モバイルで広告代理店の歳(とし)が分かる–新旧交代の時代へ

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編集者注記: David Hewittは、広告代理店SapientNitroのグローバルモバイル担当部長だ。

モバイルマーケティングの対象は、携帯電話だけではない。われわれのデジタル化した世界におけるモバイルプラットホームとエンゲージメントの戦略は、オフラインとオンラインの両方において、マーケティングのあらゆる要素をサポートする必要があり、電話に限定されない多様なチャネルを駆使するものでなければならない。しかもそれらの中で、今日の成熟したモバイル環境は、企業と代理店が消費者の要求の高度化にいちばん激しく振り回されている分野だ。

過去2年間は、モバイルを特殊な単独の媒体とみなすやり方が一般的だった。多くの代理店にとってモバイルは、これまでのクリエイティブの単なる付け足しにすぎず、大局的な戦略を欠き、下請まかせの中途半端なアプリ開発が幅をきかせ、モバイルというプラットホームとデバイスの特性を十分に生かしたキャンペーンを展開できなかった。

たとえば、Shazamは最近、Super Bowlの放送で放送画面と(広告用の)第二画面を同期化させて世間をあっと言わせ、そして同社によれば、試合中に記録的なエンゲージメントを達成した。しかし問題は、そのShazamのやり方に向けて最適化されていないハブページも少なくなかったことと、Bud Light〔ビールのブランド〕の年齢確認画面がタッチフレンドリー〔==タッチスクリーンの特性を生かす〕でなかったことだ。大量のiPhoneユーザが視ていたとしても、彼らはその時点でiTunes上の特定の曲にリンクしなければならず、あとでメールするというやり方ができなかった。あんな3ステップのやり方では、せっかくのエンゲージメントを、途中で脱(ぬ)けてしまったユーザが多かっただろう。

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今年以降はモバイル上の広告キャンペーンも競争が一層激しくなるから、このような機会喪失は少なくなり、2012年はモバイル広告の大きな曲がり角と言える年になるだろう。

ユーザ体験が、モバイルというプラットホームおよびデバイスの特性に合わせて最適化されること。モバイル広告の成熟に伴って、それが起きる。マーケターたちは、そのために何もしないことのリスクを、理解し始める。

今年の市場は、広告業にも、より起業家的な精神を要求する。モバイルは単に現時点のホットなトピックであるだけでなく、それは未来でもある。携帯電話を単なる広告媒体の一種と見なす、平板な考え方からの卒業が必要だが、しかしまだ、モバイルを軸とするデジタル広告の戦略が確立していない企業や代理店が多い。とくに代理店は、まだモバイルに特化したスタッフ部門のないところが多い。これからは、スマートフォンとタブレット向けに最適化されたユーザ経験を作り、またそのためにプラットホームを選択し、アプリを開発することが、モバイルでは標準のやり方になる。

さらにまた、2012年以降は、企業は次第々々に、モバイルを販売/営業やCRMを本格的に展開する場として遇さざるをえなくなる。そしてそのために、モバイル体験は物理店舗にも家庭にも統合されていく。

というわけで2012年は確信をもってモバイルに投資していくべき年になるが、具体的には次のようなことを考慮する必要がある:

  1. モバイルの広告キャンペーンには携帯電話本体だけでなく、物理店舗内のWiFiなどそれを取り巻くさまざまな環境要素がある。またデバイスに関しては、機種の検出、SMSやWebページなどアプリがだめな場合用の代替策、あるいは逆にモバイルならではのエンゲージメント企画など、多様な要素を意識し扱う必要がある。
  2. モバイルとの接点が多様化していくので、小売店の現場部門や企業のIT部門などとの連携がますます重要になる。モバイルの広告キャンペーンにおいては、企業の全側面との連携や統合を企画実施できる、高度な能力を持った広告代理店を選ぶべきである。
  3. モバイルへの最適化は重要だが、それが一律的な、低価格低性能なフィーチャーフォンを想定した最適化では、とくに高度なエンゲージメントを期待するスマートフォンのユーザなどにとって、つまらない、おもしろくないユーザ体験になる。「どの機種向けに最適化するのか」を厳密に決めるとともに、機種検出〜機種別対応の多様化を図ることが重要だ。また物理的な機種だけでなく、モバイルユーザにおける、消費者行動のトレンドに留意することを忘れてはならない(どこでどんな使い方をしているのか)。
  4. 企業活動におけるモバイル利用と販売時点(コマース)のモバイル化がますます進展するから、モバイルの広告キャンペーンもそれらを包含した大きな–ときには長期的な–投資企画になりうる場合が増える。広告が広告だけで終わらなくなる。
  5. 2012年はスマートフォンだけでなくタブレットが、Webサイトとその関連マーケティングにとって重要なターゲットになる。モバイルコマースがタブレットによってより活性化し、PCのシェアを奪っていく。
  6. ‘ビッグデータ’が、より現実的なキーワードになる。大量のデータに支えられてはじめて、キャンペーンのマルチチャネル化や個人化が効果的に可能になる。それぞれの顧客特性に合わせた、ユーザ体験をサーブしなければならない。また位置対応のサービスと広告キャンペーンを統合することや、ユーザの行動や選好をベースとするターゲティングにも、大きな機会がある。ただし、これらが本当に効果をもたらすようになるのは2013〜2014年以降だ。
  7. 人気の高い消費者ブランドの一部は、モバイル上に、さまざまな状況対応の機能や、ごひいき特典機能、プリペイドのモバイルウォレット(お財布ケータイ)機能を展開するだろう。
  8. 2011年までのモバイルマーケティングの予算は、ほとんど‘ついでの’予算にすぎなかった。これからはモバイルに特化したキャンペーン企画と、そのための予算確保が重要になる。
  9. たった一人のモバイル担当者がいるだけの広告代理店はだめ。マルチチャネルでマルチ接点の、キャンペーン企画の実行と管理と効果測定のできる代理店を選びなさい(上の1., 2.項)。

モバイル+マルチチャネル化の成長カーブを想像すると、さまざまな代理店と企業がそのカーブの上のあちこちに、今、位置している。しかし2012年は、モバイルの全体的総合的な本質を理解しないところがますます、消費者との“ずれ”を拡大し、カーブの下の方へずり落ちていくだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))