いよいよMicrosoft Office離れが始まった–タブレットが紙+プリンタを駆逐

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MinimalMacに載った最近の記事は、一般的なアプリケーションの分野でMicrosoftが徐々に、その立場を失いつつあるという、興味深い考察を述べている。優れた記事だから一読をおすすめするが、その要点は、長年Microsoftの最大の金づるはMicrosoft Officeがユーザにとって、Windows同様に重要であることにあったが、このところ、その同じユーザが、Officeを要らないと思い始めている、ということだ。OfficeはMicrosoftにとって振れば金貨を生む打ち出の小槌であり、しかも至近の10年を見ても、会社とその業務をだいじにするIT部門ならどこでも、その代替製品は…それらが存在していても…まったく検討しない。Officeは、業務の必需品である。OpenOfficeだって? あんなヘンなもの、誰も使わんよ。

ところが、タブレットの普及と共に、オフィスワーカーたちは突然、もうOfficeは要らないことに、気づいたのだ。今や必要なのは、メールとNotepadとDropbox的なものだけだ。Officeの文書はどんな製品の上でも開けるし、テキストのエディットもどんなタブレットでもできる。iPadなら、まともなワープロが9ドル99セントで手に入る。つまり、もうOfficeの出番がない。

上に紹介した記事の筆者Patrick Rhoneは、これをMicrosoftの最大の“機会損失”と呼んでいるが、ぼくから見ればパラダイムシフトだ。このシフトはオフィス環境にとって、紙から電子化への移行のときと同じぐらいあつれきが大きいが、しかしそのあつれきは、今後短期間で落ち着く、鎮静化する、とはとうてい思えない。

OA(office automation)化の歩みは、ゆっくりとはしていたが、妥協のない冷徹なものだった。ぼくが子どものころの1980年代には、映画などで見る会社のオフィスは大量の紙の文書を蔵した図書館みたいで、そこで働く社員たちは図書館の司書に見えた。やや大人になったころは、紙の書類を扱うことがいやで、むしゃくしゃしてくると、ものすごい悪筆で殴り書きをした。たとえば国境における通関手続きの書類なんか扱ったことがあるが、こんな手書きの記録を政府の誰がいつ見て、不正等に気づくのか、と疑問に思った。誰も見やしない、紙の無駄遣いだ、くそったれ。

しかし、古い習慣はしぶとく生き残っているし、ペーパーレスオフィスなんてまだまだ遠い話だが、でもタブレットによって、プリンターレスのオフィスは夢物語でなくなった。前世紀には、企業やお役所の主なコミュニケーション手段はタイプライターで打ったレポートやメモだった。人びとは、ペーパーワークだけのために、8時間オフィスにいなければならなかった。仕事を家ですることは、紙を家に持って帰ることだった。パソコンを使うようになっても、‘デスクトップ’、‘ごみ箱’、‘受信トレイ’、‘フォルダ’などの用語に、紙時代のなごりが色濃く残っている。

でも、今のパラダイムは何だろう? モバイルのOSにはごみ箱もフォルダもない。しかしメールにはアカウント(account, 口座)があり、メールのアイコンが空飛ぶ封筒だったりする。OS Xのメールのアイコンは今でも郵便局のスタンプだし、携帯電話を“ダイヤルする”という古い言い方も残っている。とくにAppleには、現実世界の物を使いたがる癖がある。カレンダーのアイコンは革製の日記帳だしね。でも、あと10年もすれば、“この書類に載ってるやつに会って数字を聞け”から、“ググれ”に変わるだろう。

だからたとえばWordも、究極のタイプライターにすぎなかったのではないか? Wordの使用は、プリンタが威張っていた時代における黄金則だった。デザイン能力のないやつでも、一応、きれいな書類を作れた。Excelは、こぎれいな電子帳簿だ。重要な数字を太字にできたし、お金のある会社ではレーザープリンタでカラー印刷ができた。

そしてAccessは(Accessをおぼえている人いる?)、文書室のかわいそうなおばかさんたちの仕事を奪った。

そして今度はOfficeだ。その名のとおり、オフィスは変わりつつある。変化はまだ、急速でも広範でもないが、業務のインタフェイスがどんどんWeb化しクラウド化し、ドキュメントの共有は一瞬でできる。もはや社員個人がドキュメントの体裁に凝ったり体裁を気にしたりする必要がない。あとは署名が手書きから電子署名に変われば、プリンタ+Microsoft Officeの時代はいよいよ終わりだ。どこの会社/お役所も、どの社員/職員も、すべての文書をクラウド上で処理するようになる。

巨艦Microsoftは沈没する? それはありえない。でも同社自身が、ポストOfficeの世代のためのサービスを、提供していかざるをえない。今は、たった2秒でこれを作れる。今さら誰が、Wordのテンプレートを必要とするだろうか。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))