[jp]グリーのOpenFeint買収でグローバルなスマートフォンゲーム競争は次のステージへ

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すでに報道されているとおりGREEはスマートフォン向けのゲームプラットフォームを提供するOpenFeintを100パーセント子会社として買収した

これはGREEにとっては海外展開を進めるうえでの近道切符となるのだろう。実際、GREEが海外での買収案件を探している噂は聞いていた。海外、特に北米での存在感を示すためには、競合するDeNAのngmoco買収と同様の、あるいはそれ以上のものを彼らの中に取り込みたというのがきっと本音だったのだろう。

GREEの資料によればOpenFeintはユーザー数が7,500万人、対応ゲーム数も5,000(2010年10月時点)とngmocoのplus+ Network(現mobage)のユーザー数1,750万人、対応ゲーム数178タイトル(2010年12月DeNA資料)と比べれば圧倒的に有利にも見える。加えて、OpenFeintは北米の携帯電話キャリアであるAT&Tとの提携によってAT&TのAndroidデバイス上にOpenFeintのプラットフォームが搭載されることとなっている。また同じくVerizonもAndroidのゲームのレコメンドについてOpenFeintと提携を結んでいる。ngmocoと比較すれば、こういったアライアンスもOpenFeintが有利に見えなくもない。

GREEもKDDIとの資本提携によって急速に成長していったこともあることから、こういった携帯電話キャリアとの提携もGREEにとっては魅力的に映ったようだ。AT&TによるT-Mobileの買収も発表されていることから、北米の主だった携帯電話キャリアとの提携もGREEは手中に収めたことになる。

実際、GREEの知名度は北米では皆無だとGREE Internationalの代表を務める青柳直樹氏は言う。そういう意味でOpenFeintの買収はGREEにとって北米での大きな前進となるだろう。

ゲームの開発者向けにはOpenFeint、GREEのプラットフォームの共通化を図っていくとしているが時期はまだ未定だ。Tencentやmig33といった他のプラットフォームとの提携による仕様共通化もあることから、それも念頭に入れた世界共通のものになることを考えてもいるようだ。またブランドについては、DeNAはngmoco買収後に同社のplus+ Networkをmobageブランドに変えているが、GREEはいまのところOpenFeintブランドを継承していくようで、その後はどうなるかも未定のようだ。

ご存知のとおりOpenFeintはDeNAが出資をしている(出資比率は18.3パーセント)ことでも知られる。GREEによるOpenFeintの買収額は1億400万ドル(およそ85.7億円)なので、およそ15.7億円をDeNAが受け取ることになる。ライバル企業にいくばくかの資金が渡ることについてはGREE側はコメントしてくれなかったが、この買収額が果たして妥当かどうなのかというところは今後、市場関係者の間では話題にのぼるだろう。ただ、株式市場ではGREEの株価は6パーセントほど上昇し好印象だったようだ。

付け加えておけば、DeNAによるngmocoの買収額は3億ドル(アーンアウトを含めれば4億ドル)と利益の出てない会社の買収について、その金額の高さが話題となったが、OpenFeintも2010年度の売上が28万2,500ドル(2,315万円)、営業利益がマイナス658万9,100ドル(5.4億円)の業績なために、今回も買収額が高いと指摘されなくもない。

とはいうものの、現時点は両社ともに日本でのソーシャルゲームの利益に支えられているため、次の世界でのビジネスの足がかりとしては金額の多寡は関係ないのかもしれない。

一方で、今回GREEがOpenFeintを買収したことで、なぜDeNAは一部出資をしていたOpenFeintを買収せずにngmocoを買収したのか、OpenFeintを買収しなかったのかという疑問が湧いてくる。ある噂によれば、DeNA代表取締役の南場智子氏はOpenFeintよりもngmocoのマネージメントスタイルが気に入っていたという話もある。

あるソースによれば、ngmocoもOpenFeintも同じようなスマートフォン向けのプラットフォームを提供しているようだが、微妙な立ち位置の違いがあるという。すなわちそれは次のようなことだ。

ngmocoはもともとElectronic Artsでおもに外部に開発を委託するゲーム開発のプロジェクトマネージメントをやっていたチームが立ち上げたという。特にngmocoはゲームのクオリティにこだわっていて、自身がファーストパーティーとしてよりよいゲームを出すことに注力していたようだ。ngmoco自体がサードパーティーのゲームも審査していたために、前出のようにアプリ数がOpenFeintに比べて少ない。ただ、ngmocoとしてゲームのクオリティを保っているために、iPhoneのゲームランキングの上位に入るようなゲームを複数だしていて、ゲームをヒットさせる目利きがある。またアイテム課金でも売りあげを上げているため、そういったノウハウが蓄積がされている。そう意味ではDeNAやGREEのように内製ゲームもだしつつ自身もプラットフォーム展開するという意味で似通っているのかもしれない。

ただ、ngmocoはどちらかというとゲーム開発には長けているが、ngcoreのようなプラットフォームの開発を行っているものの、そういったプラットフォームの構築が得意というほど技術力が高くないのではないかという指摘もある。これはあくまでも噂なので真偽の程はわからないがもし、それが本当なのであればDeNAとしては誤算だったのかもしれない。

一方のOpenFeintはオリジナルのゲームではなくて、クロスデバイスでプラットフォームのミドルウェアを提供して、とにかく誰でも構わないので採用してもらって、アプリ数やユーザー数を増やしていったという経緯があるようだ。スマートフォン向けのゲーム開発や課金のノウハウというよりも、技術的なアセットとユーザー数をGREEは買収したのではないかという見方がある。ゲームのクオリティや課金のノウハウはGREE側で得たものをOpenFeintにフィードバックしていくということなのかもしれない。

いずれにせよグリーの今回のOpenFeintの買収によって、スマートフォンのゲームプラットフォームの競争の世界展開は、DeNA、GREEともに同じような武器を手に入れたことになる。スマートフォンの競争はまだ未知のものなのでこれによって勝負がつくわけではなく、第三の勢力も含めてどうなるかはわからないが、日本の企業がスマートフォンの世界でグローバルに競争しながら活躍しているのは非常に興味深い。

なお、最近DCM、GREE、KDDI、Tencentが立ち上げたA-Fundは一節によればGREEの立ち回りによるものだという噂もある。ほかにも北米の有力なプレイヤーが出資する予定で、世界レベルでAndroidのスタートアップを囲い込む包囲網を作るという話も聞こえてきているので、それについても興味深く見守りたい。