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スタートアップの立ち上げ前、CEOの仕事はサンドイッチを買うことだった

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本稿のライターであるSeth Sternbergは、Meeboの共同ファウンダーにしてCEO。以前はIBMでM&Aを担当していた。

私は意欲に燃える起業家と話すのが好きだ。最低でも週1回は実行している。

よく聞かれるのが「スタートアップのCEOの役目は何か」という質問だ。時として立ち上げ前の「CEO」を不思議に思う人がいるようで、そもそもスタートアップにCEOが必要なのかを尋ねられる。もしそのCEOがエンジニアでないなら、いったい何をするのか。あるいは、今私が180人の企業のCEOとして何をしているのかを知りたがる。この記事で私は、立ち上げ前のCEOの役割について書き、続編では立ち上げ後の役割を論じるつもりだ。

では、CEO、それも当初は普通のビジネスパーソンだったCEOは、立ち上げ前のスタートアップで何をするのか。

まず、Meeboの始まりの頃、2005年4月頃に立ち返ってみよう。

共同ファウンダーであるSandy Jen、Elaine Wherryと私の3人は、毎週水曜の晩と日曜の終日に顔を合わせて、Meebo立ち上げの準備に取り組んだ。私のアパートで会ったことはなく、必ずSandyかElaineの部屋を使った。なぜか? その方が良いコンピューターと高速インターネットを使えたからだ。実際それは、立ち上げ前の「ビジネスパーソン」の役割を端的に表していた。この話題には以前ファウンダー・ストーリーのChris Dixonのインタビュー(下に貼ってある)でも触れたが、詳しく語る価値があるだろう。

殆どの消費者向けインターネット製品に関して、立ち上げ前にビジネスパーソンに出来ることはあまりない。会社の価値のすべてが決まるのは、製品を作って売り出した時なので、そこに重点を置くべきだ。どこかと提携関係を結ぶこともない。まだ市場で製品が信用を得ていないのだから。誰かを面接することもない。本格的なチームを編成する余裕はないから。そして、立ち上げ前の資金調達に費やす時間もない ― これが昨今議論を呼ぶ話題なのは知っているが、それは別の機会に譲ることにする。では、邪魔を最少限にしてチームが製品完成に向けて集中するため、CEOに出来る最も重要な仕事は何か。

それは、サンドイッチを買ってくること。

要するに、立ち上げの2~3週間前までのビジネスパーソンの仕事は、支援に回ることだ。

毎週日曜日に集まった時、正直なところ私は、本来の仕事そのものにはあまり貢献できなかった。近所のスーパーに走ってサンドイッチを買ってくることはできた(今でも私のサイフには「10回で1回無料」のカードが入っている)。ドメイン名を買ったり、サーバー料金を払ったりという雑務もやった。なあに「そのボタンはもう少しカッコ良くした方がいいんじゃない」くらいのアドバイスはした。しかし、そこまでだった。私は裏方だった。
私は悩み始めた。「そもそも自分は必要なのか?」。率直に言って、ElaineとSandyが懸命に働くのに比べて殆ど何も出来ない自分を見るのは、気分のいいものではなかった。フリースビーで遊んでいる方がマシではないか。

ある時それを口に出して言った時、ElaineとSandyの反応は明快だった。「もし、このチームの一員でいたいのなら、ここに居てほしい。」

3人が持ち寄ったそれぞれのスキルは対等だ。私の役目は、ある面では精神的支援だった。あるいは、立ち上げ前に必要なチームの団結にも貢献した。立ち上げ後は、物事が異常で速くなる。だから、完成前の信頼関係が決定的に重要なのだ。スタートアップで最後に物を言うのはチームだ。強力なチームでは ― Sandyが常に指摘するように ― 多くのアイディアが生き延びる。

しかし、立ち上げ前2~3週間前に早送りすると、いよいよビジネスパーソンの出番だ。

その1、最適な法律事務所を探して法人化する

少なくとも当時の標準的な弁護士費用は2万ドルで、これはシリーズAラウンドまで支払いが猷予される。今も大して変わっていないはずだ。どの事務所の誰に頼むべきか、アドバイスを受けること ― 会社をどう設立するかによって、先々多くの面倒を避けることができる(これに関するChris DixonとErick Schonfeldのおしゃべりがここにある)。

その2、立ち上げ戦略を見極める

立ち上げ前に、友達を山ほど集めてテストをしたいなら、そうすること。そして、彼らのフィードバックを集め、共同ファウンダーたちのために優先順位を付ける。サービス開始について書いてもらうブロガーを紹介してくれる人が必要なら、探してきてブロガーにサービスの概要を伝えよう。ちょっとしたソーシャルメディアの魔法を使うために、友達を集めておくことも忘れないように ― FacebookやTwitterで宣伝してもらう。

その3、良き指導者を見つける

われわれのやろうとしていることに情熱を注いでくれて、われわれのチームがすごい製品を作ることに、心から共感して動いてくれる人を見つけることが重要だ。たぶん自分たちより2~4年先行していて、成功も失敗も経験し、初期の手痛い失敗を避けられるよう正しい選択へと導いてくれる人。皮肉なことに、最も経験の少ない時が、会社を立ち上げるために山ほどの決断をする時でもある ― その決断が数年後に会社を潰すか救うかを決めるかもしれない。

立ち上げ後のビジネスパーソンの役割については、次の記事に書くつもりだ。しかし、本稿の最後にもう一つ言っておきたい。そんなに仕事が少ないのなら、そもそも立ち上げ前にビジネスパーソンは必要なのか?

答えはイエス。基本的な理由が3つある。

第一に、立ち上げ後、ビジネスパーソンの仕事は非常に重要になる。立ち上げ後、実際の製品のために(サンドイッチの注文を覚える驚異的能力だけでなく)そこに居てもらう必要がある。立ち上げ後の大変な時にこの人を探す、などという苦痛は避けたい。それなら、スタートからみんなが揃っていた方がいい。

第二に、優秀なエンジニアを探すことが信じられないほど困難であるのと同じく、優秀なビジネスパーソンを探すこともまた、信じられないほど難しい。ダメなエンジニアである共同ファウンダーが会社をダメにするのに手を貸し、優れたエンジニアが会社を作る手助けをするのと同じことは、ビジネスパーソンについても言える。優れたエンジニアである共同ファウンダーを見つけたら、絶対に手離してはならない。優れたビジネスパーソンの共同ファウンダーを見つけた時も、同じだ。

第三に、チームの結束は本当に重要である。そのためにかける時間は長いに越したことがない。以前私は、会社の成功のために、究極の設立チームを編成する以上に重要なことはないと主張した。この結束力は、初期において特に重要になる。何年もの期間を共にすることになるからだ。お互いを理解し、信頼すること、それが暗黙のうちに行われることの大切さを説明することは難しい。早く集まって一体化するほど、結果は良好だ。

写真提供:Flickr/FotoosVanRobin

 

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(翻訳:Nob Takahashi)