Facebookが投資家にとってビッグな“金のなる木"である5つの理由

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Facebookは今週中にも、テクノロジ業界/産業における史上最大のIPOを申請する、と言われている。ではなぜ、Facebookにそれだけ膨大な貨幣価値があるのだろう? それは、きわめてまっとうな製品と、(非常に多数のデベロッパが乗れる)プラットホームと、独自の広告ビジネスを作り、またそれらの基盤として、優れた人材と価値あるデータを蓄積してきたからだ。今の同社にはいくつかの競争上の有利性があり、それらが同社に鉄壁の保護を提供し、オンラインのアイデンティティ(identity, 本人性)プロバイダーのトップ企業としての今後の長寿を保証している。目先のIPO云々よりもむしろ、投資家たちにとってFacebookがなぜ長期的にも賢明な投資先であるのか、その大きな理由を5つ、以下に述べよう。

ネットワーク効果

今からFacebook以外のものを、インターネット上のメインのソーシャルネットワークにすることは、不可能に近い。今ではFacebookのアカウントを持っていること、イコール、インターネット上のまともな市民である(すなわちFacebookは認証された本人性を提供する)、という認識が一般的にあるため、誰もがFacebookの会員になろうとする。FacebookはMyspaceやFriendsterのような、自分より一世代前の、ユーザが誰であってもよいサービスに、本人性というきわめて貴重なものを加えた。それよりもさらに貴重なものを加えてFacebookを上回るサービスを作ることは、これまた不可能に近いだろう。

Facebookの巧妙な分散戦略は、David Kirkpatrickの‘The Facebook Effect’に詳しく書かれている(邦訳)。Facebookはそれにより、その付加価値を増大させ、地球上の隅々にまで広がった。そのあとは、ネットワーク効果がそれ自身で動いていき、Facebookは大きくなればなるほど新規ユーザにとってより価値があり魅力あるものとなる。だからまたまた、なお一層、大きくなっていく。ネットワーク効果とは、いわば、大が大を呼ぶ無限再帰関数だ。

そして今や、ある種の慣性が働いている。ユーザは、Facebook上で自分のプロフィールやウォールや関心グラフや、さらにもっと重要なソーシャルグラフを作ることに、相当な時間を投資している。Facebookは多様なユースケース(use cases,利用事例)に柔軟に対応し、ユーザ個人のフレンド(友だち)はある種の臨界質量にまで達しているから、競合するソーシャルネットワークは単純に‘良い’だけではもはや勝負にならない。ユーザをFacebookから引き離すためには、何か抜本的に新しいものを提供しなければならない。しかし今のFacebookは、ネットワーク効果という大が大を呼ぶ無限再帰により競争から絶縁されているので、投資家たちにとって安全な長期的投資対象なのだ。

ニューズフィードのEdgeRankアルゴリズム

過去5年間、Facebookは大量のデータを集積し、そのEdgeRankアルゴリズムを改良してきた。それは、ユーザの友だちが共有し、共有の結果としてそのユーザのニューズフィードに現れるコンテンツとその順位を、決めるためのアルゴリズムだ。Like(おすすめ)やコメント、共有の状況などを見て、そのユーザにもっともふさわしいコンテンツを判断するのだが、結果的にFacebookは、コンテンツキュレーション(curation, 校閲・編成)を自動化するアルゴリズムとして世界最良のものを開発したのではないか。ニューズフィードは、Web上で最大の写真データベースや友だちのタグも利用して、ヴァイラル(viral, 口コミ的広がり)性を高める。

既存データのあまりない新規ユーザに関しても、Facebookはその人の関心対象を予測できる。また年季の入ったベテランユーザなら、ニューズフィードはつねに、その人にもっともふさわしいコンテンツを上位に並べる。そうやってEdgeRankアルゴリズムは、人が夢中になってのめり込むようなコンテンツを作りだし、とても長い滞留時間と高い再訪率、そしてエンゲージメント(engagement, 関わり・参加性)の深さを獲得する。仮にTwitterやGoogle+がFacebookの全コンテンツを持っていたとしても、これだけ、各個人にふさわしいフィードを作りだすアルゴリズムの開発には、相当な年数を要するだろう。

人材

Mark Zuckerbergはつねに未来を見ている。彼の製品ビジョンによりFacebookが次々と発表する新機能は、人がFacebookの中で成長していけるものになっている…成長のためにFacebookを去る、のではなくて。Zuckerbergは先進的なアイデアを内製し、また よそで実らなかった優れたアイデアを買収などにより取り入れてきた。彼のそういう前進する力により、Facebookは日に日に新しく生まれ変わっている。だから、立ち上げから8年経つ今も、古びることなく、その魅力とフレッシュさを失わないのだ。

人と人の相互接続、そしてオープンであること、この二つのものが世界を良くすると信ずるZuckは、ほかの優れた人びとから見ても魅力だ。だからFacebookは、多くの優れた人材を引き寄せる。COO Sheryl Sandbergの効率性が会社の利益を増大し、また、実験を奨励する彼女の意思により、広告の革命が今も続いている(ユーザの行動に基づくターゲティング(behavioral targeting)、ソーシャルコンテンツ入り広告(social content-infused ads)、など)。製品担当VPの Chris Coxは、Facebookのソーシャルデザイン運動を指揮し、Facebookとサードパーティ製品が共に、Facebookのデータとコミュニティを最初から自由に利用できるようにした。

