4大レコード会社の一角EMIが、ついに音楽の在庫カタログをデベロッパに公開

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音楽業界は長年、デジタル技術に対して、不可解な態度をとり続けてきた。それを、変化することへの抵抗と呼んでも、それほど的外れではないだろう。だから、われわれ音楽ファンは、音楽業界が、新しいテクノロジと流通メディアに対して、少しでも前向きの姿勢を見せたと聞くと、とても嬉しくなるのだ。ひとつの業界を、そうやって丸ごと非難するのは不公平かもしれないが、それが決して不公平ではないと言える業界がどこかに一つでもあるとすれば、それは大手レコード会社を措いてほかにない。

さて、その、’少しでも前向きの姿勢’とは、ビッグフォーの一翼であるEMIが殊勝にも、その音楽の宝庫の一部を公開する動きを見せていることだ。同社は、音楽情報集積サイトのThe Echo Nest(既存の大小の音楽アプリの多くが利用している)と提携して、同社の持ち曲数千と、ビデオなど音楽関連のコンテンツを、デベロッパたちが自分のアプリに利用するために提供する。

この件に関するEcho Nest側のプレスリリースによると、そのコラボレーションは、そういう形で音楽がデベロッパに公開される試みとしては、相当規模の大きいものである。すなわちデベロッパが、EMIのアーチストたちのためのクールなデジタル製品を作る場合には、必要なものがここ一箇所だけですべて揃うのだ。

これまで、レコード会社とデベロッパは、前向きの関係を築いてこなかった。むしろ、レコード会社は高額なライセンス料金でデベロッパを干上がらせ、彼らを十把一絡げで封じ込めてきた。EMIのすばらしいコンテンツの在庫は、サードパーティにとって簡単にはアクセスできないものであり、アクセスするためには往々にして、弁護士が登場する面倒な交渉や契約を要した。

今度のThe Echo Nestとの提携は、EMIがOpenEMI計画と呼ぶ事業の一環であり、それはデジタル革命に着目して、デジタルアプリに対する音楽のライセンス賦与過程を、デベロッパにとって柔軟性と適応性のあるものにする試みだ。つまり、デベロッパがこれまでのようにレコード会社との交渉や契約をいっさい要せずに、自由に自分の製品を市場に出せるようにする。こういう、まるで当たり前のようなことが、ようやく一社の事業として行われるようになったことを、われわれは、(こんな記事などわざわざ書いて)、まるで干天の慈雨のように喜ばなければならないのだ。音楽業界が、いかに特殊で古い世界であることか。

Echo NestとEMIは一種のサンドボックスのようなものを作り、そこからデベロッパに、EMIの約12000曲に対するアクセスを与える。総合カタログから提供されるのは、そのうちのわずか2000曲だが、ほかにアーチストたちが事前承諾した曲も提供される(Gorillaz、Pet Shop Boys、Professor Green、などなど)。提携の一環として決められている曲の標準料金の、60%をEMIが取り、残る40%をThe Echo Nestとデベロッパが分有する。Echo Nestによれば、デベロッパの取り分のほうが大きいそうだ。

この提携がどう実るのか実らないのか、それはまだ分からないが、デベロッパが合法的に、苦労せずに、巨大な音楽在庫にアクセスできること自体は、たいへんけっこうだ。まだそれがEMIだけなのは残念だが、それでも今後、承認曲数が増えていけば、デベロッパが使えるクリエイティブな素材が増えることになる。第二第三のSpotifyやPandoraは無理でも、これまでの完全な「無」に比べれば、断然、嬉しい展開だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))