スタートアップが「Linux」から学ぶこととは何か(via Facebookのハッカー文化)

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Image (1) tux.jpg for post 194399Linuxというのは、世界最大規模の共同開発プロジェクトだと言って良いだろう。世界中の人がLinuxのカーネルコードに手を加え、メインフレームから腕時計までさまざまな場所で動作している。Linuxや、あるいはフリーソフトウェアの開発プロジェクト全般から、プロジェクトを成功に導くのに必要な条件というものを学ぶこともできるのではなかろうか。スタートアップがLinuxの歴史から何かを学ぶとすれば、とくに何に注目すべきだろうか。

Linuxの歴史がまず教えてくれるのは、共同開発というスタイルがイノベーションの速度を大幅に上げたということだ。Linus Torvaldsが独力でLinuxを開発していたのなら、今日の成功を掴み取ることはなかったはずだ。Linuxが成し遂げた数多くの成功は、プロジェクトに参加した各人がそれぞれに気になるところに対処を施し、そしてそれをLinuxにフィードバックしたからに他ならない。自分の手に負える小さな(かと言ってあまりに微細な部分ではない)問題に注力することによって、Linuxを強力なものとして育てていったのだ。

もちろん、スタートアップ企業はプロジェクトをすべてオープンにして運営していくべきだなどということを意味するのではない。しかし既存のフリーソフトウェアをオープンに利用することで、車輪の再発見を行うような無駄を省くことができたという事実には注目しておきたい。世界中の優秀な人々が作業に加わることで、イノベーションの種を多く生み出すことができたのだ。スタートアップとしても、こうした振る舞いのメリットについては十分意識しておくべきだろう。

もちろんスタートアップ時期には、「独自のプロダクト」(secret sauce)に全力投入をするべきではある。しかし同時にフリーソフトウェア・エコシステムのようなものに参加することも可能なのだ。たとえばLinuxの内部に取り込まれているApacheやMongoDBなどにちょっとした改良を加えることができたとしても、そこで優位性を保持して市場に打って出るのは難しい話だ。すぐに他社が追随することとなる。そうであれば、そうした派生的成果については、コミュニティ全体の利益のために公開してしまうというのもひとつのやり方なのだ(個人的にはぜひとも公開すべしと考えている)。

似たような話にはなるが、社内独自の技術から生まれたものであっても、自社技術の核心部分でないのであればフリーソフトウェア化してしまうという考え方もある。そうすれば世界中のフリーソフトウェア技術者の力を借りて、プロダクトを進化させることができる。たとえばFacebookもフリーソフトウェアをリリースしており、LinkedInもフリーソフトウェアを公開している。またGoogleからも多くのフリーソフトウェアが提供されている。ここで公開されているソフトウェア群は、もともと社内で利用されていたものだろう。但し企業の核心部分を支える技術というわけではなく、公開されるにいたったのだと思われる。こうしたビッグプレイヤーの動きも、振る舞い方の参考になるだろう。

UbuntuのTechnicalArchitectを務めるAllison Randalは「フリーソフトウェアというやり方は、ソフトウェア開発の面で言えば完全に他のやり方を凌駕する仕組みだ」と述べている。またLinux FoundationでExcecutive Directorを務めるJim Zemlinは「技術を公開することで、その技術が想像もしなかった範囲に広がっていって、思いもつかなかった使われ方をすることもある」と述べる。

Linuxが教えてくれることはまだある。たとえば、現状打破を心がければ、それまでの敵対勢力から応援を受けることにもなったりするということがある。Linuxの場合、90年代に人気を集めるに従って、業界内の既存プレイヤーからの反発を受けることもあった。しかしそうして当時は敵対した勢力も、今ではLinuxカーネルや、あるいはさまざまなフリーソフトウェアプロジェクトに貢献していたりするのだ。

ZemlinはFacebookを指して、まさにLinuxコミュニティが数年をかけて行なってきた、「金のためでなく、ハッカー風文化を継承して、収益はあとからついてくる」という流れを現実化した具体例であると述べている。20年来進化してきたLinuxやそのオープンな開発環境という技術部門での大イノベーションを受ける形で、この10年で最も成功したスタートアップのひとつであるFacebookが成長してきたのは決して偶然ではないとのことだ。

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(翻訳:Maeda, H)