A-Fund―DCM、Tencent、GREE、KDDI、Androidアプリのスタートアップ向けファンドに1億ドル

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シリコンバレーでは誰もかれもiPhoneマニアだ―Appleがユーザーの位置を密かに記録していても、 それについての説明を拒んでも、AT&T版の場合は電話ができなくても、誰も気にしない。

しかしアジアその他の途上国では、Androidがモバイルの主力となると予測されている。Android携帯はいよいよ日本と中国で勢いをつけ始めた。来年中には安価なAndroid携帯の奔流が市場を襲うことになりそうだ。中国市場ではベンチャー資金が湯水のように流れていることを考えると、当然新しいAndroidアプリの大群も登場するだろう。

新興市場というのは本質的に不安定で予測しにくいものだが、Androidが興隆するに違いない予測は例外だ。日本、中国、インドネシア、インドという国々の市場のサイズを合計してみるだけでよい。そこに安価で日々改善されるデバイスの大群が投入されるのだ。これらの地域にはもともと膨大なゲーム人口、プログラマー人口、そして投資家人口がある。

シリコンバレーの企業にはアジア、特に必ずといっていいほど中国で失敗するジンクスがある。しかしさすがのGoogleといえども、Androidをアジアで失敗させるのは並大抵のことではないだろう。eBay、MySpace、Amazon、AOL、おっとそれにGoogle自身の中国での失敗をすべて合わせたくらいの失敗をしない限り、Androidのアジアでの成功は約束されたも同然だ。

だから、有力ベンチャーキャピタルのDCMがアジア向けに起業初期段階のAndroidデベロッパーを助けるため、$100M(1億ドル)のA-ファンドをスタートさせたことは驚くに当たらない。驚くとすれば、こうしたこうしたファンドがすでに作られていなかったことくらいのものだ。元中国Googleの責任者、Kaifu Leeの運営するインキュベータ、Innovation Worksでは、すでに半年ほど前からAndroidアプリの開発が巨大な勢いになっている(Innovation WorksはTechCrunch Disruptの北京での開催のパートナーでもある。10月の会場では数多くのAndroid関連のイノベーションが登場すると期待してよい。北京のDisruptについては近く詳しい情報が発表される)。

DCMのゼネラル・パートナー、David Chaoによれば、3ヶ月ほど前に、北京でDCM、GREE、KDDIが夕食を共にした席でこのアイディアが生まれたのだという。全員がアジアでのAndroidの可能性について語りだして止まらなくなったのだそうだ。Chaoは「ある種の自由の爆発的拡大がやってくる。世界中の人々がモバイルの世界を舞台になにかできるぞ、という気になってきた。これは今までなかった現象だ。アメリカではなんでも自由にできたかもしれないが、アジアでは今まで数々の制限に遮られてきた」と語る。

DCMのファンドはシリコンバレー、北京、東京のスタートアップを対象とする。投資の決定はDCM、GREE、KDDIの三者が共同で行うが、DCMの既存のスタッフと今後新規に採用される数人の社員によって主な業務が実行されることになるだろう。効率が悪いのではないか、という感がしないでもないが、DCMは中国市場に関する戦略には長い経験がある。DCMはシリコンバレーのベンチャーキャピタルとの国際提携ではなく、独自のベンチャーキャピタルとしてすべての案件を単独で自ら決断してきた。現在までこの戦略は功を奏しているようだ。

DCMは巨大ゲームネットワークのTencent、日本最大のモバイル・ソーシャルゲームサイトの一つ、GREE、日本で第2位のモバイル・キャリヤKDDIというこの地域の大企業と提携関係を結ぶことに成功している。DCMはアメリカでもパートナーを獲得しており、数週間以内に詳細が発表されるはずだ。

Chaoはこうした戦略的パートナーの役割について「スタートアップはこうした大企業から日本や中国でのプロダクトの流通、営業に関して助けを借りたいと考えてもいいし、側に寄ると押しつぶされるおそれがあるから関わらないでおきたいと考えてもよい」と語った。

もっとも、競合の可能性はこうした幅広い提携がもたらす困難の一つに過ぎない。Androidは間違いなく巨大なチャンスを提供するものだが、この1億ドルの舟には広い地域から数多くの船頭が乗り込んできている。パートナーたちの本拠には時差もあれば、業種も異なる。すでにプレスリリースをどのように発表するかという点でももめている。日本のパートナーが日本のメディアに対して行った約束のおかげで、DCMが突然ニュースの発表を5時間も早めたので私は驚かされた。投資活動が現実に開始されれば即座にこの地域のスタートアップの運命にきわめて大きな影響を与える事業だけに、今後はパートナー間の調整がもっとスムーズになることを期待したい。

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01