銀の弾よりも鉛の弾–戦わずにすむ奇手妙手を探すなかれ

次の記事

Grouponの株が割引クーポンになった? 上場目前に時価総額大幅下落で爆笑パロディー登場

bullets

編集者注記: Ben HorowitzAndreessen Horowitzのパートナーで、前はOpswareの協同ファウンダでCEO、さらにその前はNetscapeの役員だった。


“Yet our best trained, best educated, best equipped, best prepared troops refuse to fight. As a matter of fact, it’s safe to say that they would rather switch than fight.”—Public Enemy, Fight the Power〔意訳: 能力でも装備でも最も優れた部隊が戦闘を拒否している。それどころか今は、戦うのではなく、ほかのことをすべき状況なのだ、と言って。

Netscapeで、プロダクトマネージャとしてWebサーバを担当していた初期のころ、たいへんな危機に直面したことがある。Microsoftの新製品であるWebサーバInternet Information Server(IIS)を入手して、自社の製品と比較してみた。IISにはうちの製品の機能がすべてあり、ベンチマークの結果では当社製品の5倍速く、そして無料で提供されるということだった。知らん振りできたかもしれないが、しかし当時のNetscapeは3か月前に公開企業になったばかりで、Wall Streetにはこう言っていた: “Microsoftのブラウザが無料でも、心配要りません。うちはサーバの売上が収益源ですから”。なんたること。

私はただちに、単なるサーバではなく、何らかの付加価値を売る方向に、転換しようとした。あの偉大なる故Mike Homerと私は、製品ラインを拡大するためのパートナーシップや買収案件で忙しく走り回った。それによって、多様な機能性でWebサーバ事業の底上げができ、Microsoftとの戦いで戦死を免れるはずだった。

そういう計画を技術者たちに熱心に説明していたとき、Bill Turpinが、お前は何も知らないガキだな、という目つきで私の顔を見た。BillはBorlandにいた人間だから、Microsoftとの戦闘の経歴が長い。私がやろうとしていることは理解したが、納得はしなかった。彼は言った: “きみとMikeは銀の弾(たま)(silver bullet,魔法のような特効薬)を探しているようだが、でも問題は、うちのWebサーバが5倍遅いことだ。それを治す銀の弾丸はない。むしろ、これから、大量の鉛の弾を使うべきだね”。

Billにそう言われたわれわれは、技術陣の主力をサーバの性能の向上に向け、そのほかのことはバックグラウンドで進めた。そして最終的にはMicrosoftの性能を上回ることができ、サーバ事業は$400M(4億ドル)の大台に乗った。それは、鉛の弾を使わなければ達成できなかっただろう。

そのときの教訓が、私の中で長年生き続けている。その6年後に、OpswareのCEOだったとき、最強の敵であるBladelogicが、大口の商談でわれわれを負かすことが多くなってきた。Opswareは公開企業だったから、損失もそのまま世間の目に触れる。Wall Streetの期待に応えるためには、大口商談で勝たなければならない。それは、たいへんなプレッシャーだった。当時の会社は頭の良い連中が多くて、戦いを避けるためのこんなアイデアを私に言ってきた:

  • “軽量製品を作ってローエンドをねらいましょう。”
  • “アーキテクチャがもっとシンプルな会社を買収しましょう。”
  • “サービスプロバイダをねらい撃ちしましょう。”

これらのアイデアは市場対策を云々しているが、でも問題の本質は市場ではなかった。顧客は買っている。うちの製品を買っていないだけだ。だから、方向転換は示唆されていない。そこで私は、同じことをみんなに言った: “これには銀の弾はないよ、鉛の弾しかないね”。彼らはそれを認めたがらなかったが、しかし事実は明白だった。製品を良くすること。それ以外の対策はありえない。逃げ出すための窓も、裏口も、隠れるための穴もない。正面のドアに体当たりして、それを封じているでっかい醜い男をやっつけるしかない。鉛の弾で。

9か月のハードワークと厳しいスケジュールをこなしたわれわれは、トップの座を奪い返し、時価総額$1.6B(16億ドル)の会社になることができた。鉛の弾を使わなければ、その1/10にも達しなかっただろう。

企業を見舞う危機の中でも、生きるか死ぬかという危機がいちばん怖い。あまりにも怖いから、社内の多くが、それを避けるために何でもやろうとする。別のやり方はないか、脱出方法はないか、なんとか無事に済ませるための口実はないか。投資を求めるスタートアップたちの売り込み文句にも、そんな態度が見え隠れする。たとえば、こんな会話だ:

起業家: “うちの製品は今の市場で圧倒的にベストです。どのお客さんも、X社のものよりうちの製品を好みます。”
: “でもX社の売上はきみのところの5倍だね?”
起業家: “うちはパートナーとOEMを使っています。うちはX社のような直売販路を作れないからです。”
: “製品がX社より良いのなら、堂々と直販で戦うべきではないかな?”
起業家: “うーん。”
: “銀の弾を追うのは、やめなさいよ。”

どんな企業にも、生きるために真っ正面から戦わなければならない時がやってくる。戦うべきときに逃げているなら、こう自問してみよう: “戦えば負けるような会社なら、この世に存在しなくてもよいのではないか?”

写真クレジット: Flickr/Richard Roberson

〔訳注: 原文のコメントには、Netscapeにおける筆者の同僚だった人(営業担当)からの反論がある。結局Netscapeは、衆知の通り、Microsoftとの戦いで、生き延びることができなかった。〕

[原文へ]
[jpTechCrunch最新記事サムネイル集]
[米TechCrunch最新記事サムネイル集]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))