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Dropship

クラウドの一寸先は霧

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クラウドの中にはAppleの「Castle」が確かにある

Dropshipという名前を聞いたことがあるだろうか。これは「Dropboxアカウント間で匿名のファイル交換を可能にする」オープンソースプロジェクトだ。Dropboxとしては広まってほしくない。今週彼らは抑え込もうとし、さらにこれがDMCA停止勧告の対象であると口をすべらしたが無益な抵抗だった。これに関して私は概して同情的だ。私はDropboxの大ファンであり、Dropshipは利用規約に明らかに違反しており、当然のことながらDropboxはこのサービスを匿名のP2Pファイル共有サービスなどにしたくない。不幸だったのは、彼らが図らずもそれを可能にするシステムを作ってしまったことだ。

SonyのPlayStationネットワークはどうだろう。もちろん持ってるよね。。今週、あまりにも完璧に侵略された結果、Sonyは無期限にこれを閉鎖せざるを得なかった。Sony PS3のファームウェアが事実上無防備であり、その理由があきれるほどバカな間違いのためであることをご存じだろうか。それがおそらくPSNがハックされた理由であり、 ハッカー(たち)の亡霊が繋がれた世界中のPlayStation 3を乗っ取り、史上最大のボットネットへと化してしまったことを存じだろうか。それはおそらくSonyが意図したことではなかったが、図らずもそれを可能にするシステムを作ってしまった。

Google DocsのAndroidアプリはどうか。今週公開され、非常にすばらしい。数ある機能の中に、テキストの写真を撮り自動的にOCRしてテキスト文書にする機能がある。早くGoogle Translateも統合して、昨年話題になったアプリ、World Lensを再現してほしいものだ。しかし、出版社にとって相当嬉しくないことは間違いない。そう遠くない昔、本をスキャンするにはスキャナーを自作するか、本を買ってきて全ページをめくらなければならなかった。今や、本海賊予備軍は、10人ほどクラウドソースして書店で20枚ずつ撮影させるだけでよい。Google Docsに400ページのスキャンデータ。海賊版を作りやすくすることはGoogleの意図したものではなかったが、図らずもそれを可能にするシステムを作ってしまった。

今週はまた、リモート制御可能なインターネットカメラ/マイク/GPSを持つ人たちが、自分のプライバシーが危機に曝されれていることを知り、驚き激怒した一週間でもあった。円形刑務所は、モバイル業界が意図したものではなかったが、図らずもそれを可能にするシステムを作ってしまった。

以上の共通点は何か。クライアントデバイスをクラウドに接続したことによる予想外の結果だ。人々は「クラウドへの移行」と、まるでまだそうなっていないかのように語る。サーバー会社にとっては重労働かもしれないが(AWSが動き始めれば)、繋がれたコンピューターや電話機やゲーム機は、すでにクラウドの目、耳、手足として働いている。

創発特性。意図しない結果。これらに慣れることだ。私の好きなダグラス・アダムスの小説、ダーク・ジェントリーでは、主人公が「万物の基本的つながり」を利用して、奇想天外な方法で犯罪を解決する。今われわれは、まさしく(ほぼ)あらゆる物にそんな繋がりを作り込もうとしている。だから、われわれはダーク・ジェントリー的未来を見ても驚くべきではない。ちょっと変わったおかしな出来事が次から次へと起こる未来を。上に挙げた結果がほんの始まりに過ぎないことは間違いない ― そして、それらが起きる前に理解することで大きく儲けるチャンスがあることも。

写真提供:Aspex Design, Flickr

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(翻訳:Nob Takahashi)