ニューヨーク・タイムズ「Facebook訪問者の数に水増し?」―数字はほぼ正確、サイト外ユーザーにも収益可能性

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ウェブ企業が発表する自社のトラフィックの数字にはすこしでも大きく見せようという意図が働いているのではないかといつも疑いの目が向けられる。ニューヨークタイムズの経済記者Andrew Ross Sorkinも何億人もがFacebookを訪問―実際の訪問者はどれくらい?という記事でFacebookがS-1上場申請書で公表した数字に疑念を向けている。

Facebookの発表した月間8億4500万、一日当たり4億8300万という訪問者には単に「いいね!」ボタンを押しただけのユーザーも含まれているのではないかというのがSorkinの主要な論点だ。「こうしたユーザーは実際にはFacebookのページを訪問していないのに訪問者としてカウントされているのではないか? そうであればFacebookはこうしたユーザーからは期待されるほどの収益をあげるのは難しいだろう」とSorkinは指摘する。

そこでこれについて少々考えてみよう。私はまずサードパーティーのFacebook訪問者の数字を調べてみた。次に「実際には訪問していないユーザーが存在する」として、この問題がFacebookの財政的側面にどう影響するかについて考えた。

Sorkinはこの分野で信頼性が高いとされるNielsenの数字を取り上げてFacebookの数字と比較した。12月に1億6100万のアクティブ・ユーザーがあったと申請書には記載されている。同時期、Nielsenは1億5300万のユニーク訪問者があったとしている。Sorkinはこの差をもたらしているのは「いいね!」ボタンを始めとするサイト外活動だろうと推測した。アメリカのトラフィックがFacebookの19%を占めているとすれば、8億4500万の全ユーザーのうち、4000万はこうした「サイト外」のユーザーではないかというのが記事の推測だ。

これに対してまず指摘しなければならないのは、 Nielsenは数多くの情報源の一つに過ぎず、ライバル会社の調査と一致していないという点だ。たとえばcomScoreは12月にFacebook.comには1億6250万のユニーク訪問者があったと発表している。NielsenとcomScoreの調査手法はほぼ同一だ。だからSorkinがcomScoreの数字を採用したとすればFacebookは実際よりも少なめなトラフィック数字を発表したことになる。

両社ともこうした調査では標準的だが「ユニーク訪問者」をカウントしており、大まかに考えればFacebookが発表したFacebook.comのアクティブ・ユーザー数と合致している。

しかし「毎日のアクティブ・ユーザーにはFacebookサイトを実際には訪問していないユーザーも含まれているかもしれない」というSorkinの指摘にはもっともな点がある。comScoreは世界のFacebookのトラフィックをモニタしており、それによれば月間ユニーク訪問者は7億9430万、一日当たりは2億9710万だという。するとFacebook自身の数字とは月間ユニーク訪問者では5000万人という相対的に小さな差だが、一日当たりユーザーでは1億8600万もの巨大な違いが生じる。しかしこの点については別の解釈も可能だ。地域によってはcomScoreのユーザー数のカウントに大きな誤差が出ている可能性がある。たとえばネットカフェで1台のコンピュータを一日に何十人もが使うような場合だ。

一方comScoreのデータがFacebookに有利な場合もある。12月の世界のFacebookのユーザーの訪問1回毎の平均滞在時間は11.6分で、なんと月に32.6回もサイト訪問している。Facebookのユーザー数には「いいね!」を押すだけてサイトを毎日訪問していない人数が大量に含まれているのではないかと投資家が懸念しているとすれば以下のような点を知っておくべきだろう。comScoreのデータによれば、毎日かどうかは別として、ユーザーは平均すれば月に1回以上の割でサイトを訪問している―つまりそれだけ広告を見る機会があるということだ。

しかしこれはcomScoreのデータに過ぎない。信頼性はNielsenのものとどちらがどちらとも言えない。

しかしSorkinの記事にはより広い影響が考えられる問題が含まれている。つまり、「いいね!」はもちろん非常に有力な広告ターゲティング・ツールになり得るし、いろいろな意味でFacebookにとて貴重な情報をもたらしてくれることは疑いない。

しかし「いいね!」ボタンやその他のウェブ上のメカニズムは将来予想されるFacebookの全活動のごく一部分を構成するにすぎないという点だ。Facebookは近くサイト外でも利用できる新たな広告ネットワーク、新たな支払いシステムをローンチしてくるかもしれない。テクノロジー業界では何年も前からその可能性が取りざたされている。Facebookはこうした問題ついて一切言質を与えないよう気を配ってきた。しかしウェブサイト運営者が広く利用で入る広告ネットワーク―つまりFacebook版AdSense―の可能性については、Facebookの現COO、シェリル・サンドバーグがGoogleでまさにその広告ネットワークを構築した人物だということを考えに入れるべきだろう。FacebookはGoogleがAdSenseでやっているのと同様、サードパーティーのサイト運営者を代理して広告を配信し、手数料を得ることができる。支払いサービスについても現在のFacebookCreditsを大幅に拡張し、PayPalのようにウェブ全域で利用できるようにすることができる。この点はFarmVille.comなどZyngaのウェブ版ゲームですでに実施されている。こうしたゲームではFacebookアカウントをログイン情報として利用するだけなので、当然Faceook外のサイトとして扱われる。しかしユーザーへの課金はFacebookCreditsで行われ、当然Facebookには手数料が入る。

結論をいえば、Sorkinが「アクティブ・ユーザーにはサイトを実際には訪問していないユーザーも含まれるのではないか?」という疑問を呈したことには理由があったといういうべきだろう。しかしサードパーティーのデータによれば、たとえ誤差があったとしても本質的な問題となるほどではないはずだ。Facebookはすでにトラフィックを十分に生かして収益化を行なっているし、将来はその収益化戦略をサイト外のウェブ全体に展開していくことが十分に考えられる。投資家は安心してよい。

[Top image via NASA.]

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+