WebOSとLinux, それはHPの若返りの妙薬になるか

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本誌のJohn BiggsがHP TouchPadのリビューを書いているが、その中で彼は、”このショウの真のスターはWebOSだ。このOSは本格的なマルチタスクができ、’カード’とカードの’スタック’(積み重ね)というメタファで表されるシステムを使って、アクティブなアプリケーションを表示する”、と書いている。ここでみんなに思い出してもらいたいのは、WebOSのベースがLinuxのカーネルであることだ。そしてそのことが、いくつかの興味深い意味を表している。HPはPalmの優れたUXを継承しているから、WebOSを見て”複雑で難解”と思われがちなLinuxを連想するのは難しい。でも、HPがWebOS/Linuxを採用したことには、美麗なUI以上の意味があるのだ。

HPは、タブレット用のOSとしてAndroidを選ぶこともできただろう〔AndroidもベースはLinuxカーネル〕。それは決して悪くない選択だったと思うが、しかしHPはWebOSを買収して開発を持続することにより、Linuxを使って自分の運命を自分でコントロールできる道を選んだのだ。Linux FoundationのディレクターJim Zemlinの見方では、”このアンチMicrosoft的決定によってHPは、重要な経営決定をするに当たってサードパーティの顔色をうかがう必要がまったくない環境を望んだ”、という。過去にそういう試みに挑戦した企業はとても多い。MS-DOSでなくDR-DOSを製品に載せたOEM、Windows 3.1ではなくOS/2を選んだコンピュータメーカーなどなどが、Redmond〔Microsoft本社の住所〕の覇権主義に抵抗してきた。しかし、WebOSと、市場における小型のモバイルコンピューティング機器(タブレット、携帯電話、プリンタなど)の大繁茂により、HPは、完全に独自の道を進むことが可能になった。つまり、これらの製品分野で、自分が良いと信じたものをそのまま直接、消費者に手渡すことができるのだ。

Zemlinはこう続ける:

しかしながら、ここ数年申し上げているように、ITは製品の産業からサービスの産業へとシフトしつつある。音楽やアプリ、広告などのサービスで収益を得るためには、自分が完全にコントロールできるプラットホームを持つ方が得策である。とくに、HPのような大企業では、Microsoft–やそのほかの他社–と運命を共にするよりは、この戦略のほうに生き残りのチャンスがある。そういう路線を迅速かつ経済的に構築できる唯一の方法が、Linuxだ。

“ITがサービス産業にシフト…”は大げさな気もするが、しかし消費者向けの電子製品とコンピューティングは、明らかにその方向に変わりつつある。アプリケーションの日常消費者製品化に先鞭を付けたのはAppleだが、それもほとんどは自社で作らず、むしろ自社で作らないことによって大きな収益を稼いでいる。Amazonも今、その真似をしようと躍起だ。オンラインの三巨頭Apple、Google、そしてYahooは、全員が、オンラインの音楽サービスにより人間から直接売上を得ようと画策している。

業界のそんな大変動の中で老犬HPは相変わらず、人びとがデスクの上にどさっと置く古めかしいコンピュータやプリンタを売っている。しかしWebOSはそんなHPに、自社独自のサービスのエコシステムを作って参戦する機会を与える。もちろんHPはサーバ市場でも、WebOSをさまざまなおもしろいやり方で活用していくだろう。

Palm時代のWebOSは、あまりぱっとしなかった。発表が早すぎ、リリースが遅すぎた。しかも当時の携帯電話はパワー不足、電池寿命も短すぎた。iPhoneを華々しいスターに仕立てた大量のアプリもない。しかしHPなら、Palm時代よりもずっと本格的にWebOSに注力できるだろう。その力の入れ方次第では、今後WebOSは大きく伸びる可能性がある。まず、アプリケーションストアのセットアップが絶対条件。一つの家の中で複数のWebOS製品を統合化して使える、多様な、おもしろい方式も必要。そのほか、HPなら消費者が望むものを何でも実現できるはずだ。

HPに、そんな社内革命を興す手腕があるか、それは分からない。HPは巨大企業で、実にいろんなことに手を延ばしている。AppleやGoogleのような、クールな企業というイメージもない。でもWebOSは、そういうクールなイメージをHPに与える核になるかもしれない。いや、少なくともWebOSはHPに、消費者向けコンピューティングの分野で、支配的ではないまでも、消費者の上位選択肢に必ず含まれる選手であり続ける機会を、与えるだろう。


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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))