この会社は世界を変えるかもしれない、という予感、そしてFacebookの簡素で、楽しいことを好む企業文化が、多くの優秀な技術者たち、製品デザイナー、そして有能なビジネスパーソンたちを引き寄せた。Googleのような、製品の過剰と社内の官僚主義に侵された企業から、Facebookに移った人も多い。また、革新的なスタートアップの買収にも、積極的だ。Paul BucheitやBrett TaylorがいたFriendFeed、Blake RossのParakey、Sam LessinのDrop.io、Josh WilliamsのGowalla、などなど。こういう、ロックスター級の製品デザイナーやエグゼクティブたちの力や影響によって、Facebook内部のイノベーションの流れも、停滞することなく流れ続けるのだ。

IPOはFacebookに、さらに大きな買収資金を与えるだろう。そしてもちろん、既存の優秀な人材たちに彼らにふさわしい流動化(換金化)の機会を与える。株を換金して去ることは、いつでもできたはずだが、しかし(IPOでは)わずかな株を売るだけでライフスタイルの向上ができるのだから、それはむしろ、Facebookにとどまる大きな動機になるだろう。

アプリとゲームのプラットホーム

Facebookが作ったゲームのためのプラットホームは、ヴァイラル(viral, 口コミ的)に人気が広まることが実証された。既存の大きなヴァイラルチャネルの一部はその恩恵に浴さなかったが、Facebook上の自然な成長の機会は残り、またオンサイトのゲーム広告はZyngaのような企業への投資に大きなリターンをもたらした。Facebookはデベロッパたちの大きなコミュニティを育て、彼らが参加性の高いアプリやコンテンツでFacebookを満たすことにより、彼ら自身も収益を得ている。この、Facebook上のゲームデベロッパの巨大コミュニティは、すでにFacebookにすっかり根付いたものになっており、一晩で簡単に消えるようなものではない。

Facebook上のゲームは、何かを構築する終わりのないシミュレーションや、ひまつぶし的なパズルが多く、ユーザの滞留時間が長い。そのため、友だちに見せびらかすための買い物などをする機会も多く、また買い物をするとさらにゲームに深入りしてしまう。そういう人がゲームに費やす時間は、ふつうのプレイヤーよりもすさまじく長いので、whale(鯨)と呼ばれる。それは、ご存じのように、一度潜ると長時間水面に上がってこない動物である。モバイルはAppleやGoogleにとって儲かるプラットホームになりつつあるが、Facebookはまだそれほど深入りしていない。しかしモバイル上のFacebookアプリのインストール数はすでに膨大だから、今すぐにでも何かを始められる。

デベロッパたちに最初は成長の機会を無料で与え、投資によってコントロール下に置き、仮想通貨Facebook Creditを介して30%のピンハネをする。このやり方でFacebookは、そのゲームプラットホームを安定的な金作りマシンに変えてしまった。今一部のデベロッパは、デジタルメディアの販売とレンタルや、ペイパービュー方式を実験したり、仮想通貨による一般小売企業の販促などの実験をやっている。つまり、Facebook上で、ゲーム以外の収益化の方法を模索しているのだ。

ターゲティング広告/広告のターゲティング

ターゲティングとは、ターゲットによって広告を適切に変えることだ。そのためのパラメータは、年齢、性別、居住地、出身地、職業〜勤務先、友だち、関心、それに今や、アプリ内のアクティビティやeコマースにおける閲覧〜購買アクションなど、非常に細かくなっている。つまりFacebookが行うターゲティング広告は、今後ますます、ターゲティングの精度も広告効果も高くなるだろう。地域のお店などが広告を自分自身で出稿するためのセルフサービスツール、また大企業が広告出稿を依存する広告代理店、どちらも有料アカウントとしてFacebookの収益源になり、またこれにより、Facebookが提供する広告ソリューションは、地域企業と国際的な企業やブランドの双方にとって効果的だ。

Facebookは、ターゲティング広告にソーシャルコンテンツを混ぜ込むクリエティビティを組み合わせて、人の目をつかむ広告を開発した。その広告の上にあるのは、たとえば、そのブランドを“おすすめ”している友だちの名前や顔だ。また、スポンサー付き記事(Sponsored Stories)というコンテンツでは、その友だちの“おすすめ”、アプリの使い方、チェックインなどがそのまま広告になる。広告主たちにとっては、こういうソーシャルな要素のある広告が従来の無味乾燥なディスプレイ広告よりも人気があり、また、せいぜいクッキーやキーワードを使う程度の、検索におけるターゲティング広告よりも、高い評価を得つつある。

Facebookが広告を収益源とし始めたのはごく最近だ。主に広告用のスペースであるサイドバーは、ずっと小さく邪魔にならないものに保たれていた。しかし今のFacebookは、広告をWebバージョンのニューズフィードに混ぜ込んでいる。つまりユーザの誰もが見る日常的なソーシャルコンテンツの上に、今や広告がある。モバイル上のFacebookユーザは1日あたり数億のオーダーに達しているが、広告はまだでもスポンサー付き記事はもうすぐモバイルにも出現する。将来同社は独自の広告ネットワークを作って、Facebook上のソーシャルなターゲティング広告により、ほかのサイトの広告も…もちろん有料で…できるようにするかもしれない。

〔訳注:この記事中の“Facebookは賢明で安全な長期的投資対象である”といった記述に関し、米TechCrunchとTechCrunch Japanは保証責任を有しません。投資はあくまでも、自己責任にてお願いします!〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))