YCが出資するAeroFSはローカルP2PネットワークでDropbox的ファイル同期サービスを構築する

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私は長年Dropboxを愛用者している。手間がかからず、きちんと仕事をしてくれる。 普通の文書ファイルを格納しているだけなら無料の2GBでかなり持つ。しかしいいことばかりではない。映画などの巨大ファイルを格納し始めるとあっという間に高額な料金帯に突入してしまう。重要データを扱う企業ユーザーの多くは、会社の方針でサードパーティーのシステムにファイルを保管することを禁じられている。

こうした場合に対応しようというのがY Combinatorが支援するたいへん興味深いスタートアップ、AeroFSの目的だ。このサービスの機能はほぼDropboxと同じだが、サードパーティーのサーバを利用する代わりに、ユーザー自身の所有するデバイスで作られたネットワークにファイルを保管する。

DropboxのユーザーであればAeroFSの機能は見慣れたものだろう。自分のコンピュータ(Windows、Mac、Linuxをサポート)に小さなアプリをインストールすると、後はLibraryと呼ばれる専用フォルダにバックアップしたいファイルをドラグ&ドロップするだけでよい。すると自動的にユーザーのデバイス間でファイルが同期される。このプロセスはピア・ツー・ピア(P2P)で行われ、サードパーティーのサーバは一切使われない。

この方式にはいくつものメリットがある。まず、ユーザーデータはAeroFSのサーバに保存されるわけではないので、 セキュリティー上の理由からDropboxのようなクラウドサービスの利用が禁止されたている企業でも利用可能だ。第二に、データ量がいくら増大してもサーバの使用料金を支払う必要がない。これは巨大なファイルを扱うユーザーにとっては大きな魅力だ。

ただし、こうしたローカルP2Pネットワークには弱点もある。インターネット接続さえ可能であればいつでもどこでもファイルの同期ができるDropboxとは違って、AeroFSの場合は、ユーザーが所有し、かつ電源が入っているマシンとの間でしか同期できない。自宅のデスクトップ・マシンで重要な文書を編集した後、飛行場でノートパソコンを広げたとき、デスクトップの電源を落としてしまったのを思い出したらお気の毒様、ということになる。

AeroFSのファウンダー、Yuri Sagalovは「確かに欠点だが、実際にはそれほど大きな不便はもたらさないはず」という。つまり、たいていの企業のサーバは基本的に24時間稼働しているので、AeroFSをこうしたサーバにインストールしてハブの役割を果たさせればよい。

またAeroFSには重要ファイルを一層安全に保管するオプションがある。ユーザーはフォルダを選んでAeroFSのサーバにバックアップすることができる。ユーザーはこのフォルダのファイルにはDropboxの場合と同様、いついかなるときでもインターネット経由でアクセスできる(ただしクラウドサービスに伴うセキュリティー上の問題は発生する)。しかし、多くのユーザーはクラウドに保管してもかまわないファイルとファイアーウォールの内側に留めておきたい種類のファイルの双方を持っているだろうから、このオプションは有用だ。

AeroFSではこのサービスにはきわめて大きな市場が期待できるとしている。特に有望なのは膨大な機密データを組織内で正確に同期・保管する必要があるような医療、法務、金融、映画などの分野だ。

多くの著名な投資家がAeroFSを支援している。Y Combinatorのファウンダー、Paul Grahamは「われわれが後援した中でもっとも重要なスタートアップの一つだ」と語った。投資家には、ベンチャーキャピタリストのRon Conway、俳優で起業家のAshton Kutcher他、Andreessen-Horowitz、Ash Patel、Jerry Yang、Naval Ravikant、Chris Sacca、 Ace & Company、 Geoff Ralston、 Paul Buchheit、Maynard Webbなどが名前を連ねている。

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(翻訳:滑川海彦 @namekawa01 Google+