電子書籍をサイン本にするKindlegraph

次の記事

Google ChromeのOS X Lion対応版、開発中―完成まで少し時間がかかりそう

電子書籍の売上が紙の本を超え、[大型書店チェーンの]Bordersが崩壊した今、誰か ― おそらくこのブログ自体のゲスト寄稿者の一人 ― が物理的書籍の終焉を宣言するのは時間の問題だ。

とはいえ、紙の本には電子本が模倣に苦闘している側面がいくつかある。大好きな本を読んでいる見知らぬ魅力的な人物と、会話を始めるきっかけ。美しい装丁の楽しみ。友人の本棚を観察するのぞき見的スリル。

著者にとって ― おそらく読者にとっても ― もう一つ紙の本が与えてくれる大きな喜びが、本のサインである。著者にとっては、大好きな仕事を続けさせてくれる人たちと出会う(そして感謝する)機会であり、読者にとってはお気に入りの著者と接し、その有名著書の不満足なエンディングに文句を言う機会である。そう、シャーロット・ブロンテ、あんたのことだよ。

これらの歓びのすべてが、もし電子本が紙を置き換えるのに成功すれば、消えてしまうかもしれないのだ。私がこのKindlegraphを見つけた時の喜び様を想像してほしい。これは、サイン本の体験をKindle上で― 少なくともある程度 ― 再現することを目指すサービスだ。

テクノロジーは単純明快 ― 読者はTwitter経由でログインし、「サイン」して欲しい本を選ぶ(著者または出版社は、自分の本にこの機能をもたせるかどうかを選べる)。リクエストは著者に転送され、著者は ― DocusignのAPIを使って ― 短かいメッセージを書き、デジタル署名する。サイン入りのメッセージは読者のKindleに別ファイルとして送られる。

うん、わかってる。これは紙の本に著者のサインを書いてもらうのと、同じだとはとても言えない。マーガレット・アトウッドの[遠隔サイン機]Longpenと同じく、本のサインが人気である理由の人間的つながりの大部分は失われてしまう ― しかも、少なくともLongpenにはビデオ機能があり、読者は著者が本に「サインする」ところを見ることができた。Kindlegraphは、サインしているのが著者本人である証拠もないし、自分が所有していない本のKindlegraphをリクエストすることも防げない ― これは、忙しい著者やその広報担当者が協力するのを妨げる可能性がある。

それでも、新しい読者とつながる方法として、Kindlegraphによるサインが、書店イベントを企画するよりずっと簡単に、ちょっと楽しい可能性を読者に提供できることは間違いない(このサービスのテストのために、私の著書を買ってくれた人に、俳句Kindlegraphを書くことを申し出た)。そして、他にお気に入りの著者とつながる有効な手段のないKindle読者にとって、これが正しい方向への第一歩であるに違いない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)