シリコンバレーのわれわれは雇用を殺し, 富める者を肥大させているのか?

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[筆者: Adam Rodnitzky]
Occupy Jobs Sign

編集者注記: 本稿の筆者Adam Rodnitzkyは、複数の起業経験を持つ起業家で、Favo.rsの協同ファウンダだ。彼はサンフランシスコに住み、Twitterでは@rodtwitzkyでフォローできる。

Occupy Wall Street(ウォールストリートを占領せよ)運動の高まりとともに、抗議者たちが掲げる主張の多くが、ふつうのアメリカ人たちからも支持され始めている。中でもとくに、失業による中流階級の衰退と、所得格差の拡大は、2012年の大統領選挙の中心的な争点になった。

現時点では、ウォールストリートと大企業がもっぱら非難されているが、でもこの苦境を招いた責任が特定の一二の階層や業界にあるわけではない。実際にはわれわれ全員に責任がある。ここシリコンバレーにいる者も含めて。

よく考えてみよう。テク企業の製品の多くは、スケールと効率を提供することによって成功している。言い換えるとそれは、より少ないもの(less)でより多くのもの(more)を作り出す能力だ。そしてこの場合の”more–より多いもの”とは富であり、”less–より少ないもの”は経費、とくに高価な人件費だ。企業はテクノロジ製品の導入により、より少ない人件費でより多くの富を生成している。だから、シリコンバレーの企業の提供物を単純化していえば、労働力の代わりになるもの、だ。そのため短期的には、テクノロジは社会構造を腐食し富を集中させるジョブキラーとして、さまざまな形の不幸を招来している。

Josh Kopelmanが彼の優れたブログ記事で、テクノロジを活用して成功している今日の小売企業やサービス企業の、成功の要因を説明している。それを簡単に言うと、既存企業が高価格でものを売っているとき、その市場に新規参入した者は、より良い製品をより安く売ることによって業界の地図を塗り替え、既存企業を縮小させる。

これまで、ビデオのレンタル、書籍、音楽CDなど、ありとあらゆる消費財で、この筋書きが何百回となく繰り返されている。そして、物理店舗の消滅とともに、ここ数年で何万もの職が失われている。そしてそれらの業界が稼いできた富は、今ではごく少数の人たちに再配分されている。この現象をなんと呼ぶか? そう、失業と所得格差の拡大だ。

しかし、今苦しんでいるのは、かつての物理店舗の店員たちだけではない。この数十年、破壊は企業内の職階にも生じ始めている。企業にとって、いちばん調整しやすい変動費は何か? 人件費だ。とくに、管理職の人件費が高いときには、彼らを縮小または排除すれば相当なコスト削減が実現する。

これまで、自動化とアウトソーシングの冷たい手に触(さわ)られなかった聖域のような職域は、ほとんどない。そして、労働市場のグローバル化とソフトウェアによる自動化の恩恵を拒否してきた経営者は、企業競争に敗れ去る。もうすぐ、弁護士〜法律事務所もWeb化する。仮想弁護士だ。マーケターも会計士も、リモート化し自動化される。こうやって人件費が減ることは、人件費ぶんの富が余ることであり、それが企業のオーナーや経営者のふところを肥やす。その結果は何か? 随富隋貧。そう、失業と所得格差の拡大だ。

ここで、われわれは自問しなければならない。われわれは実は、悪の軍団なのか? それが、潔白を装い、頭のおかしい冒険家のふりをしているだけなのか? 何十万もの人びとの職を奪い、社会の安定を損なうようなテクノロジの開発を、われわれはそろそろ止(や)めるべきなのか? 答は明確に、ノーそしてノーだ。

われわれが大企業の人減らしに貢献するようなテクノロジの開発を続けているとき、しかしそれによって同時に、小さな企業で仕事と富を作り出す新たな機会が生まれている。古い世界で何かがクリエイティブに破壊されたことによって生じた格差は、これらの新しい仕事によって埋め合わせられることが多い。

一例を挙げると、伝統的な小売業界は大規模なオンライン小売企業によって破壊されたが、今では、個人または個人に毛が生えた程度のミニミニ商業者たちのニューウェーブによって、再び破壊されようとしている。AirBnBEtsyHiGearFoodzieなどなどのサービスは、この新しい、ピアツーピア小売革命が起きる場を提供している。そしてそれによって、これまでナショナルブランドの手中にあった小売やサービス業の業態が、個人と地域商業者の手に移行しようとしている。今後この傾向は、ますます本格化していく。こういう新しいマーケットが育つことによって、個人が新たに会社を作り、そしてその会社の成長とともに、新しい雇用が作られ、富は再配分される。

アウトソーシングと自動化によって人減らしに成功した大企業は、それと同じ効率増強ツールに容易にアクセスできる小企業からの手強い競争に、今後ますます直面しなければならない。ローコストでマーケティングを自動化できる高度なCRMシステム(LoopFuseなど)は、これまで小さいことが不利だった小企業が、大企業と互角に戦うために利用できる。こうして活気を取り戻した小企業や地域企業には、新しい雇用が生まれ、富が再配分される。

そしてそれが、現在起きている事態の肯定的側面だ。自動化とアウトソーシングによって追い出された仕事人間が、今度は自分自身を、自動化されたマーケットプレースへとアウトソーシングできる。それぞれ専門的な能力を持つ多くの仕事人間たちは、独立した知識労働者として自分の新しいホーム球場を見つけ、進化した一般参加型(crowdsourcing)のマーケットプレース(oDeskTradaなど)を介して、大量の小企業に接続する。そしてこれもまた、雇用と、富のより多くの手への再配布を作り出す。〔訳注: 原文は分かりづらいかもしれないが、消費者相手の職種や商売も、企業相手のそれらも、今では個人〜小規模レベルでインターネット上で展開できる、ということ。〕

だから、おそらくわれわれは、悪の軍団ではない。シリコンバレーでわれわれが作り出しているテクノロジは、止(や)めることも避けることもできない。われわれが止めれば、ほかの誰かがやる。それらは破壊的であると同時に産業や市場の構造を変える。使わない者は競争に負ける。しかし、もっとも重要なのは、われわれが作り出すテクノロジが本質的に民主的であることだ。これらの効率増強ツールを大企業にだけ結びつけるベルベット製のロープは、存在しない。

短期的にはわれわれは、雇用を殺し、富を集中させているかもしれない。しかし長期的にはわれわれは、今の多くの失業者や超低賃金労働者たちが自分の未来をつかみ、富を再び自分の手に取り戻すためのツールを、作っているのだ。これらニュータイプの企業や業態は、管理職が要らないからどれもスリムだが、しかし社員が必要であることは、変わらないはずだ。

ここから見える未来は、新たな、メインストリート(Main Street)*を占領せよ運動だ。それに、シリコンバレーのあなたの友だちが、武器を提供する。〔*: Main Street, 保守的な旧守勢力, 大企業等が握っていた各分野のこれまでの主部。〕

写真クレジット: Bob Jagendorf/Getty

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))