孫泰蔵氏が仕掛けるシードアクセラレーションプログラム、投資領域は5つ

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さて、また新たに少額投資のインキュベーション事業が立ち上がる。シードアクセラレーターとしての投資やインキュベーション事業についてはこの1年ほどでいくつか立ち上がっている。今回紹介するのは、孫正義氏の実弟、孫泰蔵氏の企業のMOVIDA JAPANによるものだ。

MOVIDAがとろうとしている投資/インキュベーションの方式も、本人たちが認めるようにYcombinatorを強く意識したものとなっている。随時投資をするわけではなく、このプログラムは年2回の募集が行われる中から支援先を選ぶ。そして1チーム(1社)に対して最高で500万円ほどの投資を実施し、おおよそ15パーセントの株式を保有することを考えているようだ。1回の募集で数社から多くても10社ほどの投資先を発掘する。もちろん、これらは目安なので、投資額はもっと小さいかもしれないし、保有する株式の割合ももっと少ないかもしれない。面接などを通じて投資チームが決まれば、3カ月の間でプロダクトをブラッシュアップしていく。もちろん、その間、MOVIDA内のメンターがいろいろとアドバイスをしてくれたりするし、まだ確定はしていないけれど外部からのメンター(きっとこの業界の有名人もいるだろう)もやって来るはずだ。

僕が泰蔵さんから説明を受けてMOVIDAのインキュベーション事業について興味深く思ったのは2つある。1つはある程度投資領域を絞っていることだ。もちろんインターネットを使ったものにはフォーカスしているのだけれど、泰蔵さんが投資をしようと考えている領域というのはその中でも次の5つである。

  • Mobility of Life――いままではPCでしかできなかったものをモビリティーをもって実現できるようにすること。いつでもどこででもできるようにする、時間と場所の制約を取り払ってくれるような画期的なテクノロジーやサービス。
  • Global Distribution of Digital Contents――デジタルコンテンツの世界流通のプラットフォームになりそうなもの。たとえば日本のアニメのようなオリジナリティのあるコンテンツを世界に発信するといったもの。もちろんそこに流れるコンテンツはプロが作ったものでなくてもいい。
  • Redistribution by Social Sharing――たとえば、AirBnBのようなソーシャルシェアリングといったサービス。ソーシャルメディアをうまく使うことで余剰をマッチングすることで、マクロ的に社会の生産性を上げるようなもの。財の再販分をうまく実現するもの。
  • Cloud Accelerated Innovation――たとえば、YouTubeに流される新しいダンスのビデオによってダンサーたちは自らのダンスの質を高め、それを改良するといった一連のサイクルのスピードが上がってきているだとか、かつては将棋会館の中にしかなかった秘蔵の棋譜がインターネットで誰でも読めるようになり、それが解析されることによって将棋を指す若い人たちがデータ量を蓄積することで、将棋の名人が初段の人に負けそうになるだとか、クラウドによってあらゆる分野の情報が高度に共有されるということを促進するといったもの。高度な情報共有のプラットフォームとなるようなサービス。
  • Improvisations by Social Curation――人々によるキュレーション活動やソーシャルフィルタリングなどによって質のいい情報をうまく効率的に集められるようなサービス。

もちろん、この5つのサービスでなくても投資をするケースもあるというから、彼らが描くこれからの成長領域ということでこの5分野を考えているのだろう。もっと言えば、泰蔵さんによればbit.lyやchartbeatを立ち上げたBetaworksのように自らの投資領域を決めて、自社でも事業を立ち上げるし、投資もする、そんなスタイルをMOVIDA自身も目指しているそうだから、こういった事業の興味の対象を限定できるのだろう。

もう1つ興味を持った点は、これは今回のシードアクセラレーションのプログラムとは直接的には関係ないのだけれど、MOVIDAでは米国のイケてるスタートアップたちを日本やアジアで展開する支援、もっといえば日本やアジア向けの法人を立ち上げて事業をスタートさせることを考えていることだ。なんでこれがいいかというと、たとえば、投資した会社がうまくいかなかったときに、こういったプロジェクトの立ち上げ役としてスライドしてやってもらうという受け皿的な役目を果たす可能性があるからだ。失敗した起業家たちの仕事を一応は確保できるかもしれないというのは心理的にも多くの起業家たちに有利に働く可能性がある。それに、起業家マインドを持った人たちであれば、事業の立ち上げもうまくいくかもしれない。

そういう意味で僕はMOVIDAの一連のインキュベーション事業の構想については評価したい。

ところで、泰蔵さんは東アジアのベンチャーの生態系をつくろうとしていることを僕に教えてくれた。このシードアクセラレーションや米国やヨーロッパの企業のアジア展開も含めて今後5年で500社を立ち上げて、5万人の雇用を産み出して、5億人がユーザーとなるようなものに育て上げたいという。おおなんと、泰蔵さんは自らThink Bigを実践しているじゃないか。みんなも見習わないとだね。

忘れるところだった。MOVIDA JAPANの第1回Seed Accelarationプログラムは今日から9月30日まで応募チームを募集している