Mobile World Congress 2012に見る今年のモバイルビジネスの四大トレンド

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編集者注記: 筆者のJim Payneは、モバイルの広告を扱うMoPubのCEOだ。その前の彼はGoogleのプロダクトチームにいて、Google Maps Premierを担当し、またGoogleのリアルタイム検索プロジェクトを始動した。Twitterで彼をフォローするには、@JimPayneへ。

あなたが“モバイル優先”のパブリッシャーやデベロッパだったり、モバイルの事業者なら、今はきっと、スペインのバルセロナで行われているMobile World Congress 2012に目が釘付けになっているだろう。それはカンファレンスでもあり、トレードショウでもあり、あるいはモバイル世界の名士たちと豪華なパーティーを共にするための口実でもある。そのすべてが、他に並ぶもののない4日間のビッグイベントとして行われる。その、モバイル業界最大の全世界的な展示会は、昨年2011年には6万人が集まり、その中には世界131か国のデベロッパ12000名、3000名のCEO、それに各国政府の視察団、メディアの取材陣1500名も含まれていた。

最初のiPhoneが発売されてから以降は、どの年も“モバイルの年”と呼ばれた。でも今年2012年こそ初めての、その名にふさわしい年ではないだろうか。2011年最終四半期のスマートフォンの発売台数は、もっとも楽観的な期待すら上回り、とりわけiPhone 4Sが底上げをした。そして今年は、モバイル製品の現用台数が世界の総人口を超えると予想されている。FacebookのIPO申請文書S-1は、友だちのアクティビティにモバイルからアクセスする者が月間4億2500万人いる、各四半期の成長率は25%だ、と明かした。さらに、リッチメディアのスタンダードMobile Rich Media Ad Interface Definitions(MRAID)の採用が急速に進んで、モバイル製品の人を没入させる(immersiveな)能力を生かした、高度な広告の展開を可能にした。

このような変化が、今年のMobile World Congressをいやが上にも盛り上げるだろう。このカンファレンスにとくに私が期待するビッグトレンドは 、以下の4つだ:

1. AlternativesとiOSに次ぐ第三勢力が成長

モバイルの市場競争はまだ終盤にはほど遠くて、新人(Amazon)や旧巨大勢力(Microsoft)が大きな投資を行っている。Amazonの戦略はAndroidの本来のパワーと柔軟なカスタム性を生かして、美しく没入的なユーザ体験を作りだす、というものだが、早くも市場はそれを肯定的に認めている。Amazonが一挙に14%のマーケットシェアを獲得し、それとともにAppleのシェアは2011Q3からQ4にかけて64%から57%に低下した。Microsoftはキャリアたちと元々仲が良く、今年の新しいWindowsスマートフォンのリリースやNokiaとの販売提携により、とくに途上国市場で伸びるだろう。AmazonやWindowsを含む各社の、今年発表されるイノベーションがとても楽しみだ。

2. マシンツーマシンコミュニケーションの台頭

ことしのCESでは、スマートフォンによるほかのデバイス…テレビ、ガレージのドア、家電製品など…の制御が大きなテーマだった。MWCではこのトレンドがさらに大きく花開くだろう。家をコントロールするスマートフォン、コンテンツをコントロールするスマートフォン、などなどが数多く展示され、人の日常的な心に「リモートの世界」というものが加わる。もちろんAppleやGoogleも、Apple TV、Google TV、Siriなどの音声認識サービス、AirPlayのような事業企画、などなどでこの分野に参入してくる。ほかのデバイスとコミュニケーションするモバイル製品が、今年はさらに増え、とくにスマートフォンとタブレットが持つその能力が、さらに有効利用されていくだろう。

3. モバイル広告はスマートフォン中心になりフィーチャーフォンは置き去りに

合衆国では、スマートフォンが今や携帯電話の多数派だ。全世界では依然としてフィーチャーフォンが大きなシェアを握っているが、スマートフォンの低価格化とともにやがて合衆国と同じ傾向になるだろう。モバイル広告の主メディアがスマートフォン、ということになると、企業など広告主たちもスマートフォンの機能を生かした高度で魅力的な広告に予算を投じ、フィーチャーフォンは広告媒体として徐々に忘れられた存在になっていく。モバイルの、広告以外の分野(ゲームなど)でもフィーチャーフォン離れが進み、その傾向は今年のMobile World Congressでも顕著にうかがわれるだろう。

スポットライトはAndroidとAndroidだけでなく、おそらくWindowsにも当てられ、広告キャンペーンをフィーチャーフォン主体で展開するところは、存在しなくなる。広告主企業にとっても、また広告代理店にとっても、多様なアプリやリッチメディア機能など、機能性の高いスマートフォンのほうが、明らかに広告のROIが高い。Nokiaが同社のLumiaハンドセットに今年はさらに力を入れるなど、 フィーチャーフォン主体だったメーカーもスマートフォンの主力化を急ぐだろう。しかもiPhoneなど既存勢力の腰の高さを好機と見て、彼らは低く低く攻めてくるだろう。そうやって低所得国でもスマートフォンの多数派化に成功すれば、モバイル広告の主メディアはグローバルにもスマートフォンになる。最後にもう一つ、広告のお話をしよう…。

4. モバイルの広告ネットワークは主役の座を下りてパブリッシャーやゲームやアプリが広告のコントロールを握る

モバイル広告の、古い、広告ネットワーク中心型のやり方は、大型パブリッシャーたちにとってますます、間尺に合わないものになってくる。おそらく今年のMWCでは、メジャーなパブリッシャーたち全員が、広告在庫(広告スペース)の新たな流通形式を探し求め、新たに組み替えたプラットホームやサービスの集まりを使って、彼らの広告在庫をコントロールしようとするだろう。なぜか? それは、これまでのような広告ネットワークまかせだと、載る広告のタイプ等に関して透明性がなく、いつどれだけの金(広告料)が入ってくるのかも全然分からない。つまり、自分が載せる広告に関してコントロールがいっさいできないからだ。そこで、自分のページに載る広告のタイプ、入ってくる広告料、それらに透明性を持たせ、自分でコントロールしたい。この点は、これまでのモバイル広告業界の暗部であり盲点だった。そこで、メジャーなパブリッシャー(==広告スペース販売者)はサードパーティのモバイル広告ネットワークへの依存を徐々に減らし、広告主や代理店、あるいはデマンドサイドプラットホーム(広告主側のプラットホーム)との直接契約を増やすようになる。そういった直接化努力を、MoPub Marketplaceのようなリアルタイムの入札エクスチェンジが支援する。今年のMobile World Congressの来場者は、2012年が、トップ500のモバイルパブリッシャーにとって、モバイル広告のコントロール部門を社内に持ち、広告制御のためのダッシュボードを使っていく傾向の端緒となることを、確認するだろう。その結果モバイルのパブリッシャーは、オーディエンスの増により売上が増えるだけでなく、広告販売を自分で制御することにより、利益も高くすることができる。〔また広告主企業の方では、広告費の費用効果を上げるためにスマートでインテリジェントでクレバーな代理店を探して起用することが重要になる(参考記事)。〕

ショウを飾るピカピカの新製品や、モバイル事業者たちの派手やかな発表ステージの背後で、今年の世界のモバイル業界では、上に挙げた4つのトレンドが確実に進んでいくだろう。

[画像出典: flickr/Tom Purves]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))