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第2のITバブルなんか来ないとあまり慢心するな

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私は一ヶ月ほど前に「第2のITバブルが来た!」という空騒ぎについて記事を書いた。ここでは2000年のインターネット・バブルと現在の空騒ぎの相違を分析した。簡単にいえば、ベンチャーキャピタリストがスタートアップ企業の会社評価額が急上昇するのに歯止めをかけようとして「バブルだ」と言い出し、ドラマ好きのマスコミがその餌に食いついた、というのが私の結論だった。

1999年にNasdaqは手のつけられない狂乱状態になっていた。株価の動きと会社の業績の間にはもはやなんの関係もなかった。現状はそんなことにはなっていない。その理由の一つは、株式を新規上場する企業の数がきわめて少ないせいだ。巨額の評価を得ている非公開企業―Facebook、Groupon、Zyngaなどはその評価を裏付けるだけの利益を上げそうだと見込まれている。Twitterだけは売上拡大にあまり熱心には見えないが、これはむしろ例外と考えてよいと思う。

しかし私が前の記事を書いてから1月の間に市場には動きがあった。特にこの2週間ほどの間に起きた出来事に私は憂慮している。憂慮しているというのは言い過ぎかもしれない。しかしスタートアップのエコシステムの健全性に対して私が以前より強い懸念を抱くようになったのは事実だ。

Marc AndreessenはAllThingsDのカンファレンスで「依然としてバブルではない」と主張した。私はその結論自体よりも、理由付けに強い疑念を感じた。

バブル経済の特徴は誰もがそれをバブルだとは思わないことだ。1999年に市場は幸福感に酔いしれていた。皆が〔バブルではないかと〕心配しているのは良い兆候だ。バブルを警告する記事がもっと出てくれればよいと思う。

いや、1999年当時、誰もが幸福感に酔いしれていたわけだはなかった。バブルを警告する声はいやというほどあった。たとえば、この 1999年のNew York Timesの記事のタイトルは「狂乱のインターネット株価は破裂を待つバブルか?」というものだ。こちらはForbesの似た様な記事だ。その他いくらでも例を挙げることができる。

もちろん、だからといって何かを証明したことにはならない。野心的な経済学者は毎年不況とバブルを警告するものだ。こういう予言は外れたときは誰も覚えていないが、たまたま最後の予言が当たったら本がベストセラーになる。前の記事でも書いたとおり、できるだけ早く、できるだけ何度もバブルを予言することにはメリットがあるのだ。

そういう事情はあるものの、1999年にはバブルを警告する声はなかったというAndreessenの主張は完全に間違っている。

Andressenはまた、「株式市場自体がバブル的な値動きを示していないからバブルではない」という。しかし最近上場したLinkedInは株価収益率2000以上を記録した。同じく新規上場したZipCarの場合はそもそも利益を上げていないから株価収益率自体計算できないにもかかわらずNasdaqの株価総額は10億ドルにも上っている。

しかしAndreessenは大手IT企業の株価収益率は妥当な範囲にとどまっていると主張する。その点では彼は正しい。1992年にMicrosoftの株価収益率は72だったが、今は10以下だ。

「公開市場は狂乱していないからネットバブルではない」というのはなるほど説得力のある議論だ。

しかしいやな兆候は確実に出始めている。公開市場はITバブルの到来を熱望しているのだ。Facebook株が明日にでも公開されたと考えてみよう。そして即座に株価総額が$200B(2000億ドル)を記録したとしよう。非公開株のマーケットで現在$75B(750億ドル)前後をつけているのだから、その3倍弱はあり得ない額ではない。

Googleの株価総額は$170B(1700億ドル)だ。

そう、ここが問題なのだ。株式市場は成長の機会に飢えている。市場はIT系上場で勝ち馬に賭けようと目の色を変えている。しかし株価が上がり過ぎれば負け馬になってしまう。今日のところは非公開市場での理論上のバブルに過ぎないが、明日にはニューヨーク証券取引所やNasdaqでの本物のバブルが引き起こされかねない。実際その瀬戸際にいるといっていいだろう。

それに非公開株の動きも理論上というより現実のバブルに近づいている。3月にAndreessenのパートナー、Ben Horowitzは「非公開企業の株式評価額もそれほど高すぎるわけではない」と主張した。Horowitzは「最近$1B(10億ドル)を超えるような非公開企業の評価が続いたが、Googleのような公開企業の株価と比較すれば高すぎるということはない」という。

それはその時点では(Twitterを別として)正しかった。しかしその後に行われたいくつかの取引はHorowitzの主張を吹き飛ばしてしまう。たとえば、われわれも報じたとおり、AirBnBは$1B(10億ドル)の会社評価で資金調達に成功した。AirBnBはなるほどすばらしいスタートアップだが、依然としてこれというほどの収入はなく、利益を上げていないことは間違いない。このラウンドをリードしたのが他ならぬAndreessen Horowitz自身だというのが興味深いところだ。

自信満々でリスクの高い巨額の賭けをするAndreessen Horowitzが私は好きだ。しかし、彼らの投資戦略が基づいているのが誤った1999年の記憶だというのが心配だ。しかも非公開企業の株価評価は今のところ妥当だという自分の主張を〔AirBnBに対する投資で〕自分で覆している始末だ。

バブルは来る。すべての兆候はおそらく今年の後半になってIT企業の株式公開が続く頃からバブルが本格化することを示している。Facebookが上場したら用心した方がいい。できる限りたくさん株を買ってできる限り持ちこたえれば巨額の金を儲けられるだろう―バブルが破裂してすべてが無に帰す瞬間を読み誤らなければだが。

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01