、と裁判官に納得させることができたら、EMI/MP3Tunes.comの訴訟もどうなるか…。

それともレコード会社は、thisismymusiccollection.com(これはぼくの音楽コレクションだ.com)というWebサーバをセットアップして、そのファイルにアクセスすることは違法だ、と主張する気か? もしそうなったら、わが国の著作権法は全く何の役にも立たない骨董品だ。


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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))