ビッグデータ分析によりページをリアルタイムで“個人化最適化"するBloomReachはSEO/SEMの未来形だ

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BloomReach

みんな、心の準備はできてるかな? 本日(米国時間2/22)、3年間お忍びで機械学習の開発に専心してきたBloomReachが、同社のビッグデータ技術によるWebサイトの(個人に向けての)適切性を最適化するサービス(website relevance optimization)を開始する。BloomReachはオーガニック検索のトラフィックをなんと80%も高めることができ、検索エンジン最適化(search engine optimization, SEO)や、これまでのWebマーケティングをずっこけさせる。

同社が挑戦する問題は、とても大きい。Bain Capital VenturesやLightspeed Venture Partnersなど、シリコンバレーのロックスター級のVCたちが計$16M(1600万ドル)の初期投資を行っている。同社が特許を取得した技術はすでに実動している。というわけでBloomReachは初めての100億ドル規模のエンタプライズマーケティング企業になり、Oracle、SAP、Salesforceなどのコアソリューションと肩を並べることになるだろう。SEOよさようなら、ビッグデータSEOよこんにちわ、となる。

BloomReachはクラウド上のマーケティングプラットホームとして、企業のコンテンツや製品が大型Webサイトのサブページに載ってる場合、検索結果に現れない、という…企業にとっては悩ましい…問題に挑む。それがたとえば広告であった場合でも、その製品を探して検索をした潜在顧客〜見込み客は、検索結果の上位にその広告ページを見ることがなく、きわめて一般的で当人にとっての適切性を欠く、無味無臭なページを突きつけられる。ABCという品物を欲しいと思っている人に、そのABCを売っているページをずばり見せられたら、企業の売上に大きく貢献するだろうに…今はそれができないのだ。その点、今の検索広告は、キメが粗すぎる。

この問題を、BloomReachのコアプロダクトであるBloomSearchは次のようにして解決する。まず、毎日数十億のWebページをクロウル(crawl, 這い回る)してユーザの行動…閲覧、購買、検索など…を調べる。コンテンツの背後にある目的を、セマンティックインタープリタにより、100億の同義語ペアと10億のフレーズにつきあわせてほじくり出す。そしてWebサイトの構造とコンテンツをユーザが求めるものを提供できるように最適化し、検索エンジンの(==オーガニック検索の)クロウラーに高得点で引っかかりやすいようにする。

たとえばBloomSearchは、あるeコマースサイトが剪定鋏の意味で”garden shears”を売っているが、しかし潜在顧客の多くは”garden scissors”で検索することを見つける。そこでBloomSearchは、”garden shears”が登場するページにメタデータやコンテンツを加えて、ビジターやクロウラーにとって”garden scissors”でも引っかかるようにする。BloomReachによれば、これによりサイトのトラフィックはなんと80%も増加し、従来のA/BテストのシステムやSEOのコンサルタントを大きくしのぐ成果を上げる。

BloomReachが今日ロンチしたあと2つの製品は、検索広告やソーシャルキュレーション(social curation)からのコンバージョンを最大化する。まずBloomLiftは、広告の載るランディングページを動的に(リアルタイムに)作りかえて、顧客が欲しいと思っているものがまさにそこに載ってるようにする。これまで、広告のランディングページのバウンスレートはCPCを無駄遣いする55%という高い値だったが、それが過去のお話になる。

たとえば、”red sweater”(赤いセーター)というキーワードを買って検索広告を出しているとすると、”red v-neck sweater”(赤いVネックのセーター)を検索してその広告をクリックスルーした人に対しては、BloomReachはまさに製品として赤いVネックセーターのあるランディングページを提示する。これぞまさに、“ページの適切性の最適化”だ。目的の赤のVネックセーターだけでなく、赤いスクープネックのセーターや茶色のVネックセーターなども表示するかもしれない。ある教育企業のためのパイロット事業では、BloomLiftがコンバージョンレートを15%高め、広告効果が50%増加した。

もう一つのBloomSocialは、大量のWeb閲覧ユーザの閲覧パターンを分析していくつかの消費者クラスターを見いだし、それらのクラスターにとって“適切性”の高い製品ページを作りだす。たとえば、ピクニック用品を買う消費者のクラスターなら、それらの製品を集めたピクニックテーマのページを作る。ビジターはそのページを、ソーシャルにフォローしたり、コメントを書いたり、製品を共有したり、新たな売り出し企画を通知してもらったりする。

2008年の秋に、元Ciscoのプロダクトマーケティング部長でMohr-Davidow Venturesの社員起業家でもあったRaj De Dattaが、Bain Capital Venturesに、それまでのSEOに代わる新しいサービスの事業化を持ちかけた。Bain Capital VenturesとエンジェルのChris Dixonらは2009年2月に、Rajに$5M(500万ドル)のシリーズA資金を提供し、本格的なビッグデータテクノロジを扱えるチームを編成させた。

De Dattaは、元Googleのチーフサイエンティストで機械学習のエキスパートAshutosh Gargを口説いて、CTOになってもらった。今のGargは、オンライン広告や検索、機械学習、バイオインフォマティクス(生物情報科学)に関する特許を、出願中も含めて50も持っている。2010年の9月にはBain Capital VenturesとLightspeed Venture Partnersから$11M(1100万ドル)のシリーズB資金を確保し、実製品の構築を開始した。今Mountain ViewにあるBloomReachの本社には、GoogleやFacebookやYahoo、Bingなどからかっさらった高度な人材が60名いる。

BloomReachにとって最大の脅威は、現在の検索や広告やソーシャルなどを超えた今後の新しいトラフィックへの適応と、GoogleのPageRankアルゴリズムの今後の変化によって同社の“ページ適切化”システムが陳腐化しないようにすることだ。しかしBain Capital VenturesのマネージングディレクターAjay Agarwalによると、“チームと製品の構築に相当な時間と努力を注ぎ込んでいるから、BloomReachと競合するような企業は簡単に作れるものではない。また同社は、知財の保護管理もしっかりしている”、ということだ。

昨年は、Orbitz、Crate&Barrel、Oodle Marketplaceなどの大企業70社が、eコマースや旅行、求人求職、自動車販売、不動産などの分野でBloomReachをテストしてきた。ステルス状態であったにもかかわらず同サービスは、すでに5200万の新たなページビューを稼ぎ、クライアントサイトへの四半期あたりの訪問者増分は2500万を数えた。2012年における、クライアント全社の売上増は1億4500万ドルと予想している。

クライアントは、サイトのパフォーマンスが良くなったときだけ料金を払う。だからROIは確実だ。でも結果が直接的でめざましいので、これまでのマーケティングチャネルに投入されていた企業のマーケティング費はこれからすべて、ビッグデータを活用するサイト最適化へ向かうのではないだろうか。とくに、広告効果がはっきりしないオフライン広告は、今後ますます落ち目になるだろう*。〔*: 小売企業に関しては、Grouponのようなオンラインクーポンサイトが(やはり費用効果が不明確で高くつく)“オフライン広告離れ”を促す、と言われている。〕

BloomReachはぼくがここ数年見てきたスタートアップの中では、ずば抜けて革新的な大企業向けテクノロジだ。CEOで協同ファウンダのRaj De Dattaは、同社の価値命題(value proposition)を次のように要約する: “あなたのためにお金を生成する需要の流れがある–その流れを汲み取りませんか?”。大企業なら、配管工事をしてでもその流れを汲むだろう。今後、買収の打診が殺到しても、不思議ではない。これまでのSEOグルたちは仕事を失って干上がり、そして消費者はつねに、自分が探しているまさに“そのもの”を、見つけられるようになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))