Androidタブレットの新しいチャンピオン登場―199ドルでAmazonからKindle Fire発表

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Androidタブレットのレースは終わった。新しいチャンピオンが誕生した。このプロダクトはめぐり合わせや巧妙なマーケティングで勝つのではない。価格も提供されるコンテンツも他の製品を寄せ付けない堂々たる実力での勝利だ―その名はKindle Fire!

Amazonは今日(米国時間9/28)、Kindle Fireを発表した。この製品が向こう何年にもわたってiPadより低価格のタブレット市場のリーダーとなることは疑いない。Amazonは賢明にもAppleの勝利の方程式をコピーした。タブレットはスペックの高さで売れるわけではない。AmazonはプレスイベントでFireのハードウェアについてはほんのとおりいっぺん触れただけだった。CEOのジェフ・ベゾスはステージでスティーブ・ジョブズに迫る堂々たるパフォーマンスをみせた。彼はFireが提供する数多くの機能を紹介し、この製品が世界が望んでいたiPadの代替製品だということを印象づけた。

FireはAndroid OSを採用しているが、それはユーザーからは直接見えない。AmazonはFireのために独自のUIを開発をAndroidOS(現在バージョンは不明)の上に載せている。これは正しい戦略だ。Android 2.xはそもそもタブレット向けのOSではない。熱心なAndroidファンでもこのOSはあくまでスマートフォンのプラットフォームであり、汎用的なコンピューティングには向いていないと認めている。Honeycombもさほどの差はなく、ハードウェアの要求仕様が一段と上がる。これはiPadを大幅に下回る価格で競争を仕掛けようとするAmazonにとっては容認しがたい。一方、Amazonには世界有数の能力を誇る巨大なサーバ群がある。

Amazonは自らのサーバを利用して事前にレンダリングを行い、ウェブ・コンテンツの表示の高速化を図っている。Kindle Fireをサポートするサーバ側システムは Amazon Silkと名づけられ、Fire上のブラウザが記録したユーザーの閲覧履歴に基づいて訪問が予測されるウェブサイトを事前にキャッシュする。これによってロード時間が大幅に短縮される。SilkはAmazonのElasticCompute Cloud(Amazon EC2)を利用してFlash動画、画像その他、容量の大きなコンテンツを処理しやすいサイズに圧縮する。こうした処理はデータがFireに送り込まれる前に済まされる。Amazonではこれによって「絹のような(silky)スムーズさ」が可能になるとしている。ユーザーがTechCrunchを頻繁に読んでいるとすれば、AmazonSilkのスマート・キャッシュ機能により、TechCrunchのページはより速くロードされるようになる。

FireはAmazonの膨大なサーバ能力をバックエンドとしたフロントエンド表示デバイスにすぎない。このバックエンド処理によってわずか199ドルのタブレットとは思えないような高速化が実現している。コンテンツによってはA5 CPUを搭載したiPad 2より速く思えるほどだ。

Amazon Fireは、市場の空白部分を適切に埋める製品だという点でiPod Touchに似ている。もちろんiPadはずっと強力なハードウェアを備え、機能もずっと多い。しかしFireは300ドルも安く、それでいてコンテンツ閲覧に関してはiPadに遜色ない。Fireは最良のAndroidタブレットでさえないだろう。しかしAmazonはハードウェアの平凡さをすばらしいUIで十分に補っている。消費者はiPad以外のタブレットには疑いの目を向けている。しかし500ドル以上というiPadの価格は一般的な消費者にとってやはり高すぎる。しかしAmazonの豊富なメディア・コンテンツを備えたFireが200ドルで手に入るとなれば、タブレットがニッチから一気にメインストリーム製品へと成長する可能性が十分にある。

Amazonはハードウェアの発売の前にメディア・サービスをローンチするという戦略でもAppleをコピーしている。昨年Amazonはビデオ・ストリーミング、MP3ダウンロード、クラウド・コンピューティングの分野に巨額の投資を行なった。今となればその理由がはっきり分かる。Amazon PrimeのInstant Videoがスムーズに作動することをデスクトップ上であらかじめ見せておけば、 消費者は同じサービスを提供するタブレットの購入に安心して踏み切るだろう。Amazonがすでに用意ずみの膨大なメディア・コンテンツに後押しされてFireは即座にAndroidタブレットのトップに躍り出るに違いない。一般消費者にとってFireはまさに理想的な「安いiPad」だ。

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(翻訳:滑川海彦 @namekawa01 Google+