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なぜSalesforceは市場規模$6Bの人材管理ソフトウェアの市場に参入したいのか

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昨日(米国時間12/15)Salesforceは、ソーシャルパフォーマンスプラットホームRypple買収を発表し、人的資本管理(社員と人材を管理するソフトウェア)の市場に参入する、そのために新製品Successforceを立ち上げる、と声明した。Salesforceにとって、新しい分野での新製品の発表と、それによる新市場への進出は、大きな決断だ。しかも、最近SAPが人材管理ソフトウェアの大手SuccessFactorsを34億ドルで買収したことと併せて考察すると、今後はさらにおもしろい展開がありそうだ。

本誌は、Salesforceからの出向でSuccessforceを担当する専務級副社長John Wookeyと、RyppleのCEOでファウンダのDaniel Debowに、今回の買収の意味についてインタビューした。なおWookeyは、Salesforceの前にはSAPとOracleに在籍した

最初に復習をすこし。Ryppleはソーシャルパフォーマンス管理のためのプラットホームで、管理職や一般社員のパフォーマンス向上を支援する。で、何をやるのかというと、それまで会社が行ってきたパフォーマンスリビュー(社員の能力/業績評価)を、もっとソーシャルでコラボレーション的なやり方に変えるのだ。Ryppleはそれをゲーム的にやるので、”企業のためのZynga”と呼ばれている。管理職たちはRyppleを使ってプロジェクトを追尾し、チームを指導し、優秀なスタッフをほかの社員に…Ryppleそのものの上で…分かる形で誉め讃えたりする。

企業が使う重要なアプリケーションをゲーム化しているRyppleには、たとえば、ごほうびとして与えられる”バッジ”がある。Ryppleはあくまでもプラットホームだから、バッジが何を意味し、何を表すかはユーザ企業が決める。また社員たちは、まるでMMORPGの仮想世界でキャラクターを育てていくときのように、自分の”獲得スキル”を増やしていく。ユーザ企業の中には、Facebook、Spotify、Gilt Groupeなどの有名どころも多い。

Wookeyの説明によると、市場規模(年商)60億ドルと言われる人的資本管理ソフトウェアの市場に入っていくことは、Salesforceにとってあくまでも、同社の目標である”企業をもっともっとソーシャルにすること”の一環である。”企業のソーシャル化には最近関心が集まるようになったが、しかしそのための社内環境の整備が遅れている。そして社内環境の整備は、何よりもまず、社員と人材から着手すべきものである”。”人的資本管理という堅苦しい言葉は忘れてもよい。忘れてならないのは、企業のソーシャル化のためには効果的な人材管理が欠かせないことだ。社員の能力がソーシャルに管理され、向上していくこと、それが企業のソーシャル化を推進するための、重要な基盤にもなる”。

上述のように、人材管理にソーシャルなアクションを持ち込むことにかけては、Ryppleが一歩も二歩も進んでいる。Debowによれば、近年、ソーシャル機能の導入によって企業の仕事のやり方は変わっても、人の管理はまったく変わっていない。うちより大きいSuccessFactorsも、そんな企業からは、ビジネスの諸形式を自動化する古いタイプの能力ソフトウェアと誤解され、無視されている。しかし重要なのは、形式ではなく人の行動を変えることだ。

“Ryppleは、各人のパフォーマンスを向上させるような行動を、よりパワーアップする”、とDebowは言う。指導、目標設定、評価などの各局面でRyppleは、”人びとが日常生活の中でやっているソーシャルなアクションの多くを真似することによって、パフォーマンスの向上を導く”。たとえばSpotifyにおける目標設定の場合には、’social goals 2.0’という新しい製品を使って、ビジネスを前進させるためにはさまざまな目的とそれらの結果をどのように利用すべきかを、社員に評価させた。目標と、それを構成する目的群、それらを社員自身が作り出し、ほかの人たちのコメントを求め、そしてその後、その目的にコミットしていく。このように、一連の進行がソーシャルなアクションの連鎖として行われた。

“実際にはうちは、Facebookのようなソーシャル化の進んだ企業と一緒に製品を作っている”、とDebowは言う。

Wookeyによれば、Salesforceが人的資本管理への参入を検討していたとき、いくつかの競合他社候補を調べたところ、社員たちが楽しく使えない製品が多いことに気づいた。そこで、ここにもソーシャルを持ち込めば市場をより大きくできると判断した。”たとえば、人をほめたり、ごほうびをあげたりという、社員・人材管理の重要な要素は、ソーシャルなアクションとの自然なシナジーがある。そのほか、学習システムや社員のキャリアパス(有意義で効果的な異動)の支援、個人の才能の育成支援など、あらゆる局面に、ソーシャルなアクションとの良い相性がある”。

Salesforceは、Successforceを立ち上げてそこにRyppleを全面的に統合しなければならないが、それと同時に、ChatterやSales CloudなどSalesforceの既存の製品にも、Ryppleの機能の導入が必要だ。Debowによれば、ChatterやCRMにRyppleの機能が統合されることによって、タスクの完成度を追尾できるようになり、その過程や結果をSuccessforceの側で記録したり利用することができる。

Salesforceにとって今回の買収は、Radian6を3億2600万ドルで買収したときのような巨額ではないが、買収を新規ビジネスとして確立するために投じられたそのほかのリソース(人、組織)の規模は大きい。WookeyとDebowへのインタビューから感じられるのは、Salesforceが人的資本管理を、新たな製品および収益源として本気で重視していることだ(収益に関してはWookeyは楽観的だが)。

しかしWookeyの、市場規模60億ドルという推計が正しければ、それはSalesforceの新たな、そして大きな成長源にもなるはずだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))