Kindle Fireが使うのはどのAndroid? KF8とは? ―コンテンツ移植とアプリ開発のロードマップを探る

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編集部:この記事はMagnifyのCEO、Steve Rosnebaumによるゲスト寄稿。

Amazonが期待のKindle Fireを出荷するまであと数週間となった。予約第1陣の出荷は50万台といわれる。デベロッパー・コミュニティーではKindle Fireプラットフォームの開発ベースがどうなっているのか知ろうと躍起になっているが、まだ情報が乏しい。一つはっきりしているのは、Amazonが新フォーマットにHTML5とCSS3を採用した以上、今までのMobiは捨てられたという点だ。

今後は、新しく発表されたKindle Format 8(KF8)が既存のKindleとKindle Fireの両方に用いられることになる。Amazonはデベロッパーに対してKF8はここ数ヶ月のうちに、すべてのe-インクのKindleデバイスで利用可能になると告げた。これも重要な点だが、KF8は無料のKindleリーダー・アプリでも利用される。つまりKF8ベースのコンテンツがiPadでも表示できるわけだ。これは興味ふかい。

KF8はMobiに比べて画期的な機能強化がなされている。エンベッド・フォント、ドロップ・キャップ、行間、左右揃え、行端揃え、マージン、文字色、スタイル、枠など新しく追加されたフォーマットは150種類にも上る。

しかし、現在のところ、KF8フォーマットで開発作業ができるツールは存在しない。KindleGen2 Publisher ToolとKindle Previewer 2のリリースを待っている状態だ。それどころかKindleパブリッシング・ガイドラインさえ公開されていない。コンテンツ保有者の期待は膨らんでいるが、まだ実際には何も作業ができない状態だ。

Kindle Fireは後方互換性を確保している。ということは従来のMobiフォーマットで作成されたコンテンツはすべてそのままKindle Fireで表示できる。AmazonがKF8まわりのツールの公表をさほど急いでいない理由はそこにある。Kindle Fireは現状のままで表示するコンテンツに事欠かない。しかしFireのHTML5とCSS3の詳細な仕様がもう少し早く判明していたら、それを利用してもっとリッチなコンテンツが作成できのに、と残念がっているパブリッシャーも多いことだろう。

Kindle Previewer 2が利用可能になれば、パブリッシャーは従来のMobi版のタイトルをKF8フォーマットに移植してKindle Fireや新しいKindle無料アプリを始めとする各種デバイスでどのように表示されるかを確認することができる。

つまりKindleのコンテンツの世界では、ガイドラインと各種ツールが発表される時期はまだ分からないものの、新しいKF8ベースの世界への移行の道筋ははっきりしている。

しかしKindle Fireのアプリのデベロッパーにとって、ロードマップはそれほど簡単ではない。

Kindle FireがAndroidタブレットであることに間違いはない。FireのOSはAmazonの技術陣がカスタマイズしたAndroidだ(噂ではFrozen Yogurt 2.2あるいはGingerbread 2.3.4ベースという)。つまりスマートフォンOSベースのデバイスであり、最新のタブレット専用Android OSであるIce Cream Sandwichベースではない。

現在デベロッパーに分かっている事実は、デバイスのハード的なスペックと何がサポートされていないかだけだ。

基本的にはAndroid 2.3.4(Gingerbread) OS、7インチ・スクリーン、解像度1024 x 600のデバイスということになる。サポートされていない機能は、Google Mobile Services (GMS)、ジャイロ、カメラ、WAN、Bluetooth、マイク、GPS、micro-SDなどだ。なお、Kindle FireにはAdobe AIRがプレインストールされている。Amazonではデベロッパーに対して、Kindle Fireでのアプリの作動の可能性を高めるためにはIce Cream Sandwich APIのみを利用するよう勧めている(ICSはGingerbreadに対して後方互換性がある)。テストはどうしたらよいのか?Amazonは、Kindle Fireデバイス向けアプリのテストのために、デベロッパーは当面、標準のAndroidエミュレータを利用するように言っている。

どうやら現在AmazonはAmazon MarketplaceのAndroid marketplaceに登録されている全アプリがKindle Fireで作動するかどうかのテストに全力を上げているようだ。正常に作動するかどうか、それぞれのデベロッパーに通知されるようだ。もし作動しなければ修正を加えた上で再度Android Marketplaceへの登録を求められることになるのだろう。

Amazonが膨大なコンテンツを資源として自由にできることを考えれば、タブレット戦争が2012年の重要なトピックになることは間違いない。すでにJPMorganは「Fireの販売台数は2011年第4四半期で500万台に届く」とするレポートを発表している。現在のマーケット・リーダーであるiPadの販売台数は累計3200万台と報じられている。

Cult of Androidブログの記事には、ある極秘の情報源から提供された「Amazonの在庫管理システムのスクリーンショット」と称する画像が掲載されており、「発表後わずか5日間で25万4074台のKindle Fireが予約された。1時間あたり2000台、1日あたり5万台のペースだ」という。これが事実ならKindle Fireの最初の1月の販売台数はiPad、iPad 2の記録をしのぐことになりそうだ。

というわけでKindle十字軍の威勢はたいしたもののようだ。売れ行きは上々だ。KF8フォーマットはe-pub3の世界にも大きなインパクトを与えるだろう。Kindle Fireは新しい、巨大なアプリ市場をデベロッパーに提供する。ここには大きなビジネスチャンスの可能性もある。正確にどのAndroidが用いられているのか、いつ、どのようなデベロッパー・ツールとエミュレータが入手可能になるのか、そういった点が早くクリアになることを期待したい。

FireがAndroidタブレット市場を制するなら、Amazonは新しいポータブル・コンテンツ・デバイス市場における競争で勝ち残るための強力な武器を手に入れることになる。

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(翻訳:滑川海彦 @namekawa01 Google+