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ビデオは新しいソフトウェアなのか?

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編集部注:ゲストライターのAshkan Karbasfrooshanは、WatchMojoのファウンダー・CEO。Twitterアカウントは@ashkan

ベンチャーキャピタリストのMark Suster(TechCrunch寄稿者)が、個人ブログで彼の投資先企業の一つであるMaker Studiosに関する記事を公開している。The Collective Fullscreenと同じ分野だ。

Markは明確に自らの出資を正当化していて、その理由づけも理解できる。しかし、記事中の次の一文が果たして彼のテクノロジー愛好家仲間たちを少しでも変えられるものなのか、私には疑問だ。

このブログの読者なら、私がテレビの崩壊はすでに始まっていて、それがわれわれのリビングルームに長大なコンテンツをストリーミングすることより、インターネットのコンテンツに似てくると信じていることをご存じだろう。このモデルについて何人かのシリコンバレーの友人に話したところ、反応はいつも同じだった。「コンテンツビジネスには投資しない ― あれは『ヒット主導』だから」。

私はこの皮肉に笑わざるを得なかった。第一に、消費者主導であるスタートアップの世界は著しくヒット主導になってきている。そこにはスター起業家とそれを取り巻く強力なスターエンジェル投資家、そしてこの群がるハイテク鑑定家たちのインサイダーたる、熱烈ジャーナリストによる山ほどの報道を呼ぶベンチャーキャピタリストたちが必要だ。そして同時にこれは、そのコンテンツが面白味のないものになった、という意味でもある。しかし、インターネット上でプロデュースすることによって、シリコンバレー企業がソフトウェアの初期バージョンをテストするのと同じやり方でコンテンツをテストできる。

視聴者からフィードバックを得て、それに適合されることができる。配信するコンテンツの全バージョンを受け取る定期購読者を作ることもできる。自社の営業チームを作る前に、Google広告によって十分な収益を上げられる。

彼は、ビデオコンテンツは究極の「リーンなスタートアップ」であると結論を下している。彼は半分正しい。

オンラインの「テレビ」を作ろうとするな、それはうまく行かない

初期のビデオスタートアップの多くは、リーンに程遠かった。Ripe Entertainmentは4500万ドル、Next New Networksは2500万ドルを使ってからYouTubeに買収された。ちなみにMakerは、Next New Networksが最終的にやったことを再現しようとしている。有望なYouTubeチャンネルを見つけて、それを取り巻くネットワークを構築することだ。これは確かに賢いモデルだが、主たる制約はそれを支えるチャンネルやプロデューサーが他へ乗り替えてしまうかもしれないことだ。もう一つの経済的限界は、基本的にYouTubeの経済面の恩恵に預かっていることだが、時間と共に流通を多様化しさらにはYouTubeの軍資金を活用することも可能だ。何しろYouTubeは1億から2.5億ドルをコンテンツに注ぎ込んでいる。

コンテンツと流通は切り離せない

いずれにせよ私は、ウェブの基準からみれば、オンラインビデオコンテンツの世界の恐竜である。2006年以来ビデオを制作し、コンツンツが王様であると主張し、しかし流通がなければコンテンツは何の役にも立たないことを認めている。実際、価値あるビジネスへと成長した主な企業は流通会社である。しかし、1社成功させるためには100社に投資しなければならなかった、という事実は残る。私に言わせれば、そこに資金を配分できる理屈はないし、Markも同意すると思う。

現実を認めよう。VCは「揃いも揃って」ダメである

事実、2011年6月までの10年間についてPeter Cohanがこう書いている。「VCは、長年苦しむ投資家たちのために、平均1.3%の利益を上げた。ダウの工業株平均(4.2%)、Nasdaq(2.5%)、S&P 500(2.7%)などのリターンと比べても、この履歴データは新たな投資を呼び込む良い兆候ではない」。
VCが冒すリスクやリスクが大きいほど期待するリターンも大きいという事実を考えると、これは狂気の沙汰である。唯一VCに期待できるとすれば、それは同じ行動から異なる結果を期待するという彼らの異常性かもしれない。

コンテンツを徹底的に避けている

オンラインビデオに注目すると、今VCたちが広告ネットワークに資金を注ぎ込んでいることがわかる。確かに2011年には広告ネットワークが市場シェアを奪い、それなりの収益を上げた。しかし、レースに残っている馬は数あれど、5年先に存在し、さらには重要な位置にいるのはせいぜい1、2社だろう。同じことはアグリゲーターにも起きた。YouTubeが栄冠を勝ち取り、5、6、7年目を迎えるどのYouTubeクローンにも換金の兆しはない。そしてもし彼らが多少なりとも投資家を安心させるとしても、それはホームランというよりはフォアボールに近いだろう。

言いたいことはこれだけ、コンテンツにチャンスを・・・

私は、あらゆるコンテンツ会社に流通会社と対等以上に戦えと言うつもりはない。流通会社の方が規模拡大に向いているのは明らかだ。しかし実際には、YouTubeの恐るべきプラットフォームのおかげで、今日のコンテンツビジネスを成長させるのに必要な資金はずっと少なくて済む。毎年さまざまな流通経路が出現し(Google、MySpace、StumbleUpon、Digg、Twitter、Facebook)、その一部しか価値を維持できていない結果、流通全般がコモディティー化する一方で、コンテンツはよりスケーラブルで守りに強くなってきている。

しかも、コンテンツは新たなソフトウェアになった。即ち限界生産費も流通コストもゼロだ。安価なハードウェアとソフトウェアのオープンソース化によって、テクノロジーがおよそ守備的ではなくなった今、果たしてVCたちは活気付いてMarkに導きに従うのであろうか。

写真提供:Karl Baron 

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(翻訳:Nob Takahashi)