[jp]Joi曰く日本でLinkedinをどう展開するかは「まだ決まってない」

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デジタルガレージと組んでいよいよ本格的に日本に進出しようといLinkedinの日本での展開はどのようなものになるのだろうか? 答えは「まだ決まってない」だ。先週僕はこの件について話をするために、最近になってMIT Meida Labの新所長に就任しCreative Commonsの会長を務め、エンジェル投資家としてその名を知られる、業界のスーパースターであるわれらがJoi(伊藤穣一氏)に会ってきた。JoiはもともとはLinkedinを立ち上げたReid Hoffmanと友人で、Linkedinの立ち上げ時に関わっている(残念ながらそのときにはお金がなくって投資できなかったんだとか)。最近になってLinkedinと正式に顧問契約をして、デジタルガレージとともに日本にLinkedinを広めていこうと活動している。

具体的に日本のLinkedinで何が起こるのだろうか。1つはすでにアナウンスされているとおり、日本語化されたものが年内にはリリースされるということだ。当たり前だが、日本は世界でも特殊なマーケットで、日本語化されいてないサービスは利用されない。実際、Linkedinの利用者の割合でみれば、米国がナンバーワンだが、それ以外の国ではイギリスやインドなどの英語化圏の国がほとんどで次いでヨーロッパの国が多い。インターネット人口が多いにもかかわらず日本のユーザーはほとんどいない。ただ、ビジネス機会は可能性として低くはないというわけだ。

日本語化については、片鱗は現れていて、すでにいま日本の大学の名前が日本語で表示されている。学校名や社名は英語表記であろうが日本語表記であろうが一意に同じものでなければ意味がない。そのあたりを試行錯誤しているようだ。

もう1つはメディアとの提携だろう。コンテンツをLinkedin向けに提供したり、あるいはメディア側のサイト内にLinkedinとの連携を提供したりということも進めていくことを考えているようだ。Linkedinはビジネス向けのサービスであるがゆえに、ビジネスのメディアとの提携は模索したいということだ。

2003年に開始し、日本市場への参入のウワサが何度もあったLinkedinは不思議なソーシャルネットワークサービスだ。その成長スピードは「Orkutだとか今までのソーシャルネットワークというのは、友達を増やすのをゲームにしちゃう。それでユーザーは増えるけれど、価値がないネットワークになるし、それをどうするのということになる。けれど、Linkedinっていうのは比較的真面目にみんな使っているから、だんだんじわじわとバリューだしてきている」とJoiが言うように、米国でもその価値がすぐに受けいられたわけ訳ではなく、ある程度の時間がかかってその価値が浸透していった。短期間でユーザーを伸ばしていったfacebookやTwitterのようなサービスとはまったく対照的だ。

となれば、日本で流行るかどうかの議論以前に、まずはその利用シーンをある程度啓蒙していく必要があるだろう。Linkedinを日本で広めるために必要なのはまずはそこなのかもしれない。

「Linkedinっていうのはソーシャルネットワークサービスじゃない。プロダクティビティとユーティリティーのツール」だというように「いかに自分の仕事をもっと効率よく、もっとエフェクティブにできるかという発想で作られている」。よく言われるような仕事探しやあるいは採用関係者が使うという側面はあるものの、多くの使い方として、「どこの会社の誰にコンタクトするか」「こういう人を探してるが自分のネットワークにいるか」といった仕事に直結した人探しにもっぱら使われている。

僕もたとえば、取材したい人を探すのに使っている。たとえば、Y combinatorのPaul Grahamのインタビューをしたくて紹介してくれる人のあてを探していたのだけど、Linkedinでつながるスタートアップの友人に紹介をしてもらうところまで行き着くことはできた(残念ながらメールのやりとりまではできたもののタイミングが合わずにインタビューは叶わなかったけれど)。

「米国の状況もずいぶん変わったと思う。人を紹介したり、ビジネスの話をするときには、LinkedinのURLが必ずついている。シリコンバレーで人にあう前には、その人が誰なのかをLinkedinを見て確認していく。かつてはLinkedinは2カ月に1回ぐらいしか見る価値がなかったけれど、いまは毎日使っている。」ただそうなれば、Facebookのような同じように実名制をとるソーシャルネットワークサービスとあまり変わらないようにも思える。その違いは「ソーシャル」性にある。

「Facebookは写真をシェアするのがメインで、たとえば、飲み会のあとに顔をタグして共有するのがソーシャルでしょう(飲み会の次の日はまずいことになってないか、まずはFacebookのチェックから始まる)。次によく使われるのが多分ゲーム。やっぱりFacebookではプライベートな話をする場所で、ビジネスオンリーで使っている人もいなくはないんだろうけれど、ビジネスだけの関係の人はFacebookの友達関係を切っていっている人もいる。飲み屋の女の子からFacebookにメールがきてもいいけれど、会社に電話がかかってくると困るように、やっぱりプライベートとビジネスを分けなきゃいけない。」そういう意味でFacebookとLinkedinとは共存する理由がある。

ただ、いずれにせよその価値はユーザー数に比例することは間違いない。Linkedinの成功を夢見てビジネス向けに作られたSNSの屍は日本でもたくさん見てきた。今度こそ本物の、世界1億人が使うネットワークが参入してくるわけだが、現状からはまだ日本で受けいられるかはまだまだこれからという感じのようだ。