Samsungが次のAppleだと言えるのはなぜか

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ぼくが見てきたCESのこの10年は、どのプレゼンテーションも、どのブースも、目標は一つだった: 何かのエコシステムを作って、消費者をそこに閉じこめること。そして、毎年必ず出てくるプレゼンテーションが、携帯電話が冷蔵庫に接続し、その冷蔵庫がテレビに接続する、という家庭内機器ネットワーキングだ。毎年、それらは失敗した。

これまでは。

今年Samsungと、ほかのベンダたちもある程度まで、ついに成功への鍵を見つけた。過去数年間彼らはもっぱら、Appleがメディアの共有とリモートコントロールを中心に、それらのまわりをぐるぐる走っている様子を、見つめてきた。Appleのシステムは当然ながらiPod/iTunes/iPad/Macに限定されるが、白物家電とモバイルの両方に強いSamsungは、そのすべてを視野に入れられる。

ではまず、数字をいくつか。

Samsungは6年連続でテレビのトップメーカー、11月には1秒に2台テレビを売った。Samsungがスマートテレビと呼ぶ機種は少数派だが、しかし2012年の新機種は、セットトップボックスのない、いわゆるboxlessの対話的テレビ(interactive television)だ。そのことに、意味がある。まずそれは、GoogleとAppleを急に後方集団に置いてしまう。1秒にテレビが2台というペースは、Google TVがどう頑張っても併走できないし、もっと重要なのは、Apple出し抜いて、消費者のリビングルームというゴールに先にまんまと到着してしまったことだ。

しかも、携帯電話でもSamsungは圧倒的にトップだ。Samsungは大衆品普及品専門だとけなしても、それは痩せ犬の遠吠え。2011年に6000万台の携帯電話を売ったことは、その年だけの特異現象ではない。もはやそれは、AndroidかiOSかWindows Phoneかというレベルの話ではなく、Samsungが何千万台もの電話をそれだけの人間に売っている、という企業的事実だ。Samsungは傭兵だから、中にどんなOSが入っていようと、それが携帯電話として消費者に売れればそれだけで満足だ。

形容詞の最上級が二つもある。携帯電話のメーカーとして最大(biggest)、そしてテレビのメーカーとしても最大(biggest)だ。これにタブレットや洗濯機やまあまあの品質のソフトウェアなどを加えると、活気あふれるエコシステムができあがる。来年各社がストリーミングメディアを家庭に持ち込もうと多大な努力をしているころには、その前からすでにそこにいたやつが勝ってしまう。

iPod以前には、MP3プレーヤーの市場には小粒な選手たちがたくさんいたが、誰も断トツにはなれなかった。無視してよいほど、失敗してもよいほど、ささやかな市場だと思われていた。しかし今あるのは、次世代のテレビだ。第四世代のSamsung Smart TVの真価を人びとが理解し始めると、そのほかのメジャー選手たちの製品がそれまですべてお粗末だったことも相まって、毎年のアップグレードでパワーや機能を増す進化するテレビに、数百ドル投じても惜しくない、と思うようになる。

これらの新型機はしかし、あくまでも”消費者電子製品”だから、古くなったからアップグレードしよう、と考える人は少ない。企業の倒産への過程と、消費者のテレビの買い方は似ている…初めはゆるゆる、最後は突然だ。テレビは今あるので十分、子どもたちがTangledをHDで見たいと言い出すまでは、友だちの家でGrey’s Anatomy: The Musicalを3Dで見るまでは。だからこそAppleはテレビを絶対に作らなかった。一般消費者に、テレビを毎年新調させるなんて、不可能だもの。

しかしSamsungの成功は、今後確実とは言えない。だいたいイノベーションの激しい世界では、先行はむしろ不利だ。たとえばAppleのチームが本気で”本物の”Appleテレビ(Retinaディスプレイ、コーヒーメーカー内蔵、香り発生装置内蔵)を出してきたら、これまでのすべてのSamsungの努力は、お姫様の入場を先導する槍持ち兵士の役でしかなくなる。しかしもしも、Samsungの携帯電話がSamsung Smart TVやSamsung熱帯魚用水槽ポンプなどと対話できるなら、うちは何でもSamsungで揃えようという消費者が増えてもおかしくない。

Appleも総合消費者メーカーになるべく努力はしているが、しかしそれは、良く言って難しく、悪く言えばお殿様の趣味に過ぎない。対してSamsungは、かんじんのテレビを作っているし、元々、何でも作っている。ディスプレイもプリント基板もケースさえも。Appleは逆に、何もかもアウトソースしているから、価格競争力が弱い。しかも、パネルはSamsungから買っている。

Appleは、そのほかの消費者電子製品メーカーには勝てるか? それはもちろん勝てるし、過去にも勝ってきた。しかしSamsungとSonyとLG今後長期間、1秒に2台テレビを売っていくだろう。Appleがそれに追いつくのは、たいへんだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))